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箱庭戦争/ドラグーン  作者: 烏月ハネ
1:白の竜騎士
19/80

第2章《箱庭の日常》(7)

「晶君、入ってる?」

そんな時に、アルテリリスに声をかけられ、晶はびっくりする。

「アルテさん?!」

扉ごしにくぐもった声が聞こえる。

「今日はだいぶ魔力を使ったでしょ?だいぶまいってるんじゃないかと思ってね」

「あー、だいぶ疲れてはいますけど…、まいってるって程ではない、かな?」

「そうなの?なら、心も身体もタフなのね。おねーさん、感心しちゃうわ」

アルテリリスは酒を飲んだのか、上機嫌だった。

「初心者だと、これくらい魔力消費した日は、魔力切れをおこす事が多いのよ」

魔力は、魔術を編むために精製するのとは別に、身体を満たすように常に循環しているらしい。魔術師かどうかに限らず、普段は意識することなく、自然に少しずつ補充されているのだとか。しかし、魔術などで魔力を消費した場合、身体に流れる魔力まで消費してしまう事があり、循環魔力が減ると、極度の脱力などの症状に陥るそうだ。

それを、魔力切れと呼ぶ。

「で、俺が魔力切れになってないか、見にきてくれたんすね」

何も風呂場まで見に来なくても、と思わないでもないが、その心遣いは純粋に嬉しく思う。

それを肯定するアルテリリス。扉の向こうから、何故か衣擦れの音がした。

「まーね。あとは…視察、かな?」

言うが早いか、がらりと扉が開く。


!?


「ご開帳ー」

湯気の切れ目から、するりと這いり込む。

固まる晶の目の前には、1匹の魔獣。

上気した裸体を隠すことなく晒し、紅い眼光は妖艶。その肌には、瞳と同じ色の刺青が、至るところに刻まれている。

真円と茨を掛け合わせたような、傷付け、縛りつける、真紅の紋様。

それは一種の芸術のようで、美しさと淫靡さを、調和し同居させていた。

まじまじと見つめてしまう晶に、ふっと笑いかけると、アルテリリスは腕を組む。頬に人差し指をあてて、目を細める。

「おねーさん、君の頑張りには感心しているのよ?」

髪をかきあげ、唇をなめる。

一歩一歩、晶に近付く。

その一歩毎に、ドクリ、と晶の心臓が加速を促す。

ゆだる。

頭も、理性も、沸騰する。

息が荒く、苦しいほどに。

妙に大きく反響する自分の息遣い。

「だから、ご褒美あげちゃうわ」

麻薬のように響く、アルテリリス(魔術師)の声。

するりと湯船に浸入する。

手つきはさながらクラーケン。

足先に触れる指先、スー、と昇るのは指か触手か。くすぐるように円を描き、晶を弄びつつ、太股をなぞる。

淫靡な指のダンスに、晶は完全に硬直してしまう。熱い吐息が漏れでて、アルテリリスは再び唇を舐めた。

「少年、元気ですなー?」

だが、触れずに、アルテリリスは身を寄せる。

胸板が接触する。アルテリリスの顔が見えなくなり、逆に神経が研ぎ澄まされる。

柔らかな感触を感じる間もなく、アルテリリスの声が、耳元で聞こえる。

「かわいい顔してるわよ?」

触れる吐息に、気がふれそうだった。

天にも登りそうな状況で、しかし、晶の中で、何かが警告する。

吐き出せば、何かが決定的に終わる予感。

本能が、最後の一線で、踏みとどまらせる。

「そうよ、それでいい。偉いわ」

すっと、灼熱が引く。

かかっていた魔法が解けるように。

肺に残る熱を、大きく吐き出すと、アルテリリスはいつの間にか、湯船の縁に座っていた。

「よく耐えたわね。あなたで二人目よ、これに我慢できた良い子は」

作者コメン:トエッチなおねーさんは好きですか?

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