主人公は馬鹿
このタイトルは変更する可能性があります。
(改)ってついていたら、「あ、変えたんだな」って思って下さい。
次の階層に行きたいが、このゴブリンの死体と魔石を爆発物にしなくちゃ……めんどくさ。
「人形、ゴブリンの死体を僕の近くに持ってきてくれ。あと、魔石も頼む」
「ハイ」
僕は座り込みゴブリンに触れ一体づつ爆発物に変えていく。
そしてそれらを懐に入れていく。
途中から、両手で出来る事に気が付き、二体づつ爆発物に変えていった。
爆発物はちょっとの衝撃で爆発する。
そしてそれを一か所に集めているから、一つでも衝撃を与えると誘爆して大爆発になる。
その為、爆発しないように細心の注意を払って扱って扱う。
収納箱に入れるのもいいが、それではいざという時に使えない。
取り出すのに時間がかかるからだ。
だから、色んな箇所にあるポケットや懐に入れる。
――終わった。
だるかった、本当にだるかった。
次は魔石を爆発物にか……はあ、だるいわー。
ん?
僕がゴブリンの死体を爆発物に変えている時に人形が魔石を一か所に集めてくれていたのだが、人形が何故かその魔石を物欲しそうにジッと見ていた。
「欲しいのか?」
「ハイ」
「そしたら、あげるよ魔石。役に立ってくれているし、人形がいないとこんなにゴブリン倒せなかったと思う。だからあげるよ。ついでに今から倒すモンスターから出て来る魔石も全部人形にあげるよ」
「アリガトウゴザイマス」
「いいよ、そんなにかしこまらなくて。どうせ爆発物にするしか使い道無かったし、それだったら死体でも大丈夫だし」
人形が何かを欲しがるというのが珍しくて嬉しかった。
だから快く承諾した。
しかし、あれを何に使うんだ?
僕は気になって人形を見ていた。
人形は魔石を手にとり、顔の部分に持っていき――食べる。えっ食べた!?
魔石を「ガリガリ」という咀嚼音を出しながら食べていく。
「何してるの人形!? 美味しいのかそれ?」
「ハイ」
「マジか」
僕は人形から魔石を一つ貰い食べてみることにした。
口に入れたら砂糖菓子みたいな甘い味がして美味しかった。
しかし、硬くてかみ砕けない上に、大きくて僕の小さい喉では呑み込めなかったので、一回口から取り出した。
どうしようか……あ、そうだ!
「爆発物創造」
こうしたら入るはず。
僕はそれを宙に投げ口に入れようとした。
あ、歯に当たっ――――
ボン! という心地の良い爆発音がしたと思ったら、一人の男が吹き飛んだ。
――――――――――
長い階段を下って二階層にやって来た。
一階層が思ったよりも広く階段が見つけられるか不安だったが、思考誘導を使ってゴブリンに聞いてみたら快く教えてくれた。
「よし人形、モンスター探すぞ」
「ハイ」
モンスターは直ぐに見つかった。
そのモンスターは全身緑色で手には心なしか細い棒きれが握られていた。
「またゴブリンかよ!」
二階層をしばらく歩き回ったが、案の定ゴブリンしかいなかったので、再びゴブリンに聞き出した。
階段まで案内してもらい、案内してくれたゴブリンにはゴブリン版爆発物を渡し、二階層を後にした。
三階層にいくために階段を下っていると遠くで小さな爆発音がし、Lvが上がった。
……そういえば、魔王から貰った地図使ってないな。
三階層にやって来た。
相変わらず壁にプレートがあり、今自分が何階層にいるのか分かる仕組みになっている。
そしてそのすぐ近くに、モンスターが一体。
そのモンスターは全身緑色で手には微妙に太い棒きれが握られていた。
「またゴブリンかよ!」
このダンジョンを作った奴はいい加減な性格なのか?
握られている棒の太さが変わるだけで全然モンスター変わらないじゃん。
……いや、もしかしたら強さが変わっているのかもしれない。
試しに材料無しで爆発物を作り、ゴブリンに投げてみたら、ゴブリンは普通に倒れた。
何とも言えない気持ちのまま、魔石は食われて死体は爆発物に変えられた。
弱い! かなり弱い!
本当にただ棒の太さが変わっただけなのか。
もしもこの階層にゴブリンしかいなかったらこのダンジョンはいくら練習のためだと言っても手抜きダンジョンだ。
……歩き回った結果、手抜きだと判明した。
なので次の階層に行く事にした。
「ここが階段か」
『ギャハハ、ソノ通リダ! ジャー約束ドオリ良イモノクレ!』
「はいよ」
「ナンダ、コレハ?」
「美味しいものだよ。口に入れて嚙んだ瞬間に美味しすぎて爆発する」
「食イモノカ!」
四階層に行くために階段を下っていると再び遠くで小さな爆発音がした。
かなりの確率であのゴブリンだろう。
他に誰もいなかったし、きっと僕が渡した爆発物が原因だよな。
……そういえば何故誰もいないんだ?
魔王が召喚した勇者がいると思っていたんだが、誰もいない。
四階層にやって来た。
流石にここまで来てゴブリンだけだったら帰ろうと思う。
「人形、モンスター探すぞぉ」
「ハイ」
ぶっちゃけもうやる気が無い。
モンスターが変わらなければ、罠も無いという糞仕様の為、このダンジョンは刺激が無くつまらないからだ。
だから、さっさとゴブリン見つけて帰りたい。
「アソコニ、魔物ガ」
しばらく歩いていたら人形が一点を指で指した。
「なんだ? モンスターでも見つけたか、でもどうせゴブリンだろ?」
僕は人形の指した方向を見る。
……なんだ、何もいないじゃ――いや、いた。
僕達に向かって思いっきり走って来ている。
しかも、ゴブリンじゃない!
初めて見るモンスターだ。
何か、犬に似てるモンスターだ。
体長は八十センチくらいで、色は黒。
四足歩行で手足を上手に使って僕との距離を詰めて来てる。
この速さだと、僕にぶつかるまでに後五秒もかからないだろう。
――ってのんきに考えてる場合じゃない!
「近づくなモンスター! 後悔するぞ! ――くそっ、人形僕から離れろ」
僕は人形から離れるために全力で走った。
そして、モンスターは僕との距離を縮めて来て、当たる。
……あれ、全然痛く無い。
そうかこのモンスター足が速いだけ――――
――ボン!
マジで誰だよ危険物を懐にたくさんしまいこんでる奴。
馬鹿だろ、楽観的すぎる……。
幸いなことに、死にはしなかった。