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人間記  作者: 中塩屋 治
29/29

終わり

 光に動くものは、暗闇。暗闇に動くものは、光。暗闇に触れる、温もり。光に、触れる、冷たさ。



 開かれた。流れの先に、見える、光。流れの、後に、ある、暗闇。残すものは、冷たさ。行くものは、温もり。



 音に動くものは、沈黙。沈黙に動くものは、音。沈黙に触れる、温もり。音に触れる、冷たさ。



 光に動くものは、光。温もりを、受けるもの。光を、受けるもの。光を、発することは、ない。



 光を見るものは、それこそ、光。発するものは、ない。受けるものは、ない。



 音に動くものは、音。冷たさを、受けるもの。音を、受けるもの。音を、発することは、ない。



 音を、聞くものは、それこそ、音。発するものは、ない。受けるものは、ない。



 暗闇に動くものを、見ることは、ない。閉ざされた暗闇に、触れている。感じている。それは、動いている。



 暗闇に動くものが、見えるとき。閉ざされた暗闇は、開かれた広がり。大きな光の流れにある、小さな光の流れ。



 沈黙に動くものを、聞くことは、ない。閉ざされた沈黙に、触れている。感じている。それは、動いている。



 沈黙に動くものが、聞こえるとき。閉ざされた沈黙は、開かれた広がり。大きな音の流れにある、小さな音の流れ。



 遠くにある、光。遠くにある、音。暗闇に、ある。沈黙に、ある。閉ざされた広がり。動くものは、遠くにある。



 近くにある、暗闇。近くにある、沈黙。光に、ある。音に、ある。開かれた広がり。動くものは、近くにある。



 動くものを、触れている。動くものを、感じている。

 動くものは、触れている。動くものは、感じている。




 流れている。


 流れては、いない。

 高みより、深みへ。深みより、高みへ。


 止まっている。


 止まっては、いない。

 高みより、更なる高みへ。深みより、更なる深みへ。


 動いている。

 光より、暗闇へ。音より、沈黙へ。

 暗闇より、光へ。沈黙より、音へ。


 

 そう、動いては、いない。



 いま、


 暗闇にある、光が、見える。触れることは、ない。感じることは、ない。

 沈黙にある、音が、聞こえる。触れることは、ない。感じることは、ない。


 満たすことは、ない。


 これから、


 光はなく。暗闇はなく。触れるものがある。

 音はなく。沈黙はなく。感じるものがある。


 満たすものが、ある。



 


 土は、土として。

 光もなく

 音もなく





 雨音は喜びの音

 再会の喜び

 別離の喜び


 雨音は悲しみの音

 再会の悲しみ

 別離の悲しみ





 人の言葉は喜び

 再会の喜び

 別離の喜び


 人の言葉は悲しみ

 再会の悲しみ

 別離の悲しみ










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