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94 無感動

お久しぶりです。二話連投の一話目です。

頭をワシワシとかき混ぜる。髪が絡まるのをマリエルが見ていられないとばかりに、私の手を頭から離し髪を整えてくれる。


次の場所は、他国から攫った人が集められた場所だった。少しづつ集められたその場所は、どこよりも集めるのに時間が掛かっていたそうだ。

多い所から始めた浄化だが、最初の場所以外はまだかなり余裕があったので近い所から攻めていく事にしていた。

そこで若干の違和感を感じた。若干ではない違和感もあったが、それは位置だった。きれいに繋がる位置ではなかったのだ。ひっかかりはしたが、前回と同じように浄化していった。



続いて………反吐が出る。

小さな小さな………。

育てられなかったのか、出来てしまい困ったのか。

衛生面に問題があったのか、地球みたいに予防接種がなかったのか…。

思い通りに、言う事を聞かない子は邪魔だったのか…。

何が原因かは分からないけど、子供達。新生児から幼児が多いだろうか。


前の場所もここにも吐きそうになっている二人を連れてきた。

二人の声を封じて見せている。


二人だけが知ればいい事ではないけど、淡々と行っていくだけだ。もう説明も何もしたくなかった。

それでも、ジルとリコルを天使にして言葉だけは必ず残している。

そろそろあちこちで噂になっているだろう。敢えて確認もしないが。伝わらないなら私達が去った後にでも天災に見舞われることがあるかもしれない。


強いていた犠牲を目の当たりにしたおじさんとブラッドリーは目に見えて憔悴していく。まるで早送りをしているかのようだ。

事実を残す。

事実を伝える。

彼等がしようとしているのはたったそれだけの事だけど、成し遂げられるのだろうか。

この親子は自分達を悪くしない様に、感情を交えない様に残すことが出来るのか。どうしても書き手の罪悪感と後悔、国への恨みが滲むだろう。

それに、彼等がそのままを記し残そうとしても、残した物が都合のいい様に改ざんされる可能性は非常に高い。


だって、そういう事を続けてきたからこの国はこうなったのでしょう?




二人の顔色は死人の様だがそれに構うことなく次に行く。


そしてまた次に。







「これで本当に神子の辺りの場所以外全部?」

「のはずですが」

「なんかさぁ」

「違和感がありますわ」


本来ならば、残された場所はあと神子がいる辺りだけのはずなのだが。

私の勘が、最後の一か所はまだ駄目だと警鐘を鳴らしている。


「絶対まだ何かあるし、あの場所を浄化しちゃダメな気がするんだよね」


そう、何かを見落としている。でもまだそれが何か分からない。

ジルが言った違和感という言葉。その言葉の通りなんだと私も思う。

とんとん拍子とはいかなくても、あっさり終わらせられると思っていたんだけどなぁ。

経験が足りないから立てた道筋からそれてしまうのかな。


「ねぇマリエル、僕にも地図見せて」


マリエルが一人で見ていた地図をリコルが覗き込む。そして、ちょっと貸してと壁に貼り離れてそれを見て言う。


「これさぁ、正確じゃないよね?」

「そうですね」

「なんだっけ、前の聖国よりはマシだけど。でさ、これってさぁ、方陣で魔法陣描いてるんじゃない?」

「マリエルの力でこの地図正確に出来ませんの?」


大きすぎる為に気が付かなかった。

マリエルによって正確に表示された地図は…。


「当たりですわね。そしてこれって」

「多分、こうやってこうして、こことここも」

「そして、カミーユが感じたここを加え、となると…あとはこことここと、そしてここもですか」

「うわぁ。小さすぎて分からなかったのね。調子に乗っていたなぁ。力の過信ってやつ?私達も人の事言えないね」


とはいっても守護サマ達の100倍位はマシだと思うけど。


「召喚回数が多いからこれ造ったんだろうね」

「しゃぶりつくす感じ?僕、そういうの鳥肌立つ」

「恩恵受けているのも国民ですし。わたし達が理解する必要はありませんわ」


こうやって経過してみてやっと気付く。あの礼拝堂にしてしまったあそこも何かの役割があったのかもしれない。まぁ、あそこはというかあの国は五家がどうにかするだろうから心配しないけどね。

つまり、私達はもっとあちらこちらで細かい気付きがあってもよかったわけか。いやいや、無理だわ。

世界が違うんだもの。前提が違う。向こうじゃ架空であってこんな風に現実に召喚なんてなかったもの。

大昔だって、あやかしの時代だって人間を異世界から召喚なんてなかったし。


「何にしても、あの場所が始点となり終点の場所だったわけですから俺達視点からすれば上手くいったと言えるでしょう」

「で、やることは変わらない。細かいの全部潰すだけ。もう手分けしてやっちゃおう!」


色々バカバカしいとか言っちゃ駄目かな。いや、今更だよね。言ったってかまわないか。地元民には多少気遣って彼等の前では言わないけどね。






とは言っても、結局私が一番力が強いから超早い。

回ってみて良く出来ているなって感心するとこもあった。だって、抱く罪悪感とそこから派生する感情を国全体から少しずつ集めて、入国の時に誰を陣へ誘導するかの選別に使う力とか、正規ルートでは高い格の守護サマが付いていたら入れない様になっていたり。いや、もう、ここも最初の評価よりもずっと高くなっちゃったよ。

つまり、可能性の一つとして、高性能の神子を呼ばない陣は他にも機能の高い陣が敷かれているかもしれないとか、そういうことがあるかもしれない。

推測ですらない。臆測かな。


でもそうなるとやっぱり、いかにもな悪魔を浄化しておきたいなぁ。面と遭遇できないのは私達の能力を考えるといい事なのかもしれないけど。

あの感じを流せない。

多分まだ具合が悪くなるに違いない。その程度の力しかない。

せめてもっと力が戻るまで直接の対峙は避けたいんだよね。


でもさ、これだけ力使っているんだもの。悪魔とはいかなくても、成りかけや合体して大きくなるのとかはちゃんと防げているよね?


考えている間に四人が揃う。


「僕とジルは無理!」

「表面しか剥がれない感じですわ」

「僕、無力~」

「泣きそうですわ」

「カミーユが行きますか?」

「うん、まだまだ余力あるし行ってくるよ」

「「お願いします」」


そっか。出現する力の傾向性って元々ハッキリしているなぁとは思っていたけど、こと浄化に関しては私だけが圧倒的に強いんだよね。マリエルもそこそこ戻っているみたいだけど。

あ。もしかして浄化したら今度はそこから私の聖気と神気を流して国中に広げるとか…出来ないなぁ。陣の描き替えなんて出来ないもんね。

できたとしてそこまでやったらできたとしてサービスのし過ぎだし、国中何か勘違いとかしちゃいそうだし。

うん、余計な事はしないで陣はきれいに消しましょう!


「カミーユ?あなた何かおかしなことを考えていませんか?思い付きで実行せずに必ず相談してくださいね」

「ん?考えたけど、無理だししないよ?」


ちょっと!何で三人ともホッとするのかな?もうっ!!





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