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70 リオイシャ国

この星は地球より大きい。

大陸の隆起、沈没、移動…変動が多く発展が前進と後退を繰り返している。

だからなのだろう。

地球基準で考えると何事も理解が追い付かない。

そこに加えて、神子の召喚なんて事を行っているのでますますおかしな事になっているのだろう。


どうしてこんな事を思っているかというと。


「この国は神子が居るんだね」

「でしょうね」


求められたのはパスポート。とはいっても、無くても入国は出来る。


「これって、ラノベで定番の入国には身分証明書又は保証金、仮入国証の発行ってやつがこうなったんだよね?」

「でしょうね」


そして…何故か容姿で出る先が違うようだ。


「行きたくないわ」

「ですね」

「どうする?」

「こうするしかないでしょう?」


私達は空間を開き、私の部屋へ戻った。






さて、どうしたものか。


「先に偵察したはずだったのですが」


珍しくマリエルがしょんぼりしている。その表情がなんだか可愛くて目を離すことが出来ない。

じっと見ていたら片眉が上がった。器用だなと感心する。


「何ですか?」

「ううん、何でも」


心の中でくすりと笑う。表に出してはいけない。可愛いなんて思ったことが分かったら、きっとマリエルは、「カミーユの方が可愛いですよ。ほら、こうすると…」とかなんとか言ってエッチな事をしてくるに違いないんだから。それが嫌なわけじゃないけど、今じゃないと思うのよね。


「ほんの少し空いただけで法が変わったようですね。この国にこういう所があるのは知っていたのですが、本当に突然なんですね。ちょっと参りました」


あ、そうだ。


「じゃあ、ここはちょっと偵察に行って来てもらおう!お願い!ねっ、………」


えっと、誰に?なんとなくそこにいつも居ることを疑わず誰かに声を掛けようとした。


「えっと、マリエル、結界と探索と聴覚強化でもう一度調べよう!」

「ええ、その必要がありますね」


マリエルは触れなかった。

いつものマリエルなら多分突っ込むのに。

そしてそれに全く触れて来ない理由があるのだろう。

今は思い当たらないけど私自身が原因を知っているんだろうな。

マリエルの表情も何も変わらない。


「…知っている?」

「ええ」


やっぱり。


「私が…」

「大丈夫です。カミーユはきっと…」


私の弱さが引き起こしたんだろうな。


「うん、ごめんね。ありがとう」


私がもう少し強くなったらきっと思い出すから、今は忘れてしまっている私達の大事な人達、もう少し待っていて。そう、私たちの大事な人たち。何でかそういう所は自信がある。私とマリエルにとって大事な二人以上の人。待っていて、遠からず思い出すから。







「何だか不思議。こうやって見ると人の笑顔が溢れているじゃない?本当にこの国にも悪魔の陣とかあるんだなんて信じられない。いや、こう言っても在るのはちゃんと分かっているんだけどね。ほら、前があんまりなアレだったからさぁ」

「確かに、一見雰囲気も悪くは見えない所が逆に怖いというか」

「だよね」


聴覚の強化も併せて、姿を消すまでいかないけど存在感を薄くしながら歩いている。

入口で見目の良い人が別にされていた理由も分かってきた。

そう、うん。神子ってめちゃめちゃ現代人。

この国の神子と心結みゆうの世代は100年200年と違うわけではないようだ。

この国の人にはよく分からないようだが、神子がリアル乙女ゲームを求めているという事とその実現の為に容姿で判断がされているそうだ。


「なんだかそこだけ聞くと物凄く頭がお花畑な子が召喚されたみたいだけど、この感じだとそういうわけでもなさそうよね?」

「ええ、そうですね。でも、人は変わりますから。良くも悪くも」


…答えにくいわ。自分の事を言われているようで。


「神子も国の運営についてもそう悪いものは耳にしませんね」


それは何故なのだろう。

普通に考えれば、まともな政治が行われているから。そして神子からの恩恵もあるから。

でもなんだかそれはしっくりこない。


ここも聖国に負けない位の発展を見せている。

でも、この星の人の性質なのかもしれないが、自ら考えてというのがあまりない気がする。全てが神子ありき。実際技術を行使するのはこの星の人。

自ら切り開く力が不足している。

五家も守護サマでさえもそうだった。

寿命の長さ故なのか。その辺りはやっぱりさっぱり分からない。

入れ物はこの星仕様になっても、やっぱり基本は地球なんだよね。

こればかりは簡単に変わるわけがない。


ということで、場所を変えてみる。


今更だが、私は本当に自分の能力を使いこなせていない。

自分にがっかりだ。


「カミーユ、それは暗に俺の事も責めています。…俺も無能ですね」

「いやいや、そんな事無いから!」


単純である。視てみた。視たら曇っている。濃い薄いはあるけど、ナニコレ?

悪霊大量生産中?

私とマリエルの周りはもう弱っちいのは触れただけで勝手に浄化されちゃうから基本常にきれいな状態。だから、基本の視る事をまた忘れていたわけで。


「マリエル~…また先に大っぴらにきれいさっぱり聖水で流してしまっていいですか?」

「いいでしょう」

「ホントに?」

「冗談です」

「ですよね」


でも、聖気・神気・聖水の大サービスで一気にきれいにしちゃいたい!

聖水の大雨とか、どっかんで溜まっているのを放出したりしたいんですけど。

もう、前の国みたいにいらん世話を焼くのも面倒臭いんですけど。

っていうか、こんななら、やりたい事を楽しむ為の努力はもっと汚れていない国でしたいんですけど!!


「どうなっているのよ、この星」

「だから悪魔の方陣なんてものが存在して、あの世が応援を頼んだのでしょう」


…ですよね。なんて迷惑。


「何だかんだでさぁ、きっと最初って結構まともな国に召喚されたんだ」

「いや、違うと思いますよ。隣りの聖国が比較的まともだっただけでしょう」

「そうね」


あそこの城といい礼拝堂といい、町といい酷かったものね。


「この国の神子も不幸な人生を送らされたのかな」

「どうでしょうか。ただ言えるのは、地球人の魂はここでは転生輪廻に入れず彷徨い続ける事になるだけということです」

「うん」


そうだ。私達はこの国に残された魂を地球あの世へ還さなくては。

ちゃんと破壊して、二度と召喚なんてさせない。


現存する神子の魂も地球あの世と繋げなくては。

任務とは違うことだけど、同郷の者として、仮にもあの世特務課の者として、地球で神様をしたことがある者として、放っておくことは出来ない。




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