64 地方へ
「「「~♪ウララ!~~~~♪ニコくん!~♬~~キラくん!!~~~~♪~」」」
私に返ってくる。
「「「♪~~ミュウちゃん!!~~~~♪ ♬~ ~~♪」」」
紹介も兼ねて歌い踊る。五人用の曲を替え、歌を四人で歌えるようにした。会場が沸く。
やっぱり歌が好き。音楽って楽しい!
アニメソングが1番好きなのは変わらないけど、こうやって歌い踊れる事が幸せすぎて神気が溢れそうになる。
「~~I ~~have♪~~~~♪~~~」
「~~~~永遠の夢~~~~♪」
「「♪~~fufu♪~~~~♪」」
「~~♪~もぬ~けて~♪~~」
曲目がどんどん進行されていく。
「「~~~~~~羽があーるー♪~~」」
「~~~笑っていて、~~~~♪♪♪~~」
ソロもデュエット曲も順調に進む。
会場内が熱くなる。別の曲では雰囲気がしっとりに変化する。
演出や私達の見目にうっとりする人も曲に引き込まれて涙を流す人も居る。
楽しみ方はそれぞれの自由だ。
キラが歌う愛の曲は私への愛情が込められていて胸深くに届き響く。
ああ、ずっとこうやって会場で一体となった快感を楽しみたい。
この共有する時間を永遠にしたい。
そっと聖気を流す。色とりどりの空間に流した聖気は認識されずに会場を浄化していく。
何度開催しても倒れてしまう人がいるのは悲しくがっかりさせられる。せめて同じ人じゃないといいなって思う。…楽になりたくて来ている常連さんも居るんだけど、そういう人に関しては仁応達がどうにかするべき事だと考えるので手は伸ばさない。
しないよりはまし。その程度。道徳、真理、倫理、宗教。どんな形でもいいから知識を与えて欲しい。
最も五家に望むことがそれ。
そういう意味では地球で幾度も起きたあらゆる宗教戦争が無駄ではなかった。
結局、神や仏の存在を、天国と地獄を心の奥底では信じているのだから。
世の中にそれを題材にした書物や映像が溢れているのだから。
そういった結果をみると、この異世界にもそういった内容が普及してほしい。
基本的にいい人っぽい方々が多いのに魂的に今一つ発展途上感がある不思議。
その場しのぎではない方法を五家で考えて広めて欲しい。
「それじゃ、お仕事はじめま~す」
と集めてみたけど、実際に行動するのは五家。私達はここを去るんだからね。五家に継いでもらうことには変わりないんだし。ただ、この五人の次代からはもう少しきちんと検討して指名をして欲しいものだ。
「マリエル、私が仕切っちゃっていいかな?」
「ええ、勿論です」
「では、仁応と礼梦はこのパワースポットからそっちとあっちを繋ぐのを担当ね。もう繋いであるって言いたいんでしょ?結んだ形跡はあるんだけどこれじゃ細い。今回は幸い天使教の位置がちょうど五芒星を描くのに丁度いいからそれを利用するよ」
地脈や地場、エネルギーの溜まり具合で形は変わるけど、今回は偶々五芒星の配置が出来そう。
「あなた達五家の仁義礼智信てまだ続きがあってね意味もあるんだよ。詳しくは各守護サマに聞くといいよ」
ま、いずれ五家じゃ足りなくなるだろうし、人員を増やす時や九字以上きることになるときの為に調べておくといいさ。きっと神子の歴史や資料探せば出てくるでしょう?五家なんてあるくらいだもの。正確じゃなくてもそれっぽく話してあるんじゃないかな。うん。
「盛義は先行しておいて。ここはあと二日間公演があるから大急ぎじゃなくてもいいけど、私達の移動速度もまあまあ早いから、そこそこ急いだ方がいいかも」
「承知」
で、信心と智胡利を見る。
「何よ。早く言いなさいよ」
どうしよっかなぁ。この二人には漫画の方の仕事をさせたいんだよね。素直じゃないし頼りない所も多分にあるんだけど、五人の中で現実を生きている感が一番あるのってこの二人なんだよね。挫折を経験して夢と希望を諦めなかった精神は、ただ言われた事だけをこなす盛義や人生経験がまだまだ不足している仁応と表面しか見れない変態素質?がある礼梦よりずっと大地にしっかりと根を張って生きている感じがするもの。
「二人はさ」
そう言って地図を開く。それはマリエルに作って貰ったものだ。地球のものほどの精度はないけど、落書きの様な今までの物と比べたらドラゴンと生まれたてのトカゲほど違う。私の評価でだけど。
「共同でも別々でもいいから、アトリエと製本と販売。それをして欲しい。漫画の学校の支部とかも作って運営して欲しい」
「げ」
「え~」
信心がえ~と言いながら内股になっている。ビビりすぎである。
「二人だけでやれって言っているわけじゃないよ」
「そうは言っても、ねぇ」
「僕、無理です!」
「商工会にも頼んでおくから、やりなさい」
「ちょっと、無茶よ!」
二人ならやれると思うんだけどな。
「やれるよ。あなた達なら出来る」
私もちょっとは成長してる。だから丸投げ…じゃなくて任せるってことができるんだから。
『嘘つけ』
『どの口が言ってるのかしら』
『多少図太いくらいの方が魅力的に見える事もありますから』
『僕、マリエルの趣味理解できない』
失礼ね。きこえない、キコエナイ、聴こえな~い!
「ギルドに求人出して人を使いなさい。商工会には青雲の志名義で依頼も出す。面接は守護サマと商工会員を頼る!私達の学校の権利は譲る」
二人から戸惑いが消えない。
「私達、このツアーが終わったらこの国を出るの」
「えっ?」
いつまでも私達に寄りかかるつもりだったのかな。
「私達はこの国での使命は果たしたよ?」
そう、すでに終えているのだ。
「えっ?」
《何ですと?》
守護サマもまだ私達をいい様に使う気でいたのかな?さすがにねぇ…守護サマのそれはお仕置き対象になるよ。
聖糸の神気版を初挑戦!今の私の扱う精度なら多分できる。
『やってしまいなさい、カミーユ。俺も参戦したいところですが』
『わたしだって神気を操れたらやってしまいたいですわ』
『っつーかさ、いい加減学習しろっての。あんた達の世界だろ?』
『こんな者達のせいで我々がこのような思いをさせられるとは』
『後の事まで考えてあげるのやめて滅して終わりにする方が精神衛生上良いと思いますわ』
『早くやっておしまいなさい、カミーユマークツー!』
人が集中してるっていうのに、どいつもこいつも…!!
「あ~~~~もうっ!うるさいっ!煩いっっ!!五月蠅いっっ!!………ウルサ~~~イ!!!!!」
私の中で力が半暴走しているのを感じる。
一本にしようと思っていた神気の糸は本数を増やしブワァと伸び絡めとって各々を締め付け始めた。
制御は辛うじて出来ている。
神気の糸は守護サマ五人だけでなく、信心、智胡利にまで及んでいる。
うるさくて私を苛立たせたマリエル、リコル、ジルにも伸び締め付けている。
「謝らないからっ!皆勝手なんだから!」
分かってもらえない悔しさからなのか、目に涙が滲んでいるせいで視界がぼやける。
「誰のためにここまでしてあげていると思っているのよ!」
言ってからハッとした。
制御が緩み皆を解放している。彼等が膝をつきぜいぜいと呼吸の乱れを整える姿が映る。
そして私から血の気がひいていく。
「違う、違うの。そうじゃなくて…」
反応は別れた。
信心と智胡利は解放された事に安心の様子。ぐったりしていて私の様子なんて目に入っていない。
守護サマは何とも言えないという空気を発している。
そして。
ジルとリコルは驚きに固まり。
マリエルは悲しみと怒りを併せた周りを凍り付かせるような表情をしていた。
「違うの。そうじゃなくて、本心じゃないのっ」
違う。解っている。本心だった。
「皆さんすいません。こちらは気にしないで、言われた事に取り掛かって下さい。守護サマも…いいですね?」
「分かったわ」
「はい。泣き言言ってすいませんでした」
《承知しました》
《承知しております》
皆が下がる前に声を絞り出す。
「皆、よろしくね。皆の為にって思っているのも本当だから。大変だけど、宜しくお願いします」
私は頭を下げた。
様子が変わった事に気付いた智胡利が最初に返事をしてくれた。
「…感謝してるわ。頑張るから。ありがとう」
「っ!任せて、下さい」
「こちらこそありがとう」
人が居なくなったのを確認して部屋に戻った。




