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60 守護様の義務

『あ、来た』

『来ましたわね』

『水と油になる?』

『守護サマは信用ならないですね』

『だね』


来たのは男。その男は仁応にんおう信心しんしんよりもしっかりとした体をしている。体だけでなく顔からも見て取れる逞しさ。性格は明るいのだろうと思わせる表情。熱血漢?ではなさそうだ。深慮とは縁遠いところにありそうな口調。体育会系ってやつなのだろうか。まともな人であって欲しい。そう、願う。


募集した中に居た青年。

五家の一家、家の盛義もりよし。本人とは仕事の話だけ行い、他は守護サマとだけ行った。私達の事は盛義にはまだ内緒にしてもらう。

面接を終えた後に再び守護サマと話す機会を設けていた。


「おいっ、アンタ等!いい加減にしろよな。五家で協力しろって言ってんだろ!」


リコルがブチ切れる。マリエルが静かにキレル事の方が多いので、リコルが声を荒げるのは珍しい。それだけ守護サマを腹立たしく思っているのである。

でも、私もリコルに一票だ。この人達にはもう、本当にいい加減にして欲しい。

智胡利ちこり信心しんしんは順調に成長を見せている。だがしかし、守護サマ達は相も変わらず口先の返事だけで協力体制が出来ていないのだ。私達を敬うそぶりをちらつかせながら、利用する気満々で、その為なら嘘もさらりと悪気の欠片も覗かせる事無く吐く。

信心しんしん智胡利ちこりを育てるのは勿論、守護サマももっと成長して貰わねばならず諭しながら裏仕事を始めてもらっていた。

悪魔の浄化が私達の任務であるが、未然に防げる事ができ、再発防止できるならその方が後々のお互いの為になる為、私達四人も力を尽くそうと頑張っているのに。

なのに。

仁応にんおうの守護サマから接触があり、この世界、この国の為に共闘する事を求められた他の守護サマは突っぱねたそうだ。高いだけで何の役にも立たない、むしろ邪魔なだけの自尊心。だったら自分達だけで始末しろってんだ。


私達が送り込まれた理由を理解しているのだろうか?そちら側が頼んできたのだ。

高位の霊のはずだが、疑わしい。あまりにもお粗末過ぎる。

程度が低い。無能とは言わないが、霊の格が低すぎやしないだろうか。

上位・高位の守護役にはふさわしくない。

この世界のあの世か地球のあの世と直接連絡が取れたらいいのに。

私の中に今更な疑問が起こる。


「どうやって応援要請したの?不干渉であることは、そう刻まれているから知っているはず。どこで誰が?」


私にとってはの疑問はマリエルによってすぐに解決される。


「カミーユの記憶の復元が完全ではない…。いいえ、心結みゆうとして生活している間に分かった事もありますから。改めてその辺の認識を統一しておきましょう」


記憶の記録に関しては、おそらくは人間だから容量の問題もあるのだろう。無意識に整理されてしまったから忘れた隅に追いやられたりしているものがあるはず。人の体で、あの世と同様の記憶を保持する事など不可能だ。それが出来たら人間ではないかもしれない。


「科学部の一部が堕天したのが始まりです。地上でタイムマシーンが完成し実際に使用された事は覚えていますか?」


肯定の意で頷く。


「時空旅行は事故が多く、あの世・この世共に開発の継続も研究も利用も禁止されました」


人類が夢にまでみた過去への旅。

何人かが行ったが、人体の破損・時空のどこかで行方不明・機械の故障・諸々の事故が起きた。

干渉によって起きてしまった変化。

その被害は二次被害も招き、終息させるには時空旅行だけでなく、あらゆる理由を認めず、全ての時空間移動を禁止させることとなった。研究資料もタイムマシーンも廃棄となった。

研究者はそれをよしとはしない。隠れて研究を行う者はあり続けた。


あの世とこの世。

二つの世の研究者の欲は引き合い結びついた。


では、なぜ、どうやって、不干渉である世界から応援要請がきたのか。

マリエル達もその辺はまだ曖昧な部分が多いらしい。知らされていないだけかもしれないが。

特務課と連絡がつけられる手段があれば、新たな情報と展開が見込めるのにと肩を落としている。

そういった意味では、何も解決しなかった。






さて。五家の四人目盛義もりよしその人は前三人よりまともそうであるというのが私の感想だ。だが、今度は守護サマがなんだかなぁという状態だ。


盛義の先代は、その父であった。

守護サマの教えというより、それまでの継承者がしっかりりていたのでまともな形で受け継がれている。私はそう判断した。

だが、やっぱり五家というべきなのか…。

この盛義もりよし…戦隊モノの昔のレッド気質というか。そこまで熱く暴走する様子はないが、系統としてはそうであり、割と単純な様に見える。

であるからなのかその仕事に疑問を持つこともなく真面目に学び、先代達に倣い修行の旅に出て、できる範囲で浄化もしていたらしい。この国が保たれていたのは義家のお蔭なんじゃないかと考える。

出会った五家の中ではまともであり、他三人よりも年長者のようであり、自立もしているようだ。ならば、彼を中心に任せてポイしたいところなのだが。躊躇う理由は非協力的な守護サマ達。


よし。守護サマの上役を呼び出そう。

その大事な役目、取り上げてしまえ。

できなきゃ、心を入れ替えるまでたっぷり叱って貰うといい。

お目付けだって付けてもらっちゃえ。

恥ずかしいだろうなぁ。ふふ。


私が浮かべる笑顔は、今はきっと美人じゃなくなっている。

マリエルに引かれちゃうかな。万年の愛も冷めちゃうかな。

そうだったら嫌だな。困る。

そんな事を考えながらマリエルを見ると───何故かどこかウットリとした甘やかさをもった微笑みを浮かべていた。でも、背中がぞわっとする。


「あの、マリエル?」


マリエルの目にきちんと光が戻り、私の頬を両手で包む。

先程までの微笑みは何だったの?すっかり温かさが戻ったマリエルの手に私の手を重ねる。


「さすが俺の伴侶です」


えっと。気持ち的には過去も未来も永遠の伴侶だけど、戸籍はまだですよ?でも、嬉しいからいいかな。


「足を引っ張るだけの奴らには相応の、ね?」

「ハイ」


えっと。私は穏便に済ませたいんだよ?直接どうこうしたら角が立つし。平和主義ですから。

見つめ合う。目がコワイ。

手を離そうとした途端、その手は頬から放された手でさっと摑まれる。ちょっと力を入れてみるけど全く動かない。手は固定で体が揺れるだけだ。


『ジル~…リコル~…!』


期待を込めて。


『た~す~け~て~~~~~!!!』


声には出さないよ。だって、そうしない方がいいような気がするんだもの。


『『イヤ』』


早っ。

直ぐに念話で返事があった。


「心ここに在らずですね。今は俺だけを」


いや、話の内容的に無茶でしょ!そうじゃなくて、その物騒な気配どうにかして!


「でもね、ほら、あんなでも協力者なんだから。選手交代!とかって感じで穏便に運ぼうよ、ね?」


マリエルの笑みが深まる。

これ、駄目なやつですね。


守護サマ。

ご愁傷様です。

でも、あなた達が悪いんですよ。


誰も、怒ったマリエルを止められませんから!



「あの世特務課」、今年初の更新です。

「まだ携帯電話は要りません」が完結しましたのでこちらの更新を再開します。

もう二月半ばですが、引き続きよろしくお願い致します。


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