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39 拠点(前)

さて、戻ってきた我が家。

ジルとリコルも呼び戻し会議です。


「ということで、まずはお引越し!」

「だぁー、何が、ということでなんだ?」

「マリエル、説明してくださいませ」


あれ?突っ走りすぎちゃった。おかしいなぁ。


「カミーユのあれについては諦めてください。引越しについてですが、俺達、大分知名度も上がり顔も割れてきていますのでこの場所では却って不審を持たれ詮索などされるおそれがあります。

安全面に於いても危険を感じるお粗末さです。何がまずいって見られた時に生活感が全く無いことです。それを誤魔化す為に置いたはずの物が…今では、それこそがわざとらしく不自然さを出しています。四人でこの部屋っていうのも無理がありますし。

四人ともここに大事な物も置いていませんし、もし泥棒や変質者、ストーカーが入ってもその点では困る事はありませんが」


そうなんだよね。お金ははっきりいって全く困らない。今や仕事は引く手数多!

人気があるからむしろもっと大きなホールですることを望まれるくらいだし、回数ももっと多くを望まれている。

でも、顔が見える距離っていうのもいいじゃない。回数だって、望まれるままやったら惰性で質が落ちていくだろうし、お互い飽きてしまうもの。

それに、広すぎないからこその良さっていうの?あの、呼んだら探してこっち向いてくれた時の幸福感といったら。手を振り返してもらえた時の喜びとか。伸ばしても手は届かないけど、同じ空間に居るって同じ空気を吸っているっていう実感。日本に居る時に貰ったのを、世界は違うけどこっちで少しでも返したい。

皆で幸せになろうよ!

つい、心で熱く語ってしまった。


で、早速お引越しということで、翌日は四人で不動産屋に向かった。あまりテレポートを使わない様にしようと決めたはず、まだ心の中でだけだけど。けど、けど。やっぱり建物自体に拘ったら…ほら、安くてそこそこ広いのがいいなぁとか。でも気に入った物件なんか無くて。じゃあこっそり自分達で建てちゃう?とかなったりして。その結果、街外れの方が都合もよくて。街中はアパートで揃えて整えられているし。今更だけど隣近所が気になるし。建築する旨を伝えたらそういうのも紹介されそうになったけど私が図面引けるし、他の三人が建築技術を持っていると説明して断った。


つまり、何処になったかといえば…

一般的にはこんな不便なところ誰が住むかって思うような所で…

まだ、路面電車もない所で…っていうか、多分開通される事は無いと思われるところで…


えっと、自分達で好きなようにしたいから、

一般にはアパートに住むのが常識で、一軒家を持っているのは極々僅かの人達だけで、審査も必要だったりして…それで、不動産屋も役所も許可を出してくれて、


旧オーカム王国の土地を買っちゃいました!


利便悪し、山の中。手入れされてない木々。もしかしたら獣もいるかも?

そんなところで本当にいいのか、活動はもうしないつもりなのか?などなどそりゃまあ色々尋ねられましたけどね。人気者は大変です。

許可がでた理由の一つに、青雲の志がここに拠点?を構えることによって開墾、移住の見込みがあるからだとか。そういわれてしまうと逆にじゃあ止めますと言いたくなるところなんだけど、土地を広く確保しマリエル特性結界を張り、外の木・マリエルの風魔法・私の聖水・私以外の三人の身体強化などでひと月でログハウスを建てちゃいました。そこから更に内装、家具、食器などなどあーでもないこうでもないと四人で楽しく選び、気がつけば季節がまた一つ終わり。

そして、本当に四人の家が完成!

結界効果で、私達を訪ねる人にとっては迷いの森、本当にただ迷い込んだ人にとっては迷わずの森となりましたとさ。

…ログハウスは「見せ家」用に建てただけだから使うことは少なそうかな。あんなに懸命にやったんだけどね。いやいや、楽を覚えすぎるとぼろが出ちゃう。うん、この家での生活も楽しもう!


こんな事をしていた為、少しばかり活動をお休みしていたら…何故か謎めいたグループ扱いになりました。




久しぶりに商工会に赴いた私達四人。


「やっと来た!しばらく来ないとは聞いていたけど数ヶ月単位で来ないならそうと言ってよね。もう!」


確かにコンサートは開いてなかったから結果的に曲珠の販売もしていなかったわけなんだけど。


「問い合わせと依頼が多かったのよ」

「それは大変でしたね」

「もう、キラくんてばまるで他人事ね」


実際、他人事だよね、とは突っ込まない方がいいんだろうな。マリエル以外はエリカさんと目を合わせない。


「ええ。その通りですから。それで?」


エリカさんが諦めた様子で肩をすくめた。


「貴族街からの依頼を受けて下さい」

「おや?」


決定権は私達だよね?


「依頼者が変わりました。だから受けたわ」

「それは商工会への貸しイチということで宜しいでしょうか」

「…いいわ」

「では、お話を伺いましょう」

「レイさんてやりづらいわ」

「今はキラです」

「はいはい」


この二人の間では時々「貸し借り」があるみたいだけどそれぞれ幾つあるんだろう。マリエルが負けることはないだろうからこっちが不利になる事はないと思うけど。


「それと」

「それと?」


もう一つあるのかな。


「教会の無料イベントに参加してください」


無料?私達の参加が望まれているということはチャリティコンサートの様なことをするって事なのかな?

教会ってあの教会かしら?


「知っているかどうか分からないけど、旧王国屋敷の敷地を天使教だったかしら?を立ち上げたのよ。あの神の御遣いの奇跡の御遣いの天使を御神体として祀る事にしてね。

勿論、御神体は御遣いをかたどった像だそうだけど」


私達がモデルですか。


『三人共どうですか?』

『わたしは興味がありますわ』

『丁度いいんじゃね?やろうぜ』

『いいけど、なんか恥ずかしいなぁ』


エリカさんの話が続く中、念話で話し合いを続ける。


『まぁもうすでに引き受けてあるっていうんだし、やるしかないじゃん』

『ふふ、ワクワクしてきましたわ』


ジルとリコルはやる気満々だぁ。


『カミーユも問題ありませんか?』

『うん。ほら、私は基本的にマリエルと一緒だったら何でも楽しめちゃうから』


マリエルが少し頬を染めてポリポリと掻く。


「あら、キラくんどうしたの?」

「ああ、なんでもありません」

「そう?」


そんなマリエルを目にして私達は思わずぷっと吹き出した。


「カミーユ、足腰立たなくしてあげますから覚悟しておいてくださいね」

「ミュウです~」

「ジルとリコルも覚えておきなさい」

「げっ」

「忘れますわ」


なんかいつもと違うオーラが視界にちらつくわ。


「おい、青雲の志サン。仕事しろや」


エリカさん、ガラ悪いですね。私達がさせたんですね。はい、今は真面目な場ですね。

はい、ふざけてすみません。

ごめんなさ~いいいいい、エリカさん!!!


「そ・れ・か・ら!いい加減、新曲出しなさい!割引券は飾りじゃないのよ!」


はい~!私に限ってはすっかり忘れていました。

ごめんなさい、ファンになってくれた方々。

青雲の志、活動再開します!


青雲の志雲隠れ!


謎に包まれている彼ら。彼らは一体どこに?


〈情報提供・A不動産〉「具体的な場所は個人情報なんで言えませんが何でも家を建てるとか言ってましたよ。本当にやるんだかどうだか知りませんがね」


〈情報提供・商工会職員B〉「さぁ、何処にいるんでしょうかねぇ。でも、ミュウさんとキラさん、本当にラブラブですからもしかしたら赤ちゃんでもできたんでようかねぇ」


おおっと!あの二人が恋人同士なのは事実なのか?

こういう時の合言葉!「爆ぜろ!」

おおっと失礼。


〈情報提供・商工会職員B〉「担当者に聞いて下さい。規格外の担当は大変ですねぇ」

〈情報提供・商工会職員C〉「ああん?どこにいるか知りたいのはこっちよ!」



青雲の志:キラ(リーダー)、ミュウ、ニコ、ウララの四人組。

     本名非公開。

     商工会イチオシ。デビューコンサートのチケットは常に売り切れ。

     曲珠もコンサートでしか買うことが出来ず、入手困難。

     今、最も注目を集めている彼らだが不明な事が多い。

     コンサート時に、キラ×ミュウ、ニコ×ウララであるという爆弾発言

     があったと言われているが、事実か否か。

     これからの活動に注目したい。


*青雲の志は吟遊詩人ではなく、「歌手」である。


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