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放課後、僕はなぜか校長室によびだされた。
「なぜか」と言ったが、だいたい理由は分かっていた。おそらく先輩に関して警察が事情聴衆でもするのだろう。
付き添いもなく、一人で入れと言われた校長室は、ものものしい空気が満ちていた。
「一年二組の滝本佑です」
上等な机の両側にソファがあり、その片一方に男の人が二人座っていた。
「滝本くん、ね......そこに座りなさい」
男の人たちの向かいの席だった。失礼します、と言って腰かける。
「わたしはおのかずきといいます。早速滝本くんに質問していきたいんだけど、いいかな?」
さっき僕に声をかけた人だ。中肉中背、一昔前のスーツをだらしなくはおり、髪の毛は四方八方自由な方向にはねていた。少し前のめりになって、やや上目遣いで僕をのぞきこむ。本当に警察だろうか。
はい、と僕は息を吐くのと同じぐらい、何の力も入れずに応えた。それは自然な響きだった。僕はとても落ち着いていたのだ。自分で言うのも変だが。
「ではまず、果部ふささんという方についてあなたが知っている限り教えていただけますか」




