長男の宣誓
長男はるきがもじもじしながら「そらちゃんが好き」宣言をしてから数日たったある日のこと。
「おかあさんあのね、りおんちゃんがぼくとケッコンするんだって」
長男はるきは、えへらっと締まらない顔だけれど、どこか他人事のような言い草です。
「へぇ、はるきはりおんちゃんが好きなの?」
「んん? わかんない」
うん、りおんちゃんの片思いか。
そらちゃんが好きって言ってたしね。
「結婚って、いちばん大好きな人とするんだよ?」
「そっか。じゃあぼくおかあさんとケッコンする!」
おふっ。意気揚々と一番大好き宣言をいただきました。
嬉しいけど……マザコン、だめっ!!
と、自分に言い聞かせ、心を鬼にして突き放すことに。
「残念だけど結婚はひとりとしかできないんだよ。おかあさんはもうおとうさんと結婚してるから、はるきはべつの人と結婚しないとね」
「んー、じゃあぼく、そらちゃんとケッコンする!」
拳を空に突き上げ、元気いっぱいの宣言です。
かわいいなぁとほのぼのとした気持ちでそれを眺めて、ぽんと頭を撫でます。
「そっかぁ、そらちゃんか。でもはるきが好きなだけじゃだめだよ。頑張ってそらちゃんに好きになってもわらないと結婚できないからね?」
「うん!」
それはそれは、輝くような満面の笑みで、長男はるきは誓ったのでした。