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おおきくなったら


 ある日、次男りくとが料理をしている私のそばにきて、お話を始めました。


「あのしゃぁ、ぼくしゃぁ、おっきくなったらしゃぁ」

「うん、なにになるの?」

「カブトムシになりたいんだぁ!」

「かっ、カブトムシ? ライダーのカブトとかじゃなくて、夏に飼うあのカブトムシ?」

「うん!」


 手が離せないので返事だけなのですが、なにやらとっても自慢げにお話しているのがかわいかったので、ちょっと意地悪を言ってみたくなりました。


「そっかぁ。でもさぁ、カブトムシって手のひらに乗るくらいちっちゃいよね。大きくなるんじゃなくて、ちっちゃくならないとなれないんじゃない?」


「………………」


 おや? 返事がない。


 と、思って振り返ると、そこにはぎゅ~っと膝を抱えてしゃがみ込んでいる次男が。

 しかもすっごくまじめな顔で私を見つめている。


 あ。小さくなろうとしてる!


「……ごめん。大きなカブトムシになれるといいね」


 なでなでしたら、不安そうな顔がにぱぁっと明るく輝いて「うん!」と返事をして去っていきました。



 その小さな背中を見送りながら、私は思うのです。


 よく映画とかアニメとかで異形に変わった子供を変わらず慈しむ親が出てくるけど、もしあいつが人間大のカブトムシになったら、我が息子でも逃げるかもしれないなぁ……、と。

 だって、巨大カブトムシでしょ?

 下手すると、巨大幼虫でしょ!?

 せめて手のひらサイズの成虫か、カブトのライダーとかだったら、大事にするんだけど。



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