壁ドン
ある日、ちび達が3匹仲良くのんびりテレビを見ていたので、私はポメラでパチパチと執筆しておりました。
「ねぇおかあさん。そらちゃんに壁ドンしたら、僕のこともっと好きになってくれるかな?」
「はぁ?」
にやりと笑うはるきくん。
なにかと思えばテレビで壁ドンできゅんっ☆なシーン特集みたいなのをやっておりました。
「うーん……やめといたほうがいいんじゃないの? あぁいうのは諸刃の剣だからさ」
保育園児が壁ドン……想像しても釈然としないというか想像がつかないし、ましてやへたれはるきが壁ドンなんて笑っちゃう……なんて考えておりました。
「モロハのツルギってなに?」
「逆に嫌われることもあるってこ、と……」
説明しながらパチパチ執筆していたのですが、画面の向こうににゅっと現れた影。
ポメラを気にせずに近づいてくるので慌てて閉じて避ける。その間にもソファの背もたれに手を突き、鼻がつきそうな距離でにやりと笑ったのは、次男・りくと――
…………ドキッ。
ふ、不覚っ……!と思う間に、次男はいつものようにへらりと笑います。
「キュンって、した?」
「し……してない!」
「したでしょ~?」
「し・て・な・い~!!」
それからしばらく、はるきとりくとは私が座っていると唐突に壁ドンをしかけてくるという迷惑な遊びをしておりました。
ところで余談ですがこのとき「ボクもそらちゃんにしてみる~♪」と宣言し、なおかつ私には何度も壁ドンを実践したはるきは、あれから1年以上経った今もそらちゃんに壁ドンはしていないようです。
まぁ、やっぱり君はそういう子だよね。