最終章:VSセキヤミ・後編
セキヤミにはたかれて吹き飛んだ先にあった家の屋根を突き破り、壊してしまった。幸いその家の住人は既に逃げ出しているらしく、被害は最小限で済んだ。
「うっ」
気力で体を防護し、致命傷だけは避けた。しかしそれでも完全ではなかった。
「うっ、肋骨が……」
起き上がろうとしたら、涙が出そうな痛みが胸部から響いた。どうやら肋骨が2、3本逝ったらしい。
「なんのこれしき! セキヤミ殿はもっとお辛いはず!」
そう自分をさらに鼓舞し、もう一度戦線に復帰する。
「やはりダメでござるか……」
背中の光は変わらず怪しい光を放っている。
4000年分の魂の蓄積だ。完全にそれを消し去るにはしずくの気力100年分を集めたって足りないだろう。
「でも……」
今まで見てきた3人とは違う点、それは、中の煙に取り込まれたのではなくあれを体に埋め込まれただけ。
そしてそれは表面に露出している。
「ならばあれを壊せば、セキヤミ殿はもとに戻るのでは……?」
そう一縷の望みに賭け、しずくは刀を強く握った。
川流で宙に飛び出す。
一度目の斬撃は、水晶の表面に走った見えない膜に弾かれた。
刀身が軋み、腕の骨まで痺れる。
(硬い……! いや、違う。これは……)
耳の奥で、誰かの声がかすかに揺れた。
『……く……るな……しずく殿……、……逃げて……、斬って……!』
「セキヤミ殿……?」
一瞬だけ、紫の奥に、深緑の光が揺らめいた気がした。
(……違う)
こんな地獄セキヤミが望んでいるわけがない。もう既に、セキヤミとジンマの魂が融合しかかっているんだ。
う一度はたかれそうになったところを空中で川流を使って避ける。そのままの勢いで顎を蹴り飛ばした。
セキヤミは怯む。
すぐにしずくは地面に降り、膝のあたりへ川流で体当たりした。
「まだ、動け、拙者の体!」
気力も尽きかけていたが、それでも絞り出し最後の川流を使って背中へ体当たりした。
セキヤミが大通りと平行になるように倒れる。
その背に乗って水晶の位置まで駆けた。
「これで本当に最後でござる!!」
そして刀を振り下ろす。しかしまた、見えないバリアと、頭の中に響いた声に阻まれる。
『斬って! しずく殿!』
一瞬セキヤミの声が聞こえた。
「はあああああああ!」
(セキヤミ殿! 戻ってきて!)
その声で気合いを入れ直し、もう一度力を込めバリアを突破する。
そして水晶を砕くことができた。




