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最終章:VSセキヤミ・前編

 ナミネの作り出した門を潜り抜けた瞬間、空気が変わる。つい数日前に発った街だというのにどこか懐かしく感じられた。

 ———いつものデモル京だ。

 そう肌で感じた。

 しかし”音”は違った。

 たくさんの人の悲鳴、泣く子どもの叫び、避難誘導する警察隊の声……、たくさんのものが入り混じっている。

 デモル京の路地から表へ出ると、叫び声を上げながら人の川が流れて行っていた。しずくは近くの家に飛び乗り、その流れに逆らう方へと走っていく。


「あ……」


 屋根から屋根へと飛び移ろうとした時、足の力が抜け地面に落下してしまった。

 まだ体力は残っている。気力も底を尽いたわけではない。


「負けているのは拙者の心の方……、今は立ち止まってなどいられんでござろうが!!」


 自分の体に鞭を打ちもう一度走り始める。


「いた」


 身長30尺(10メートル)強の化け物……、セキヤミが遠くに見えた。

 腕を振り回すと近くにあった時計塔が壊れ吹き飛んだ。

 そちらに向かって走ってゆく。


「うあああ!」

「も、もう5人も食われたぞ!」


 治安維持組織の武士が叫んでいた。


(! 遅かった!)


 既に人的被害が出始めてしまっていた。

 食われただけでなく瓦礫などの下敷きになってしまっている人もいるかもしれない。


(なら、これ以上は出ぬように抑えるまで!)


 セキヤミの背中に回る。

 

「あった」


 巨体になったせいで分かりにくいが右肩下に紫色の光が見える。水晶が剥き出しになっていた。

 しずくはその肩に飛び乗って、水晶に手を当てた。


「ッ!? ああああああああッ!」


 瞬間、多くの怨念や悲願のような感情が大量に逆流してくる。そんな感覚を覚えた。

 泣き叫ぶ子どもの声、炎に焼かれる街、助けを求める手。どれも見覚えのない光景なのに、胸の奥に直接焼き付いてくる。


「負けん! 洗浄!」


 最大出力で洗浄を放つ……。


「ぐあっ!」


 すぐにセキヤミにはたかれて、330尺(100メートル)ほど吹き飛んだ。

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