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第拾話:魂源「衝撃」

「では最後に聞いておくでござるが……、あの紫の玉はなんでござる? 何のためにあんなものを生産し、配り歩くような真似をしていたのでござる?」

「紫の玉? ……ああ、あれはジンマ様の模造品だ」

「模造品?」

「この水晶に、ジンマ様の魂が入っている」


 そういって出してきた拳大の紫の玉。


「あ、あれが水晶……?!」


 それは今まで見てきた他のものよりも、禍々しく見えた。


(水晶というのは、あれほどまでに濁ってしまうものなのでござるか……?)

「実はもう、あと少しで復活させられるその少し手前までいっているのだがね。問題は、これを使いどう復活させるのか、ということなのだよ。その時がくれば私の肉体を献上する予定なのだが、どうすれば無事復活させられるかは不明だろう? 肉体に埋め込めばいい? その瘴気をすべて浴びればいい? 何もかも不明なのだ」


 そう言って水晶を握りしめていた。


「故にここ数百年を使い、やっとのことでこれの模造品を作り出したのだよ。だが、作るために多くの魂を使う事と、どんな魂を入れたかやその数量によって効果にムラがある欠陥品だったが。それを明らかにしてくれたことは、貴様に礼を言ってもいいかな」

「よーくわかったでござるよ」


 ふつふつと沸いてくる怒りを抑えられず、ついに刀を抜いた。


「貴様とは相容れんという事が」

「私を倒すつもりか?」

「そうでござるよ。師匠の名にかけ、貴様は生かしてはおけぬ!」


 しずくは刀を構え、大神官に攻撃を仕掛けた。

 しかし———。

 ドン!

 空気が圧縮されたような歪みが飛んでくるのが見えたのと同時に強い衝撃を感じ、後方の壁に叩きつけられた。壁にクレーターができる。

 叩きつけられた痛みで悶絶したいのをじっとこらえ、身体を起こす。


「い、今のは……、洞窟の……」


 セキヤミを庇って泉に落ちた時と同種の衝撃波だと感じた。


「これは私の魂源「衝撃」を、遠距離へと射出するために魂源「射出」と組み合わせ編み出した技だ。洞窟のときの魔力砲は、この衝撃波を模して作らせた物だ」


 なるほど、洞窟で魔力砲を撃ってきた副大神官は、この技を真似た兵器を使っていたのか、としずくは腑に落ちる。


「だが、あれよりも、ずっと強力だろう?」

「へへ。たいしたことないでござるよ」


 正直なところあの時よりも強いなんてものじゃない、と思った。

 洗浄で威力相殺を試みたのだが、それでも今、衝撃波を受けた腹部がジンジンしている。


「ほら、まだ行くぞ」


 衝撃波が飛んでくる。しずくは横に走って避けた。

 さらに追撃が飛んでくるがそれも同じように避けていく。


「まるで陸に打ち上げられた魚だな」


 そう嗤いながら煽られるが、しずくにはそれに反応する余裕もない。


(洗浄で威力を相殺してもダメージは蓄積され、その上ただいたずらに気力を消費し続けるだけでござる)


 故に、力技での正面突破は得策じゃない。


(ならば……)

「川流!」


 超スピードと不規則な動きで一気に距離を詰める。

 しかし……。


「っ!」


 刀を手で軽く受け流され、もう片方の腕をしずくの胸の中心に当てられる。


「衝撃」

「かはっ!」


 一瞬強く頭が揺さ振られ、一気に肺から息が押し出されるような感覚と、強い耳鳴りを感じた。

 心臓部に激痛を感じ、血を吐きながら身体が吹き飛ぶ。

 その勢いのまま地面を転がっていった。


「ほう。今のを受けてまだ息があるか。流石に、簡単に殺せはしないようだな……」

「ゲホッ! ゲホッ!」


 咳をし、痛みに耐えながら、上体を起こし大神官を睨む。


「さて、とはいえここまでで与えた2撃だけでも身体への負荷は相当のものだったはずだ。いつまでもつか見ものだな」

(これは、本気でピンチ、というやつでござるかな……)


 大神官は遠距離攻撃ができる上に、近距離戦闘も強い。

 完全に格上の相手だ。

 どうする……。怒りか恐怖か、痛みか無力感か……、既に判断がつかない何かが、頬を流れ落ちていった。

もともと、一月か二月頭には終わるかなーって思ってた短編のつもりだったので、気づけば三月に差し掛かり驚愕しています。

計画性が無さすぎる。

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