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第拾話:ジンマ教団の本部

 数日後、しずくとナミネは、セキヤミの手紙にあった湖に来ていた。

 木槌を投げ入れると湖面がひび割れ、光の粒子が走り、ありえない幾何学模様の階段が立ち上がる。


「本当に……」


 しずくは驚く。

 その光が収まると、金属と光で形づくられた、見たこともない階段が出てきたからだ。


「そう言えばリトラルトの人攫いに力を貸していたそうですねジンマ教団は」


 ナミネが言った。


「代わりにリトラルトからの技術も輸入していたのでしょう。それとこの国の魔法学をくっつけ、このような隠れ家を作ったというわけですか」


 それを聞きながら、階段を下っていく。

 下った先は迷路のようになっていた。 


「人の匂いがしないでござるな」


 生活感がない迷路が続いた。代わりに乾いた金属の匂いだけが残っている。


「例えば木槌ごとに入口が変わるという事でしたら話は分かりますわね。生活圏はもっと奥にあって、過去の木槌を使った者や指定された者以外は遠回りさせられる、とか」


 なるほど。それぐらいの警戒はしているということか、としずくは思った。

 しばらくその迷路や謎解きを2人で、敵に見つからないよう慎重に攻略していった。


 そして何度目かの階段を下っていったその先の廊下、そこが急激に生活感のある場所になった。


「う……」


 咄嗟に口と鼻を覆った。嗅いだことのある臭いがしたからだ。

 人の業を詰め込んだような吐き気を催す臭い。

 人攫いのアジトと同じ臭いだ。あの時と違うのは、その廊下には同じように整列された部屋からいろいろな音が聞こえてきたこと。

 嬌声、水音、肉を叩くような音……。


「ジンマ教団は子どもを犯し、その後食らうことで邪神ジンマに近づこうとする。…………最低最悪の連中ですわ」


 なぜそのような音がするのか、それをナミネがしずくに端的に思い出させる。


(また……、また子どもがこんな目に……)


 手が勝手に刀の柄を握りしめていた。


「お待ちなさい」


 しずくはいつかのエミの姿を思い出す。その怒りのままに刀を抜こうとしたしずくを、ナミネが諫めた。


「今ここで奴らに見つかるような行いをするのは得策とは言えません。ジンマ教団を潰せば彼ら全員を助けることができるのです。今は先を急がないと」

「……申し訳ない」

「いえ、そこがしずくさんの美点ですわよ」


 階下へと向かいながら、しずくはナミネが来てくれて本当によかったと心から思った。

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