46/72
第捌話:北方へ
しずくは以前にも増して依頼を多く受けるようになった。
まるで空いた穴を忙しさで満たそうとしているかのように。
それに対して唯一事情を知るナミネは苦言を呈したが、それでもしずくは手を止めようとはしなかった。
そんなある日のこと。
「霊脈の調査でござるか?」
「はい。ぜひ護衛をお願いできないかと」
セキヤミからまた護衛の依頼が入ってきていた。
「緋焔の龍源。デモル京から遥か北の雪の地にある、この国でも最も霊脈が強い場所なのですが……。どうにも様子がおかしくて、調査に行くことになりましてね」
「……」
流石のしずくでも、さすがに勘ぐってしまう。
「そ、それもしや、また拙者を個人的に連れていこうとしているんじゃ?」
「はい。そうですよ」
「……やっぱりセキヤミ殿も、おっぱい揉んだりとか、したかったりするのでござるか……?」
「ゴホッ、ゴホッ!」
そうしずくが聞くとまたいつかのように、セキヤミがむせた。
「で、ですからしずく殿! そういったことはあまり! 人前で言わないほうが良いかと……」
「冗談でござるよ」
いや、冗談ではなく思ったことをそのまま口にしただけなのだが。
「……その、返事は前と変わらぬでござるよ?」
「わかっていますよ」
こうして北方への旅が決まったのだった。
今回も少し短めです。申し訳ありません。




