第陸話:拙者が、倒さなくては
その晩……。
しずくは夜に目が覚め、村を見て回っていた。
そして、あの秘密基地に向かってみる。
「人の気配? この夜中に?」
小屋の中に入ってみる。
「あ、お姉さん……」
子どもたちが頑張って作ったのであろう、不格好なベッド。その上で寝転がっていたライが、起き上がった。
「真夜中にこんなところに子どもが一人でいたら……、危ないでござるよ」
「ごめんなさい」
しずくは隣に座った。ライは村長さんのところで世話になることになったそうだ。
「申し訳ないでござる。拙者ライ殿の母上を……」
「……いいんです。ああしてくださらなければ、母はきっと僕の事も殺していたでしょうから……」
すんすん、と鼻をすする。
本当に聡い子だなと思った。でも同時にそうしていろいろなものを長い間、抑え込まれてきたのだろうとも思った。
「いいんでござるよ。子どもなんだから格好つけなくて」
そういって肩を寄せた。
「はい……、いや、でも……、うう……」
何かが決壊したように、しずくの胸元で泣き始めてしまった。
そして気づけば、横になり、ライは泣きながらしずくの腕の中で眠りについていた。
「……申し訳ないでござる。拙者が……、いや」
しずくは思い直す。自分が殺したんじゃない。これを作ったジンマ教団が殺したんだ。
自分が自分を責める点があるとしたら、こうなる前に奴らを止めることができなかったこと。
「拙者が、奴らを倒さなくては……」
そう心に誓った。
「すー、すー」
ライの寝息は規則正しくなっていき深い眠りについたようだった。
「こうしていると、昔を思い出すでござるな……」
怖い夢を見て母親に泣きついた幼い頃の記憶を思い出していた。
「会いたいな……」
しずくは小さく呟いた。




