第陸話:燃やす!
「うっ……、今度は何でござる……?」
急に吐き気を催し、頭痛がした。
(そう言えば、先ほどから甘い匂いがする気がする)
どうやら、植物の化け物は周囲に毒を散布していたようだ。
「洗浄!」
体に闘気力を流し込み毒を消す。
「早くケリつけないと、本気でみんながヤバいでござるな」
倒す方法をゆっくりと考えたいところだが、そいつは近くの木々や家屋をむさぼり食おうとする。
それを阻止しようと斬っても斬っても、すぐに再生し、喰らうたびにどんどん大きくなっていく。
その暴走を押しとどめながら、しずくは必死に策を探していた。
「洗浄! あれ……」
数度目、洗浄で体の毒を弾き飛ばした後、急にふらっとめまいがやってきた。
(まずい……、気力の限界が近い!)
ただでさえ消費が激しいしずくの闘気力。
ツルを斬り落とすためにはね飛びまわり、更には毒を体から排除するためにも使っている。
その底を突きかけている。
(くぅ……、早く何とかしなければ……。しかし、拙者のない頭では植物の敵など、燃やす、くらいしか対処法を思いつかず……。しかし拙者魔術など扱えぬし)
師匠から魔術の手ほどきは受けようとはしていたのだが、しずくは才能がなく一切使えなかったのだ。それがいまここで仇となっている。
(いやいや、いまはないものねだりなどしている場合ではないでござろう! 考えろ、しずく! あいつを倒すには……。……火? そうだ!)
昨日ライの母親の家に行った時、火打石を使っていた。あれを使えばもしや……。
そう思い立ち、ライ家の瓦礫に向かう。
そしてその中から火打石を探した。
「! あった! あとは……」
先ほどと同じようにしずくは化け物に捕食される。
(外側からでは芯まで断ち切れんでござるなら、中から斬る!)
そして最後の力を振り絞りそいつを真っ二つにした。その断面に急いで火をつけていく。そして離れた。
作戦は成功し、その植物はしばらくの間ごうごうと燃え続けた。そして最後に残ったのはしわしわに干からびたライの母親と、ひびの入った透明なガラス玉だけだった。




