第陸話:植物の怪物
村には巨大な食虫植物の様な花の化け物がいた。ちょうどライの家があった辺りだ。
「ぎゃああああ!」
手のように動くそのツルに掴まれ、今にも食べられそうになっていた村人を見つける。
「ふっ!」
脚に魂源:川流を付与したしずくが回転しながら跳躍する。そしてそのツルを斬り、村人を救出した。
ツルの攻撃を避けながら離れて、地面に降りた。
「あ、ありがとう」
「いえ。一体何が?」
「それがね。あの家を通りかかったところ、物凄い叫び声と何かを壊す音が聞こえてね。皿とかガラスとか割ってたんじゃないかな。何だろうと思って近づいたら、急にあれが家の中から現れたんだよ」
「……」
しずくは今の話を咀嚼する。
(もしさっきの光があの紫の玉だったとしたら、今度のは感情で変化が起こってしまうタイプだったということでござるか? もしかしたらああいう、イライラしやすいタイプを狙って押し付けた、とか……?)
「!」
などと考えていた時にその花の化け物が近づいてきていた。村人を抱え直し、迫るツルをかわす。
「とにかく、みなをここから離してほしい!」
「しょ、承知しました!」
村人は走って逃げていった。
(あれはおそらくライ殿の母親……。どうにか助けてあげたいのでござるが……!)
ツルをよけ、斬りながら植物に近づいていく。
「洗浄!!!」
魂源を通じて、あの紫の力を洗い流そうとする。しかし……。
「やはり、効かないでござるか……」
また少し離れたところから様子を見ながらそういった。
前の2人にも効果が無かったことを思い出す。
「というか……」
せっかく斬ったツルが再生していた。その上近くの木々をむさぼり食い、体を大きくしていく。
「まったく、ずるいにもほどがあるでござろうが!」
仕方ない、としずくは腹をくくった。
刀を手にしたままゆっくり化け物に近づいていく。そしてツルに掴まれても抵抗をしなかった。そしてゆっくりと口に運ばれていく。
………………。
……。
パァン! 植物が真っ二つに割れた。その中からしずくが飛び出してきて距離を取る。
内部構造を観察し、もし中にあの人がいれば切り離せるかなと思ってやったことだったのだが……。
「やはりライ殿の母は既にいなかった……。あれ自体があの人なんだ」
やはり紫の玉は体の構造事変えてしまう……。一度発動したらもとには戻らないのだろう。
「すまぬライ殿……。拙者はあの者を殺さなくてはいけない」
そうしなくては、今度は人的被害が出るかもしれない。それにどこまででかくなるかもわからない。
そうしずくは覚悟を決めた。




