第陸話:私の子じゃありません
「……ライ?」
ライの母親が声を出ししずくは現実に引き戻される。
「そんなに官僚になるのはいや?」
「……」
ライはただ、こくんと頷いた。
「そう……」
ライの母親は話しながら後ろを向いた。
「じゃあ、もうあなたは私の子どもじゃありません」
「?! え、ちょ!?」
そういってあるいて去り始めてしまう。しずくは困惑してそんな声を出してしまった。
「二度と帰ってこないでちょうだい」
そういって去って行ってしまった。
しずくは一瞬、去っていくライの母親の胸元に紫の光を見た。あの紫の玉と同じ、不穏な色だ。一瞬そう思った。
しかしそれよりも、思ったのと全然違う方向に行ってしまったことに、困惑しどうしようと動揺していた。
「も、申し訳ない! ついカッとなってしまって! まさか自分の子にあんな事を言う親がいるなどと、想像もしていなくて!」
「いいんです、ありがとうございます。嬉しかったです」
「え?!」
ライはしずくに向かって頭を下げた。
「…………」
しかし一向に頭を挙げる様子がない。
「ぐす……、どうしよう……。い、家に帰れなくなっちゃった!」
そういって地面に座り込んで泣き始めてしまった。
「そ、その解決にはならんかもしれぬでござるが、良ければデモル京に……」
と、オロオロとしながら口走ったとき。
「じゃ、じゃあ俺んち来いよ!」
と一人の男の子が言い始めた。
「わ、私の家だっていいのよ!」
「俺だって!」
「私も!」
そうみんなが一斉に言い始めた。
「……」
拙者の出る幕はなさそうでござるな。としずくは思った。
もしそれぞれの親に話がいけば、もう少し大事になって、もう一度しっかりと親子で話す機会も出てくるだろう。第三者の大人を交えて話せばきっといい落としどころが見つかる。
しずくがそこまで立ち会えるかわからないが、とにかくいい方に転がってくれることを願うばかりだと思った。
(! そうだ! さっきの光!)
あの胸元の紫の光は、いつもの紫の玉の光と酷似していた。あれを確認しないと!
よくよく思い出してみたら今まで紫の玉を使った2人も、どこか感情的になりやすかった。もしかしたらあれは持っているだけで、精神に影響を与えるものなのかもしれない。
そう、しずくが思った矢先、ドーン! という音が村の方から聞こえた。
「な、なんだ!?」
子どもたちがパニックになる。
「みんな、そこにいて! 拙者がみてくるでござるから!」
そう子どもたちに言って、村に向かった。




