第陸話:あんたがすっとろいから!!
その日も酒場で依頼を待っていた。
すると30代前半くらいに見える女性が話しかけてきた。
「私の息子を見つけて欲しいの」
そうぶっきらぼうに言ってきた。
「あーえっと、息子さん?」
その感じに困惑しながらも、もしかして事件と関連性が? と思い座るよう促した。
「そうよ! 定期的にどっか行っちゃうの! どこに行っているのか突き止めて欲しいのよ!」
「定期的に? どういうことでござるか?」
「あーもうなんでわからないのよ。だ、か、ら! 家を抜け出してどこかに行っちゃうの! 勝手に! だからどこに行ってるのかを突き止めて欲しいの!」
いやまあそれは確かに危ないんだけど。
そっか。あまり関係なさそうか……。とまたも少し落胆してしまったのだった。
(とはいえ、放ってはおけぬか。そんな風に一人歩きしてしまっていてはいつ事件に巻き込まれるかわからんし。)
とその依頼を受けることになり、その人の出身の村にいくことになってしまったのだった。
その集落は森に囲まれた小さな平原に広がる農村であるため、全貌がゴゥード村よりもわかりやすい。
「えーっと依頼主の家は……」
渡されたメモを頼りに村を歩いていき、依頼主の家に行った。
「遅い! どこほっつき歩いていたの?!」
戸を叩くとすぐに依頼主の女性が出てきてそう怒鳴られた。
この人は性格がきついから苦手だ、と思った。
「申し訳ない」
謝って中に入れてもらう。
「そっちの部屋にいるから会ってきてちょうだい」
と言われ、依頼主のお子さんに会うことになった。
「誰?」
部屋に入ると
こちらもこちらでぶっきらぼうな言い方だった。
「ママ新しく雇った家庭教師ですか?」
「みたいな者でござるよ。言葉しずくと申す。ライ殿と仲良くなるようにと、お母上から」
「ふーん」
かっこ、かっこ……。
時計の音と波の音が静かに部屋で混ざる。
「……」
「……」
男の子は無言で勉強を続けている。
「ちょっとあなたこっちに来なさい!」
扉の向こうで依頼主の声がした。
「ちょーっと失礼するでござるよ」
一度その部屋を出た。
「何やってるの! 話しかけなさいよ!」
依頼主がかまどに火打石で火を起こそうとしていた。
「えと、でも勉強頑張っているみたいでござったから」
「だから何?! あなたが仲良くならないと逃げ出している場所を聞き出せないでしょ?!」
ガタガタ……。
部屋の方からもの音がした。
「! まさか!」
依頼主がライの部屋の扉を開ける。しかしその部屋にはライはおらず、窓だけが開け放たれていた。
「もう! 何やってるのよ! またいなくなっちゃったじゃない!」
そう言いながら頭をかきむしっていた。
「ええ?! 拙者のせいでござるか?!」
「そうよ!」
「あんたがすっとろいから! 早く探してきなさいよ!」
「う、うむ。了解した」
しずくはその家を出た。




