第参話:日記
屋敷内の人に見つからないよう捜索し、地下の部屋に辿り着いた。その牢獄に、女の子が捕まっていた。
(エミ殿と同じ歳の頃でござろうか……)
手首には縄が擦れたような黒い跡、体のいくつかのところには、あざも見受けられた。
「……誰?」
「サエモン殿に雇われた冒険者のしずくでござるよ。そちらは?」
「ナツキ……。もしかして助けに来てくれたの!?」
少し違う気がするのだが、そうということにしておこう、としずくは考えて頷いた。
「ナツキ殿。ここの鍵、どこにあるかとか、わかるでござるか?」
「地主様の書斎の隠し金庫にある、って聞こえてきたことがあるよ」
「そうでござったか。では、少し待ってて欲しい」
「わかった」
一度地下から出て、書斎に行った。10分ほど調べ、その隠し金庫と暗証番号を見つける。
「隠してるからって、油断しすぎでござるよー」
中を開けると牢屋の鍵らしきものと、日記を見つけた。
気になって中を見てみる。
———〇〇日。……ムツキの面影が、ナツキの横顔に宿るたび、胸の奥が焼けるように痛む。彼女はわしが持つはずだった“幸福”そのものだ。それをあんなやつに取られたことを思い出し怒りが込み上げてくる。
———〇△日。ナツキが13歳になったそうだ。婚姻を迫ったのだが「気持ち悪い」と一蹴されてしまった。
この国では、成人が16歳であるものの、13歳から婚姻が可能だ。
———△×日。ナツキが森に一人で入っていった。それを見た時つい後をつけてしまう。村から離れたところで襲ってしまった。しかし、護身用にナツキが持っていたナイフで腹部を刺されてしまった。まあいい。これを出汁にあいつを脅してやろう。
———△△日。今日はナツキの髪を手に取った。ほんのわずかな香りに、またムツキを思い出した。なぜ彼女はわしを拒むのだろう。わしほど彼女を愛している者はいないというのに。
———△〇日。あいつらが持っていた紫の玉を渡す代わりに15歳以下の子どもを村からよこせと言われた。どうせそろそろサエモンが税を払えなくなる頃だ。そうしたらナツキを2、3回食って、奴らに渡してしまえばいい。
「…………。なるほど」
しずくは日記と鍵を持ち、地下でナツキを解放した後、そのまま地主とサエモンがいる部屋に向かった。




