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第参話:魔獣討伐の依頼

 ある日のこと。


「あんたさんでさぁ、最近ちぃと評判の冒険者様っちゅうのは?」


 なんだかなまりの強い年配の男性が話しかけてきた。


「え、えーっと話題の人物というのが拙者であるのかは判断がつかぬでござるが……、一応、冒険者をやっているしずくと申す」

「いやぁ、それがねぇ。うちの村でちぃと困っとりましてな。恥ずかしい話でやんすが、よそ様に頼まにゃならんようになっちまって……。ここじゃあ人目があるけん、詳しい話はできんのですわ。すんまっせんが、一度、村まで足を運んでいただけねぇですかい?」

「もちろ———」


 んでござるよ、といいかけたところで、先日のナミネの説教を思い出す。

 ここで男性の家に行ったなどと、ナミネに知れたらどうなることか……。


「えーっとその依頼って急ぎでござるか?」

「そげな急ぎごとやなかですばってん、旅費がもうのうてしもうたけん、明日までに決めてもらえると助かるとでさぁ」

「では明日朝、またここに来てもらえるでござるか?」

「へぇ、わかりやした。朝いちばんにお伺いしやすよ」


 ナミネを挟んだ面接のような会話があった後、しずくはその人の村、ゴゥード村に向かった。

 

 そこは森の中の村であまり全貌がわからないところだった。

 しかし、一際大きいお屋敷が目を引いた。

 この国では地方は地主と呼ばれる人物が取り仕切って、税の徴収などをしたり、中枢からのお知らせを発布したりする。この地域の地主の家だろう。

 依頼主サエモンの家は、そこから東へ一里もしない場所にある小さな農家だった。


「ああ、しずくさん。お越しくださりありがとうございます」


 家に入るなり、サエモンに歓迎された。

 布団が二つある小さな民家だった。だが……一人しかいないのは、なぜだろう? 朝一番についてしまったのだが、もう仕事に出ているのだろうか?


「この村じゃね、昔からの習わしで、定期的に西のお山さある神社に供え物を納めるとです。ばってん、ここんとこ強ぇ獣が出てきよってな」

「あー、えっと、つまり、拙者にその獣を退治しつつ、供え物を持って行って欲しいということでござるか?」

「んだす。助かるとよ。わざわざすまんでさぁ」


 ということでしずくは西の山に行くことになった。

この人の訛り、九州全体から引用しつつ、ちょっとずつ変えたりしています。訛りの表現って結構難しい……。

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