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第弐話:尾行の果てに

 三人はデシマ駅港を出て海岸線に沿って北へ歩いていった。


「町から出て……? ますます怪しいでござるな」


 顔つきからして、おそらくリトラルトの人間による犯行だろう。捕まっている女性も、おそらく子どもではない。

 今、目の前にいる連中は、しずくが追っている子どもの失踪事件とはおそらく関係はないだろう。

 とはいえ、それを放っておけるしずくではなかった。

 海沿いを1時間ほど歩いた先には、森に埋もれている廃村があった。そのうちの一軒に、三人が入っていった。

 周囲を警戒しつつ、窓から中を覗く。


「え?」


 しかし既にその中はもぬけの殻だった。

 奴らが外に出てきたところは、まだ見ていない。だとしたら、どこへ……?

 しずくは中へ入った。やはりなんの変哲もない廃屋だった。


(もしや拙者の尾行に気がついて、どこか死角から逃げた……?)


 隅々まで調べたが何も見つけられず、一度デシマ駅港に戻りセキヤミに相談しようか、とそう思っていたとき。


(あれ?)


 今歩いた床、少し他のところと音の響きが違う、そう感じた。

 鞘の先でそっと突き、響きを確かめる。鈍く木が軋んだ。


「なるほど」


 そこには隠し階段があった。

 さらに注意を払いながら下へと降りていく。

 海風の音が遠ざかり、代わりに“暗闇そのものの唸り”が耳を満たした。

 階段の先についたときまず感じたのは目眩だった。そして———。


「うっ」


 抗いがたいほどの吐き気。

 酒と汗と清掃を怠った厠のような臭いが、つんと鼻の奥をついた。

 口元を腕で抑えつつ、薄暗く肌寒い廊下を進んでいく。その廊下には外側から鍵をかけられた扉が無機質に並んでいた。まるで牢獄のようだった。

 扉の窓から中を覗いてみる。中にはほとんど何もなかった。だが時々———。


「っ!」


 手足を拘束された全裸の女性が捕まっていたりした。その中には、さきほど男たちに連れられていた女性もいた。

 声を上げる者も、泣く者もいなかった。ただ、どこかで滴る水音だけが続いていた。

 怒りか恐怖か、そのどちらともつかない何かが、しずくの胸の奥で静かに膨らんだ。

 さらに進み廊下の最奥、唯一光が漏れた部屋が見えた。

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