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かったるいから『悪の秘密結社』始めました  作者: 双鶴


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7/7

6話

秋の夕暮れ。キャンパスの並木道は黄金色に染まり、落ち葉が風に舞っていた。講義を終えた学生たちが三々五々帰路につく中、四人はベンチに並んで座っていた。


魔女好きアニメオタクは、夕陽に透ける爪を眺めながらぽつりと呟いた。

「結局さ、遊び半分で始めたのに、ここまで来ちゃったね」

その声には、少しの誇らしさと、ほんの少しの不安が混じっていた。


戦隊悪役推しは、肩をすくめて笑った。

「悪の秘密結社って言ってたけど、なんか普通に起業っぽいよな」

その言葉に、三人は思わず吹き出した。だが笑いの中に、確かな実感があった。


ゴスロリのヘビメタ好きは、黒い爪先をひらひらさせながら言った。

「でも、悪役っぽいノリがあったから続けられたんだと思う。真面目にやるだけじゃ、きっと途中で飽きてた」

彼女の声は、夕陽に照らされて柔らかく響いた。


マンガオタクは唐揚げを頬張り、口をもぐもぐさせながら笑った。

「怖いけどかわいい、退屈だけど面白い――それが私たちの結社だよ」

その言葉は、冗談のようでいて、結社の理念を言い当てていた。


四人は顔を見合わせ、笑った。

その笑いは、冗談の延長線上でありながら、確かに未来を見据えるものだった。


――理念を掲げ、資金を集め、商材を選び、プロパガンダを拡散し、戦闘員を育てる。

その一つひとつは遊び半分の行動だったが、経営学で言えばビジョン、資金戦略、差別化、マーケティング、チームビルディング。

彼女たちの結社は、知らず知らずのうちに経営戦略の体系を歩んでいた。


「悪の果てに見えたもの」――それは、結社が結社であるための答えだった。

理念と仲間があれば、どんな結社も、どんな企業も、動き出す。


夕陽の中で笑い合う四人の姿は、悪役の秘密会議のようでいて、どこか眩しい起業家のようでもあった。

落ち葉が舞うキャンパスに、彼女たちの笑い声が響き、物語は静かに幕を閉じた。

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