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その聖剣、選ばれし筋力で ~選ばれてないけど聖剣抜いちゃいました。精霊さん? 知らんがな~  作者: 溝上 良
最終章

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第90話 お前みたいな聖剣、いるわけないだろ

 










「私の力は簡単だ。過去のやり直し。シンプルだろう?」

「や、やり直し……?」


 オルティメウスの誇らしげな言葉に、私はオウム返ししてしまう。

 やり直し。簡単に言っているが、あまりにも非現実的だ。


 ……あ、聖剣とか魔法とかあるし、今更か。


「そうだ。私が望まない方向に現実が進むのであれば、私は何度でも過去に戻り、やり直すことができる。これが、私がお前たちに勝てないといった理由だよ」

「過去のやり直しということは、つまり……」


 オルティメウスの言葉の重みが、ようやくわかってくる。

 つまり、何度勝ったとしても、結局やり直しを強要される。


 それこそ、オルティメウスが勝つまで。

 ち、チートよチート! バグの修正を要求するわ!


「何度でもやり直す。先ほど、私はお前の攻撃を避けたな? それは、その前に一度その攻撃を受けたから対処できた。そして……」

「死ね!!」

「相変わらず問答無用!!」


 オルティメウスの言葉の途中で、アルが斬撃を放つ!

 全然人の話聞かないわね、相変わらず!


 しかし、先ほどは間違いなく直撃して再起不能なレベルのダメージを与えた攻撃も、オルティメウスは翼を広げて軽やかに避けてみせる。


「この不意打ちにも対応できる。先ほど見たしな」


 なん、だと……? ずるいわ!


「分かるか? これが、人と神との違いだ。人間ごときが、神に勝てるはずもない。歯向かうことすら考えるべきではない。この圧倒的な力の差があるのだからな」


 誇らしげに笑みを浮かべるオルティメウス。

 確かに、強力すぎるといっていいほどの能力だ。


 過去は変えられないのが常識だし、だからこそ取り返しのつかない失敗というものもあるのに……。

 この神は、そういうものがないということだ。


 しかし、その言葉を聞いて、アンタレスはポツリと呟いた。


「……でも、それって今まで最低2回はマスターに無様に敗北して死にかけたということでは? なんだか凄い力の差を力説されていますけど、普通に戦ったら強いのはマスターでは?」

「こ、こら、アンタレス! 思っていても言ったらダメなこともあるのよ!?」


 ちょっと思っていたことだけど! そんなはっきり言ったらダメでしょ!

 オルティメウスは、こんなに格好つけていたのに!


 その言葉を受けて当然平静ではいられなかったオルティメウスは、怒りで整った顔を歪めた。


「……女。そんなにお前から死にたいのであれば、望みどおりにしてや……がっ!?」


 話の途中で言葉が遮られたのは、背後に回ったアンタレスが、後ろから心臓を一突きにしたからである。

 細い聖剣が、神の胸から突き出ている。


 そうよね。アンタレスの能力って、時間が止まったと錯覚するほどに高速で動くことができるものだものね。

 それで、今まで数々の悪人を惨殺してきたんだものね。


 ……それはそうと、師弟そろって神を殺すことに一切の躊躇がないのは何なの……?


「ペラペラと話していて遅いですわね。心臓を貫いたらどうでしょうか?」


 アンタレスはそう言って、酷薄に笑うのであった。











 ◆



「無駄だ」

「うーん、心臓を一突きでもダメですか……」


 またもや巻き戻され、胸を貫かれる前の状態に戻ってしまう。

 なんだか頭がおかしくなってしまいそうね……。


 しかし、アンタレスも困ったように唸っているが、なんというか……危機感が全然ないわね。

 神と戦っていて、相手に強力な能力があるのに、すんごく平然としている。


 頭のおかしいところが戦いで役に立っているのかしら……。


「うむ。即死クラスの攻撃でもやり直しされると面倒だな……」


 アルも少し悩む様子を見せる。

 さすがにまったく気にしないというわけにはいかないようだった。


 どうにか殺せる手段を考えないといけないし、失敗すれば相手に対策をとられてしまうようになる。

 気軽に殺すことができなくなってしまった。


 ……あ、今私凄いこと考えているわね。全部アルに毒されたせいだわ、これ。

 悩んでいるアルとアンタレスを見て、オルティメウスは優越感に満ちた笑みを浮かべた。


「諦めたか? なら、多少苦しませずに殺してやるが」

「ふっ、バカが」


 吐き捨てるように言って嘲笑するアル。

 悪意に満ちたその笑顔は、オルティメウスの顔に青筋を浮かび上がらせるに十分だった。


 少なくとも勇者の笑顔ではない。

 そんなことを考えられているとは知らないアルは、聖剣をオルティメウスに突きつける。


「死ぬのはお前だ。悪が世界に栄えたためしはない。お前という悪は、私という正義の前に完全に滅ぶことになる」

「……なに?」


 ピクリと眉を動かすオルティメウス。

 そんな神に対し、アルは自信満々に告げた。


「そう。この、自分を聖剣だと思い込んでいる愛剣とともにな」

「いや、失礼極まりないわね!? 私は聖剣だって言っているでしょ!?」


 相変わらず私のことを貶めやがって、このクソ男……!

 勢いよく怒鳴れば……なぜか、こっちをじっと見てきた。


 ……え? なに? こ、こわ……。

 アルに見られるの、こわ……!


「……ちょ、ちょっとなに? その真剣な顔。やめてよ、怖いから」

「お前、まだ気づいていなかったのか?」

「な、なにを……?」


 嫌な言い方するわね、こいつ!

 何を言うつもりなの!?


 私はごくりと喉を鳴らして、アルの言葉を待つ。

 アルはやれやれと首を横に振ってから、当然のことのように言った。


「闇の力を操る聖剣なんて、あるわけないだろ」

「――――――」


 た、確かに……。




過去作『自分を押し売りしてきた奴隷ちゃんがドラゴンをワンパンしてた』のコミカライズ1話が、ニコニコ漫画で公開されました!

https://manga.nicovideo.jp/comic/74458


また、過去作『偽・聖剣物語 ~幼なじみの聖女を売ったら道連れにされた~』のコミカライズ第27話が、コミックユニコーン公式サイトで公開されました!

https://unicorn.comic-ryu.jp/9544/


期間限定となります。上記からも飛べるので、ぜひご覧ください。

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 >闇の力を操る聖剣とかある訳ないじゃんアゼルバイジャン ダニィ!?(ベジ○タボイス) じ、じゃあこの聖剣ちゃんは「自分を聖剣と思い込んでるイタい魔剣」だったのか…!? い、いや待…
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