表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/71

第一章 勇者の生と死 4-4



「三人で最後に飲んだ夜を覚えてるか」

「ああ、百足小路の『黒い酔虎亭』だ、あの夜は愉しかったな。三人が揃うのはこれが最期ってわかっていながら、俺たちゃ店の女の子をからかいながら陽気に朝まで飲んだくれた」


「俺たちが初めて出会ったのもあの店だった、まだ生意気なガキの頃さ」

「忘れもしない十七の時だ、場末の酒場に不似合いな貴族の御曹司らしい野郎が入って来やがった。それもまだ十六、七くらいのガキと来てやがる、酒場中の視線がお前たちに注がれた」


「そんなに目立っていたか? なるべく地味な成りをしてたつもりだったんだがな」

「どこからどう見たって、良い所のおぼっちゃま丸出しだったよ」


「まだ一杯目の酒に口も付けない内に、見ず知らずのお前が絡んで来た。なにせいきなり麦酒を頭からぶっかけられたんだ、あのときゃ頭に来たぜ」

「その後はお決まりの殴り合いだ、まだ先代のクラークス親分の部屋住みを始めた頃で、俺も若くって血の気が多かった。場違いなボンボンが癇に障ったんだよ、いま考えると本当にすまないことしたと思ってる」


「店のグラートの親父と用心棒のバスッテルさんに、表へ引きずり出されて手桶の水を浴びせられた。それから俺たち三人は半年も店には出入り禁止にされちまったんだったな」


「そりゃそうと、あのグラートの親父は怖かったな。あの親父がいれば用心棒なんか要らねえんじゃねえかって思ってた」

「そんな親父もいまじゃ隠居しちまって、大人しい息子夫婦が店を継いでる。気は荒いがお人好しのバスッテルさんは、三年後に店の女を庇って流れ者の酔っぱらいに刺されて死んじまった」


「ああ、怒らすとおっかねえけど身体も肝っ玉も大きい、気の良いおっさんだったな」

 懐かしい昔話しが続く。



読んで下さった方皆様に感謝致します。

ありがとうございます。

応援、ブックマークよろしくお願いします。

ご意見・ご感想・批判お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ