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序章 3-8


 

 その時先陣を補佐するために待機していた後詰の神狼傭兵騎士団が、その名の通りにまるで狼の群れのように敵陣へ襲い掛かって来た。

「行くぞ野郎ども、たかが傭兵と侮られるんじゃねえぞ。狼こそ草原の王者だ、俺たちの真の力を見せてやれ」

 騎士団一方の指揮官オウガが、餓狼のような精悍な容貌に狂暴な笑みを浮かべて、先頭を駈けて行く。

 子飼いの傭兵団百騎ほどが後に続く。


「オウガさんに遅れるな続くぞ、俺たちにだって忠心はある。素っ気ない言葉遣いだが真の心はお優しいご領主さまに、金の分はお返しするんだ。今回貰ってる金貨は命の何倍もの額だ、俺たちの命は騎士団のもの、今日が命日と覚悟しろ。逃げ出すやつは俺がぶっ殺すから覚悟しておけ」

 オウガの腹心ぺレウスが、いかにも危ない顔つきで頭だった傭兵たちを睨みまわす。


「逃げたりしねえよ、敵兵よりぺレウスあんたの方が怖ぇからよ」

 大柄なシュピーレが笑う。

「突っ込め野郎ども!」

 ぺレウスがオウガに続いて馬首を巡らす。


 もう一軍を統括するバルクはゆったりと構えている。

「今日の戦で勝てば、俺からオルベイラ卿に掛け合って更なる報奨金を出してやる、てめえら命を懸けて働けよ。俺が必ず報いてやる、襲い掛かれ、猛り狂え、喰い散らしてやれ狼ども」


「兄貴っ、奔るのは俺に任せろ。あんたは全体を見据えてどっしりと構えてくれ」

「頼むぞドルジェ! 俺たち傭兵の見せ場だ、ど派手に突っ込め」

「まあ見ててくれ、がっつりと行ってくるよ兄貴。あんたの傭兵最後の戦だ下手は打たせねえ、きっちりと勝たせてやる」


 バルクの昔からの相棒、傭兵騎士団副官のドルジェが、周りに見せつけるように拳を天に突き上げ馬を奔らせる。

 一気に尖槍陣を壊滅させるべく追撃態勢に移った所に、オウガの率いる傭兵騎士団に喰らいつかれた敵右陣は再び混乱に陥った。


 攻勢に出ようとした瞬間を逆に衝かれると、その被害はなん倍にもなる。

 オウガの援護を得て、尖槍陣は無傷で敵陣を走り抜けていた。

 援護が遅れていれば、小勢のリッパ―騎士団は壊滅していたかもしれない。



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