表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
167/336

覗く片鱗(十八)

 雄大は何事かと思う。手紙を覗き込んだ友香里が、隣で驚いているからだ。しかし、友香里が思わず叫んだのも無理はない。

 その手紙は、日本語で書かれていたものではなかった。ミミズでも這いつくばっているような文字。友香里には読めないのだ。


 友香里はハッとなって早苗の方を見た。案の定『薄笑い』。

 その瞬間友香里は確信する。『早苗には判っていた』のだと。


『奴には読めまい。ヒヒヒッ。どれ、悔しがる顔でも拝んでやるか』


 きっとそうだ。友香里の『普段の言動=粗暴』『目付き=悪し』『顔つき=ブスブスブス』『性格=最悪』『スタイル=ケッ』『洋服のセンス=調子に乗ってんじゃねぇぞ』『住まい=ボロい』『預金残高=三百円』これら全てを入念に調べ上げた上で『総合的に判断』する。この短期間の間にやってのけた。


『だったら『女からの手紙』を、目の前で渡しても大丈夫』


 そう結論付けたに違いない。見逃さないぞ。そっちがその気なら、こっちも観察してやる。今、小さく『フンッ』と鼻息を荒くしたね。

 ちゃんと判ってるんだから。鼻までヒクヒクさせちゃって。

 友香里は早苗の目付きから、『全ての想い』が読めた。

 こいつ、小さいのにやりおる。とても侮れないではないか。しかも悔しいが、『調査結果がだいたい合っている』と来たものだ。

 が、読みたいのは手紙の方。この『暗号文』は雄大に何を指示しているのかを探りたい。ついでにこれは何語なのかも。


 隣でチョロチョロし続ける友香里を差し置いて、真剣に手紙を読み続ける雄大だって気に入らない。黙って読んでいないで何か言え。


『本当は何て書いてあるか、判らないんだよねぇ』


 そんな一言で、この場を笑いに変えて見せろ。出来ないか。

 仕方なく友香里は、したり顔の早苗に質問をすることにした。


「誰からなの?」「ジェニファー」

 それはさっき聞いた。聞こえてた。しかし早苗は『聞いたことにしか答えないつもり』らしい。一言発した後は押し黙る。


「ジェニファーって誰?」「オーストラリア人」「オーストリア」

 急に雄大が口を挟む。挟まれた二人は雄大の方を一瞬見て、再び顔を見合わせた。すると早苗の方が驚いているではないか。

 何だ。雄大は無視しているだけで、聞こえてはいたのか。相変わらず『手紙を読みながら』ではあるのだが。耳の良い奴め。


 それにしても、早苗の『しまった顔』はどうしたことだ。

 気にするな小学生よ。どちらも確かに『実在する国』だ。

 確か『あの辺』と『この辺』に存在したはず。うん。間違いない。


「女の人?」「そう」「留学生だよ。ホームステイしてたんだ」

 雄大の補足には誰も耳を貸さない。興味すらもない。だからと言って雄大の方も気にせず手紙を読み続けている。

 すると早苗は『手紙の影に隠れている』ことを確認し、友香里に向って『ニヤッ』と笑ったではないか。こんちくしょうめっ!

 当然のことながら、友香里はその『笑顔の意味』が直ぐに分かる。

 だから奥歯を噛み締めると、目付きを悪くして早苗を睨み付けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ