表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず怪談御伽草子  作者: なかがわ よもぎ
7/9

第七話

 ごめん、ごめんよ。アタシが悪かったって。調子に乗って随分恐ろしい話を聞かせちまったね。許しておくれ。だからそろそろ手の力を緩めちゃくれないかい。さっきから握られてる指先、血が巡らなくて痺れてきたよ・・・。

 ふふふふ。余程恐い話が堪えたようだ。これに懲りたら家出なんてもうおやめ?次に目が覚めたら、ちゃんと家に帰るんだ。大丈夫、きっと御母堂は怒ってないさ。恵介さんが戻るのを待ってるよ。



 そうだ。眠るまで、ちょいと独り言を喋ってもいいだろか。ちっとも恐いことなんかないし、寝ながら聞いてくれたらそれでいい。ほらほら、羽織が落ちてるよ。ちゃんと肩までかけてあったかくしなさいな。






 子供は七つまでは神のうち。昔はこんな言葉がよく流れていたっけ。病院も薬も、今よりうんと少なくてね。子供がある程度大きくなるまでは、いつ神様の元へ戻されるか分からなかったんだ。そう、恵介さんと同じ年頃の子たちが幾人も天へ還って行くのを見たよ。つらい時代だったなぁ。


 あぁ、話が逸れちまったね。実はさ、アタシにゃこの「七つまでは神の子」って括りがイマイチ分からなくって。七つを過ぎたって神の子は神の子だろう?ただのたとえ話?うぅん・・・まぁ・・・。でもさ、人はやっぱり死ぬまで神の子だと思うわけだ。子供の方がどう考えていようとも、親はずぅっと子を見てる。道を外せば叱るし、悪事を働けば罰する。その身が危機に晒されれば、力の限りに守り抜く。だってそれが親というものだもの。



 はは、腑に落ちないって顔してるねぇ。構やしないよ。言ったろ?これはアタシの独り言。良いも悪いもありゃしないのさ。覚えとく必要だってない。・・・・・・うん、嘘だな。できれば少しだけでも覚えてて。




 きっとこの先たくさん、つらいことがあるだろう。大人になるたび、心が荒むことも増えるだろう。それでも決して自分を粗末にしちゃいけない。他者を害してはならない。迷っても逃げても間違ってもいい。今与えられた人生を最後まで全うしなさい。どんな時でも必ず見ててあげるから。






 絶対、絶対約束だ―――――・・・。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ