第7話 激闘!! 四天王戦!
苦しくもルイサーディストを倒した俺たちは、たまには息抜きでもしようということで、ビーチへと来ていた。
「いやぁ、やっぱこんな暑い日には海に限るよな!」
「えぇ、そうね」
口ではあまり楽しくなさそうなアザレアも、その服装を見ると容易に本心を汲み取れた。
「っし、そろそろ海に入るか!」
そう言って俺たちが海に入ろうとした矢先……、2人の男がやって来た。
「お楽しみのところ悪いが、カミシロレント! 今からお前を、殺させてもらう!」
「……違う違う、カミシロじゃなくてシンダイだって」
小声でもう1人の男が俺の名前を訂正してくれる。
「ゴッホン、シンダイレントッ!! 今からテメェをぶっ殺す!」
……面白いな。で、正体だが……。
「……四天王だろ?」
「はっ、よくわかったなレント! 俺は力の四天王、アーデニング、そしてこいつは炎の四天王、ファイガゼンガ、俺たちは四天王の中でも1番つえぇコンビだぜ!」
少々心苦しいが、ここは倒すとしよう。
「行くぞアザレア!」
力ってのは年ともに衰えていくもの、なので俺は、リプログラミングソードで時間を進める。
「アザレアは炎の方を頼む!」
「わかった!」
アザレアがファイガゼンガを引き付けているうちに、俺は弱ったアーデニングを斬る。
だが、弱ったといえど四天王、力は当然人間を大きく凌駕している。
「はっ、そんなんでこの俺を倒せるという思われているとは、四天王も甘く見られたものだな」
だが、このスペリオルクラッシャーは強化したことによって能力が『所有者よりもステータスが高い者に対して効果を発揮する』と変化したことで、俺の心の準備の必要が無くなった。というわけで、俺は容赦なくやつを斬る。
「はぁぁぁああッ!!」
「……これで、ようやく終われるぜ……」
え……? 奇妙な言葉を遺して、四天王は消えた。
◇◇◇
さて、どうしようか。元気よくレントに返事したのは言いものの、アイツに勝てるビジョンが全く見えない。
属性相性で考えればこちらが有利なものの、私ひとりで四天王と戦うなんて初めてだから……、でも、やるしかない!
「アクアスプラッシュ!」
私は水の中級魔法を発動させる。
「ボルケーノ!!」
だが、相手は最上級の炎魔法であるボルケーノを使ってきた。こんなんじゃ、勝てるわけが……!
私は間一髪でアクアシールドを発動させるが、それでも威力は殺せずに少し火傷を負ってしまう。
「だったら……!」
私は相手のMP上限を半減させる魔法を発動させる。
「チッ、小癪な真似を!」
相手が炎で地面を燃やそうとしたのでそれを水で食い止める。
「ハァッ!」
「ありがとな、嬢ちゃん」
気づくと相手が、眼前まで迫って来ていた。まさか私、ノせられた……? 考える暇もないまま、私は転移魔法で連れ去られた。
◇◇◇
「アザレアッ、アザレアァァァァああああ!!」
少年は1人、誰ひとりとしていなくなった砂浜で呆然と立ち尽くしていた。
失意呆然の俺は、四天王、アーデニングの手に髪が握りしめられているのが見えた。俺はその紙を手に取り、そして広げる。
「これは……!」
魔王城へのルートであった。その時の俺は罠だとかそんな事考えもせずに単身広い草原を駈ける。
「アザレア! 待ってろよッ!」
俺はその地図の示す場所へと辿り着く。
「ふふっ、釣れた釣れた」
「アザレアを出せ……」
「さぁて、生きてるのかな? そのアザレアって子」
「な……」
俺は言葉を失ってしまった。
「んじゃ、君もあの子と一緒の所へ送って……」
「……黙れ」
俺はソイツの首元へ剣を突きつけ、そして切り裂く。そして首が無くなったソイツの体に無属性の魔法を打ち込み、『無かったこと』にする。
「なッ、この『セブンス』のプラディンスを……」
「黙れって、言ってんだろ……」
そして本当に首だけになったソイツを、残りの6人は黙って見ていた。
「ふふっ……ふはははっ!! まさか、ここまで成長しているとはな!」
何処からか、声が聞こえる。少なくとも目の前の6人の口は開いていない。
「誰だ!!」
だが、声の主は俺の問いに答えることはなく、話を始める。
「アザレアとかいう少女はこちらで預かっている。ので、神代蓮翔! 1ヶ月間の猶予を与える! そして1ヶ月後、またここに来い!」
すると、ようやく目の前の奴らが口を開く。
「で、ですが魔王様っ、今やつを殺しておいた方が……!」
「ほぅ……我の意見が飲めんということだな……?」
「い、いえ! そんなつもりは全く!」
「……ならいい」
俺は有無を言わさずに街へと転移させられた。……強くなれってことか? まぁ、わからないが取り敢えず強くなるためにはまず防具とか買い揃えるところからだよな。
ってことで俺は『モラトリアム』の武具屋へと足を進め、防具を買い揃える。取り敢えず付加効果にステータスをあげる能力があるものを選んだ。
そしてギルドに行って冒険者プレートを更新して現在のステータスを確認する。
シンダイ・レント
Lv.35 男 HP2050/1913 MP500/310
装備品:スペリオルクラッシャー改 リプログラミングソード 不死-Lv.3-
職業:冒険者
使用魔法:無
STR:543 DEX:435 AGI:475 SPD:678 INT:1050
スキルpt.187
なんか増えてた。
「あの~、スキルポイントってなんですか?」
俺は受付の人に聞く。
「あら、まだ使ってなかったのね。丁度いいし、ここでやっていく?」
お、ありがたいな。やり方わからないし。
「お願いします」
俺は部屋へと通される。
「この中にある本にスキルの効果とか載ってるから、そこから自分に合うスキルを選んでちょうだい」
「えーと……まずスキルの付け方が分からないんですけど……」
すると、受付の人は丁寧に教えてくれた。要約すると、そのスキルの本に載ってるスキルに専用のペンで書き込むと習得できるようだ。受付の人が出ていったあと、俺は沢山ある本からパッシブスキルの本を手に取る。
その中から『英雄 効果:現在のステータスに応じてステータスが上がる。必要スキルpt.56』と『歴戦 効果:自分のレベルに応じてSTRが上がる。必要スキルpt.43』や『加護 効果:初撃のダメージを90%減少させる。必要スキルpt.45』を選び、部屋を出る。取り敢えず残ったポイントは貯めておくことにした。
そして次に俺は、Cランク昇格クエストのときにお世話になった人達を訪ねることにした。「さぁーて、1人は死んで1人は逃げて、この落とし前、どうやってつけるつもりかな? 死に損ないの四天王くん」
「ヒッ……」
「で、ですが魔王陛下様! 何故俺たちが言われなければ……」
「……ふむ。では、君たち2人なら倒せるというわけだな?」
「も、もちろんですっ」
そして四天王の残りの2人はあの少年の元へと急ぐ。
「……では、そろそろ新たな部隊を用意しなければな……」
「では、我々『セブンス』に任せてください」
そう言って影から先程までの会話を聞いていた者たち7人が出てきた。