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第4話 新たなる来訪者

 クエストの内容も説明し終わり、俺たちは馬車(馬ではなさそうだが)に乗って移動を開始した。


「んー、じゃあ、自己紹介でもするか?」


 メンバー内のパッと見お調子者な男が口を開く。


「あぁ、いいんじゃないか?」


 俺はそれに同意する。そして、みんなの自己紹介が始まる。


「俺はガルザ・ウォーカー。まぁ、見ての通りアタッカーだ。よろしく!」


 筋骨隆々の男、ガルザさんが自己紹介をする。


「おっと俺か、俺はアイゼン・ディセント。ガルザとパーティー組んでます! この3日間よろしくお願いします!」


 見た目はお調子者って感じだったが実際話してみると誠実そうな人だな。そして、とうとう俺の番になった。


「じゃあ次は俺、シンダイ・レントだ。これからよろしく」


 俺の番が終わると続いてアザレアも始める。


「私はアザレア・サレンダ。見ての通りレントの奴隷やってるわ。よろしく」


 もうちょっと愛想ってものをだな……。


「んっと、次は私のパーティーね。私はストリム・ヴェローニカ。弓をメインに使ってるわ。で、この子なんだけど……」


 ストリムさんは隣にいるパーティーメンバーと思しき女性を見る。


「……私はユーレン・セント。よろしく」


「……じゃあさ! なんかエピソードとか語り合わない?! ほら、まだお互いのこと知らないんだしさ!」


 少し暗くなった空気をアイゼンさんはかき消してくれる。


「よぉし、まずは俺からでいいか?」


 俺が今までの事を面白く聞こえるよう少し脚色して話した。と、みんなで雑談を交わしていると、あっという間に共に3日間を過ごすキャンプ地に着いた。


まぁ、キャンプ地とは言ってもテントとかは何も張られてないんだけど。


「ここをキャンプ地とする! ……なんちゃって」


 アイゼンさんは冗談を言って和ませる。……憧れちゃうな。


「じゃあ、まずは魔法でキャンプを建てるところからだな」


 ガルザさんがさも当たり前かのように手をかざしてキャンプを設営する。


「……アザレア、頼む」


 魔法が使えない俺はアザレアに頼むことにした。


「はいはい」


 アザレアも簡単にキャンプを建てる。ということは、これは初歩的な魔法のようだな。


「ありがとう」


 これにて、今日の仕事は終わり! とはいかず、盗賊などの襲撃に遭わないために交代で見張り番をすることになっているのだ。


「じゃあ、順番はどうする?」


「うーん、もう面倒臭いし俺たちからでいいよ」


 俺は手を上げる。


「え、レントあんたマジ……」


「先にやっといた方が楽だろ」


「あーはいはい。ご主人様の仰せのままに」


 気だるげな彼女は、少しの笑気をはらんだ口振りでそう言った。


「ストリムさんとこのパーティーはどうするんだ?」


 ガルザさんは自分たちよりも先にストリムさんたちに聞く。


「うーん、私たちは最後がいいかな……」


「よーしわかった。アイゼンはどうだ? お前がいいなら俺たちは2番目にするが」


 ホント良い奴だな……。


「あぁ、ここは彼女たちに譲るよ。レディーファーストは当然の行いだしね」


 アイゼンさんも面白い人で、このまま6人でパーティーを組んでも良いとすら思えた。……あんなことが起きるまでは。
























「なぁアザレア、少し聞きたいんだが、お前ってなんで奴隷商なんかに売られたんだ?」


「……そんなの、どうだっていいでしょ」


 その重い空気を察した俺は、咄嗟に話を切り替える。


「……ごめん。それよりも、面白いチームだよな。この6人」


 そんな男女同士とは思えない会話を交わしていると、交代の時が来た。俺とアザレアはテントに戻るが、どれだけの時間が経っても眠れない。


多分、ガルザさんたちも交代して寝てるであろう時間になっても俺はまったく寝付けなかった。すると、外から金属を引きずるような音が聞こえた。地面は土だというのにだ。


俺は気になったので音が出ないように外を覗く。外では、あの無口だった少女、ユーレンさんがバカでかい剣……いや、あれはもはや鉄塊だ。それを持って、ガルザさんたちが寝ているであろうテントに向かって振りかぶっていた。


俺は咄嗟に声を上げる。


「何してるんですかっ!?」


 それが良くなかったのだろう。彼女はこちらを向いて……。


「見たなァ?」


 彼女はまるでホラー映画のようなおぞましい形相でこちらを振り向いた。


(やべっ……)


 そう思ったのも束の間、あの鉄塊がこっちに向かってものすごい速さで飛んできた。


(死ぬ……!)


 などと考えていると……。


「うるさいと思って起きてみれば、まさかこんなことになってたとはね」


 アザレアが、水で作った壁で威力を相殺していた。


「ふっ、我の腕力と同等とな……では、これはどうだ?」


(我……?)


 そんなことを考えていると空にいきなり黒い雲が浮かぶ。


(これはまさか……!)


「まずいアザレア魔法を解け!!」


「は? なん────」


 俺はアザレアを押し倒して落雷の直下地点からギリギリ逃れさせる。が、されど黒雲は浮いたままだ。あれを無くさないことには始まらない。


(どうにかして無くす方法は……。無……? まさか……!)


「一か八かだが……やってみるしかねぇ!」


 俺は空に向かって手を伸ばす。すると、黒い雲が無くなり、元の綺麗な夜空が顔を出す。


「なっ……! ふっ、ふはははは!! まさか、この世に無属性を持っている者がいるとはな、いやぁ、面白いものを見た。これは魔王様に報告しなければ」


(魔王様……だと?)


 魔王といえばRPGなどでおなじみのラスボス的立ち位置の敵。世界征服であったり人類を滅ぼすであったり、果てには宇宙を破壊したりなど。


だが、その目的はいずれも勇者という存在によって倒されてきた。だが、この世界に勇者という存在はいるのだろうか? 


「お前は、誰だ……?」


 俺は問う。


「冥土の土産に教えてやろう。我は魔王直属四天王の1人、光を司る者、アーディヴァイン。我は今、このセントという少女の身体を使って動いている。もし仮に我を倒そうものなら、この少女は犠牲になる。それでもいいなら、君のそのスペリオルクラッシャーとやらで倒してもいいが?」


「……ッ?!」


 乗っ取ったってことか……? 


「あんた、正真正銘の外道ね」


「口には気をつけた方がいい。お嬢さん」


「がァっ?!」


 なんの躊躇もせずにアザレアの右足をアーディヴァインの触腕が貫いた。


(なんであの4人は起きないんだよ……!)


「彼らの助けを待つのなら無意味だと、先に言っておこう。我の睡眠魔法で我が倒されるまで起きないようにしてあるからな」


「な、んだと……?」


 なら、と俺はあの無属性の魔法を使ってアイツらを起こそうとする。


「あの魔法を使って彼らを起こそうというなら、彼女は永遠に目覚めなくなるが、いいのか?」


 アザレアの方を見るとアーディヴァインの触腕が彼女の心臓のある位置まであと数センチというところまで近づいていた。


「……ふむ。面白くないねぇ。その反応、流石紛い物といった感じだが」


「紛い物……だと?」


「知らなかったのか。自分自身の過去を」


 過去……?


「前世のことを、知っているのか……?」


「あぁそうさ。知ってるとも。君が恋人や両親に裏切られて……」


「……ッ!!」


 俺が力を込めた瞬間、首筋に冷たいものが当てられる。絶体絶命……! その瞬間……。


「蓮翔さん。お待たせしました」

























 ◇◇◇


 僕はドアを開けた瞬間、ここにいた。小箱と、使命を持って。


「レントさんが……ここにいるらしいんだけど……」


 僕が来た時点で既にはレーダー探知機とリプログラミングソードと冒険者証明プレートを持っていた。探知機はレントさんを探すために使えるし、結構運いいかも


なんて考えている暇じゃないことを思い出した僕はレーダーを頼りにレントさんのいる場所へと向かう。

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