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すばやさに極振りした猫〜VRMMOで最強目指す〜  作者: 翡翠 由
第一章 ゲームを始めました
9/46

7話 表通りは悲劇の始まり

明日から一日一本ぐらいになります。


本日二本目です。

(スキルの欄はどこかなっと……あ、これかな)


 私は表示されたウィンドウの中からスキルの欄を押してみる。


(スキル『強奪』の説明は…)


 ーーーーーーーーーー

 強奪


 説明

 スキル・『奪取』の進化系。

 一人につき一度に二つランダムでアイテムを奪える。


 最終進化先

『強欲』

 ーーーーーーーーーー


 うわ。

『強欲』って七つの大罪やないですか…。


 まあ、そりゃあそうなるよね…強奪だもんね。

 私が『強欲』のスキルって……絶対似合わないわー。


 私こと猫が強欲の王として君臨している姿を見て、私はふふっと笑ってしまう。

 王様プレーも楽しそうだけど、今の私には程遠いよね…。


 そう思い、私は次のスキルを見ていく。


 ーーーーーーーーーー

 脱兎


 説明

 スキル・『逃げ足』の進化系。

 一定時間の間、素早さが二倍になる。


 最終進化先

『神脚』『大規模緊急転移』

 ーーーーーーーーーー


 なんか最終進化先が半端なく強そうなんだけど?

『神脚』って何よ?


 脱兎で素早さ二倍なんでしょ?

『神脚』は一体何倍になるっていうの?


 それに二つめも結構えぐいて…。


 ーーーーーーーーーー

 大規模緊急転移


 説明

 半径約百メートルの範囲にいる、およそ一万人までの人々を詠唱を省いて転移させる。


 必要魔力量0

 ーーーーーーーーーー


 これが一番パナイです。

 必要魔力量が0って化け物性能すぎでしょ!


 スキルって基本魔力を使わなくても発動できるらしいけどさー。

 それにしてもこのスキルだけ規格外すぎるでしょ!


 まあ、今現在ほぼボッチの私としてはあまり必要としていないスキルなんだけど。


 どうか私にも友達を………。


 悲しくなってきたところで私は称号を確認することにする。


 ーーーーーーーーーー

 恐喝者


 シークレットステータス

 威圧 +100



 説明

 相手に一定以上の恐怖を与え、なおかつ、何かしらのアイテムが譲渡された場合に獲得可能。


 効果

 シークレットステータス

『根性』が自らの『威圧』よりも低い相手に対して、半径五十メートル範囲で状態異常『恐怖』もしくは、『錯乱』の状態を与える。


 ーーーーーーーーーー


 説明に異議を申し立てます!

 一定以上の恐怖ってなんぞや!?


 あのライオン獣人さんが私にビビったとでもいうんか!?

 納得がいきません!


 それに加えていうと、威圧って何?

 シークレットステータスという項目なんてなかった気がするんだけど?


 それも含めてシークレットなのかな?

 そして効果もおかしいでしょ…。


 根性が私の威圧より低いやつに恐怖をって……。

 百が高いのかどうかはわからないけど、明らかにおかしいのはわかる。


(もういいや。なんか疲れた…)


 私は色々と疲れ、もはや、こうして思考することを諦める。


(次の称号を確認しないと…)


 ーーーーーーーーーー

 逃走者


 ステータス

 素早さ +200


 説明

 対象から一定距離・一定の速さで逃走した場合獲得可能。


 効果

 戦闘時のみ、素早さにさらに+100を加算する。

 ーーーーーーーーーー


 もう突っ込むの疲れたよあたしゃ…。

 素早さに極振りするのはやめて?


 なんで、スキルも素早さにプラスにしちゃっているの?

 もうやめて……私のライフはもう0よ…。


 そして私は今度は装備のチェックをする。

 私はインベントリに入っている『猫の首輪』を装備する。


 ーーーーーーーーーー

 猫の首輪


 説明

 なんの変哲もない普通の首輪

 ーーーーーーーーーー


 ここで、やっと普通な装備きたー!

 こんなに嬉しく思ったのは普通おかしいのかもしれないけど、これが普通なんよ?


 猫の首輪……ありがたく使わせていただきます!


 そして、確認を終えた私は画面を消して、辺りを見回す。


(やばい、今日やること終わってしもうた…)


 目標であった装備を入手するという目的はほぼ最悪な形で達成されてしまったため、もうすることないのだ。


(うーん。表通りの方がいいかな?装備とかは集める必要はないけど、食事くらいならなんか食べてもいいんじゃない?)


 このゲームでは五感というものが設定されている。

 つまりは食事が娯楽として存在するのだ。


 私も食事してみたい!

 だけどその食事できるようなレストランは表通りもとい、大通りにしかないのである。


「んにゃい!(いくしかないな!)」


 この間だってプレーヤーだってばれてなかったっぽいからきっと大丈夫なはず!

 実験としてもやっておいた方がいいのは確かである。(個人的にもいってみたい!)


(よし!行こう!)



 ♦︎♢♦︎♢♦︎



(ふおー!何これ何これ!すっごーい!)


 私は目の前に広がる広ーい通りを見て、感動する。

 歩いている人がかなりの数おり、懐かしく感じる。


 やっぱり、こういう目線だと違和感しかないな。

 歩いていく人という人がものすごく大きく見える。


(っと、忘れてた!ちゃんとどっかでご飯を食べなければ…)


 レストランに入れるわけではないだろうから、どっかでおこぼれとかもらえないかな?


 そう思ってきたはいいものの、獣人さんじゃなければ私の言葉はわからないだろう。


 とりあえずは、獣人さん……できれば猫科の獣人さんを探すところからかな。

 今日の目標は次、これにしよう!


 私は表通りを適当に歩くことにした。

 道ゆく人が私のことを見てくる。


(なんかスターになったみたいね…案外悪い気はしないかも)


 先ほどから感じる視線はなんとなくだが、私がプレーヤーとばれた好奇心というものではないように感じる。


 どちらかというと、かわいいものを眺めるような目だ。

 ゆうて、私猫だからかしょうがないのだろうけど、これはこれで結構いい気分だ。


 恥ずかしい気もするけど…。


(さあて、獣人はいないかな〜)


 辺りを眺めるが、全然それらしい人がいない。

 ライオン獣人さんが裏通りにもいたもんだから、表通りにはもっとたくさんいるもんだと思ってたけど…いなさすぎない?


 周りにいるのはただの人間ばかりである。


 おかしいな〜と思いながら私は探していると声が聞こえる。


「あ、お前…さっきのニャンコじゃねえか?」


 私はその言葉聞こえたので、振り返る。

 何をいっているかはわからないが、なんとなくかなり近いところから聞こえてきたため、反応してしまう。


「うわー!可愛いじゃないこの子!」


 いきなり後ろからひょっこりと現れた女の子が私のことを抱き上げる。


「!?」


「大丈夫よ〜落ち着いてね」


 優しく体を揺らしながら、安心させようとしているのかお腹を撫でてくる。


(あ!ちょっと…これ気持ちいいかも……)


 撫でられるとなんだか、体の力が抜けるような感じがする。

 ゴロゴロと喉を鳴らす。


「あはーん!可愛い〜!」


 キャッキャとさわぐ女の子の後ろから、男が顔を出す。


「おいおい。俺にも触らせてくれよ」


「いやよルキ!さっきこの子とお話ししたんでしょ!次は私の番よ!」


「いや、話したっていうか……」


 そこで口籠る男。

 その間にも女の子は私を撫でる。


(これ気持ちいいアルね〜〜)


 思わず、寝てしまいそうになるものの、なんとか堪えて腕から抜け出そうとする。


「あ!ちょっと待ってよ猫ちゃん!」


 いきなり暴れたため、びっくりして力を強める女の子。

 待って!私ってば体力10しかないの!


 潰れてまうから!

 なんとなくわかる!


 体力半分くらいになってるから!

 私は全力で逃げ出す。


 素早さで無理やりに抜け出し、男の方に乗る。


「ふふふっ。お前は嫌われてるようだな!」


「何よルキ!そんなことないわよ!」


 男の方に乗っている私を無視して、口論を始める二人を無視することはできず、私は二人を仲介しようと、男の頭に登って叩きまくる。


 すでに一日が経ってしまい、ボーナス分のステータスがなくなったため、普通の猫程度の力しかない威力の猫パンチをする。


 頭を叩かれたからか、私の存在を思い出したのか口論をやめる。


「おっと…こいつを落とすわけにはいかないから喧嘩は終わりだ。決着は明日まで」


「望むところよ」


 火花を散らしながら、仲直りをする二人を眺めていたのか周りの人たちから『可愛い!』という声が上がる。


 それは二人に向けられたものではなく、私に向けたものだと思ったのか二人は何かを話し始める。


「ねえねえ。この子使ったら一儲けできるんじゃない?」


「いきなりなんだよ…まあ、芸とか覚えさせたり眺めたりするだけでも金取れそうだけど…」


「でしょ!猫ちゃんには後で高級なキャットフードでもあげればいいんじゃない?この子野良猫だろうし!(首輪ついてるけどね!)」


 人間の言葉がわからない私を差し置いて、何やらニヤニヤしながら話しているのを私はただただ眺めておくことしかできなかった。


 そうして、二人は思い切ったように私のことを掴んで、話しかける。


「なあなあ、お前のことをちょっくら使ってもいいか?いっちょ儲けたくて…。いいなら返事をしてくれ」


「あんたねえ…猫に話しかけて答えてくれるわけーー」


「にゃあ?(何?)」


 私が尋ねた後、二人は一瞬黙り込み、一気に満面の笑みを浮かべる。

 そして、私のことを通りの前に突き出し、何やら叫ぶ。


(え?ちょっと何やってんの?)


 先ほどからのおかしな様子を見ていた私からしてみれば急に人格が変わったようにしか見えなかった。


 そうしているうちにも、通りの人たちが集まってくる。


(待って待ってどういうこと?)


 私の困惑なんて梅雨知らず、二人は何やら人を集め始めていた。

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