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すばやさに極振りした猫〜VRMMOで最強目指す〜  作者: 翡翠 由
第一章 ゲームを始めました
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2話 絶望的な猫

そこで私の意識は覚醒する。

 暖かいお日様の光と、その眩しさによって私は唸り声を上げる。


 体を動かす感覚も戻ってきて、私は寝返りを打つ。

 ゴロンと動いた体は何か柔らかいものに包まれているようだ。


 そして、私は寝返りを打った途端、体がどんどん転がっていく。


「!?」


 異変を感じた私は、全身の感覚を急いで手に戻し、目をしっかりと開く。

 そこに広がっているのは、グラグラと回転する視界だった。


 ただ、それでも平衡感覚を失うことなく、しっかりとそこがどこか認識することができた。


(ここって……屋根の上!?)


 赤レンガでできている、どこかの家の屋根だと思われる場所を転がるという、なんともシュールな絵になっているな…という、どうでもいいことを考えながらも、体はどんどん転がっていく。


(やばい!落ちる!)


 もうすぐでレンガの上から落ちるというところで、私はとっさに足を動かし、レンガの一枚を蹴り飛ばす。


 私とレンガが弾かれたように飛んでいく。


(レンガが……いつか覚えてたら弁償します!)


 声を出す余裕もなく私は、着地場所を探す。

 ちょうど、転がっている途中で飛んでしまったため、思いっきり投げ出されてしまった体を捻り、いろいろな場所を眺め着地場所として最適な場所を探す。


(屋根から飛んだから、地面から高い……ていうか、なんか高過ぎじゃね?)


 絶対にありえないほど高い場所まで飛んでしまったのか?

 疑問に思いつつも私は思考を切り替えもう一度着地場所を考える。


(ここまで高いと、どこかの屋根までジャンプするのが一番いいよね)


 私は体が、向かっていく方向に目をやる。


(ビンゴ!)


 屋根があるということは、ここには家がたくさんあるということ!

 これすなわち!


 屋根から屋根に飛び移るべし!


 私は体をそっちの方向に伸ばし、どうにか飛距離を伸ばそうとする。


(だめだ!ちょっと足りない!)


 屋根の上に乗ることができるくらいの飛距離がなく、私はどんどん落ちていく。

 どうにか、私は手だけでも届くように思いっきりのばす。


 そして、私は落下の衝撃がすべて手集まる。


(痛っ!………って、痛く…ない?)


 屋根の淵に乗せることに成功した手に痛みがやってくると力を入れていたが、それはついにやってくることはなかった。


(って、やばい!ずり落ちる!)


 屋根の淵でギリギリ耐えれたことで、少し気が抜け、再び私に危機がやってくる。


(くっそー!アリーのやつ覚えてろよー!)


 文句を言いながら私はバタバタと足を動かす。


 その時、下から声がした。

 視界を動かし私は地面を確認しようとする。


「わー!見て見て!あの猫ちゃん!可愛い〜!」


「ほんとだ。でも、あれ危なくね?大丈夫かな?」


「平気だよ猫ちゃんは落ちても、ちゃんと着地できるんだよ?それに、もし落ちたとしても、私がキャッチしてあげるんだから!」


 そう会話を交わす男女が見えた。

 服装は誰も日本人ぽくない格好をしていて、頭の上には緑色のマークが見えた。


 ただし、一つおかいい点があった。


(待って!?なんていってんの!?)


 日本語であるということは理解できた。

 ただ、それがなんていう言葉、何を意味することを言っているのか理解でかなかった。


 そして、私はもう一つのことに気づく。


(プレーヤー?そういえば私ゲームやってたんだ…。じゃあここってゲームの中か!)


 ゲームの中だということに気づき、心に余裕が生まれる。

 私は、アリーに勝手に設定されたアバターがどうなったのか気になる。


(アバター……大丈夫かな?ごっついおっさんとかになってないよね?)


 そう思った時期が私にもありました………。


 私は、バタバタさせてる足を見る。

 脚だけ見れば、男か女かは少なくともわかる!


 そう信じて………。


(………。なんじゃこりゃー!)


 私の予想に反して、それは男か女確認することすらできなかった。


(猫の足じゃねーかー!)


 私の足についていたのは完全に真っ黒な毛に覆われた可愛らしい足だった。


(ていうことは………手は?)


 恐る恐る上を向き、自分の体を支えている手を見る。


(………猫ですね完全に…知ってました)


 さっき下にいた人が言ってたのって私だったのか!?

 だから、目線もおかしいし、身体能力もおかしいのか!?


 色々疑問に思っていたものが納得がいってしまう。


(とりあえず、登ろう…)


 屋根の上まで、ヒョイッと登ることができた。

 私の可愛らしくなってしまった手……前足を使って。


 関節を曲げるとすぐに登れてしまった。


(今までの苦労はなんだったんだ……)


 軽く疲れた私。


「あー!登っていっちゃった……もう少し眺めてたかったなー」


 残念そうな声が聞こえたが、私は無視し、脱力する。


「んにゃ〜(はあ〜)」


 自分のあげた声に軽く沈黙する。


「……んにゃあ!?(どゆこと!?)」


 自分の挙げた声はなんとなく、猫の鳴き声だと分かった。

 ただし、それが自分のあげた声だとはどうしても認識したくなかった。


「んにゃーにゃ!(アリーめー!)」


 アリーのせいだよこれ…。

 最初にあのガチャの説明してよ…!


『ネタガチャですよ!』


 そう先に言って欲しかった。


「んにゃ、んにゃにゃーな(まあ、言ってもしょうがないか…)」


 私は諦め自分の現在の状況の確認を急ぐ。


 まずは当たりの状況からかな。


 そう思い私はマップを開く。


「にゃ!(マップオープン!)」


 私の目の前に地図が出てくる。

 触ろうとしたら、画面が動いて持つことはできなかった。


(えっと?今いるのが初期スポーン地点の王国で?近くにある国は……なんかたくさん出ているな…)


 トレイル王国


 初期スポーン地点に私がいることはわかった。

 それで、次はなんの確認をするべきだろう?


(まずは無難にステータス確認かな?)


 そう思い、私は『んにゃ!(ステータス!)』と叫ぶ。


 マップが消え、ステータス画面と思われるものが代わりに出てくる。


 ーーーーーーーーーー

 レベル:1

 名前:エミ

 クラス:暗殺者

 種族:猫族

 性別:メス

 言語:猫語


 HP:10(20)

 MP:10(20)

 攻撃力:0(10)

 防御力:0(10)

 素早さ:100(110)

 筋力:0(10)

 器用:0(10)

 幸運:0(10)

 etc


 ※ステータスボーナス効果により、24時間全ステータスにプラス10の効果。


 ※『ランダムアバター』のバッドステータス、獲得経験値の半減・全ステータスの半減・必要経験値倍増のバッドステータスが常時付与されます。なお、一部のアイテムにより、一時的に効果を消滅させることができます。

 ーーーーーーーーーー


 はあ!?


 私は体ごと反応する。


(いやいや!ちょっとどういうこと!?色々突っ込みどころ多すぎなんだけど!?)


 私はステータス画面に威嚇する。

 いや、ほんとにこのステータスはおかしい!


(まず、なんでステータス勝手に極振りされてんの!?暗殺者だからか!?っていうか、バッドステータスってなんだよ!?常時発動とか終わってんじゃんそんなん!?)


 まだまだ、ツッコミ足りない。


(種族なんだよ猫って!いや、猫だけども!どこから見ても猫だけれども!!こんなステータスじゃ私生きていけないでしょ!?………あ!だからか!アリーが『人一倍努力すれば生きてはいける』って言ってたの、そういう意味だったの!?)


 私は屋根の上で、あっちこっちを歩いて怒りを抑える。


(とりあえず、このままいても状況変わんないか……。それにしても、絶望的すぎるでしょ…このステータス。素早さ極振りって……どうしてそうなった?)


 さっきの落っこちなかったのって、案外奇跡的だったんだなと思った。

 ステータスで筋力に10プラスされてなかったら多分落ちてただろうな…。


 私は一息ついてから一言呟く。


「にゃ〜(終わったな〜)」

続きがきになる!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] アバターがランダムで変更できないのは十分に悪いことです。 今、それに悪い状態があります。 なんでこのボーナスの状況のが得られないときには、いくつかの選択状態をこのゴミ箱ですが---。
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