20話 報酬
現在、掲示板回なるものを書こうかと思っているのですが、なかなか難しく、もう少し先になると思われます。
もう少々お待ちください。
私たちは場所を移動し、冒険者組合まで足を運んでいた。
「いやいや、ほんとだって!」
「私たちが嘘つくわけないじゃない!」
「第一、俺らがそんなバカなことをするわけがないだろ?もしや、組合は俺たちを信用していないのか?」
「あ、いやそういうわけではないのですが……」
目の前の受付係の女性が困ったように2人の顔を交互に見てから私のことを覗いてくる。
その目に映るのは、2人のいう事は信じたいが、理性がそれを理解できていないと言ったところだ。
受付の後ろでは、他の職員たちが何かをヒソヒソと話し込んでいる。
その内容は、言葉が理解できるようになった私にとっては久方ぶりに聞いた疑惑の言葉だった。
「お2人の話はごもっともです。ですが、その………なんと言いますか。我々にとってはは絶対にあり得ないようなお話でして、少々……いえ、かなり混乱しています」
もう何がなんだかわからないというように、彼女は目をぐるぐると回しているように見えた。
実際は決してそんな事はないのだが…。
猫になったことによって感受性が豊かになったのだろうか?
そうだとしても、違ったとしても、彼女が混乱していて、なおかつ、後ろに控えている受付の人たちもいまだに忙しく動きながら、こちらの話に耳を傾けているのがわかった。
動体視力が良くなったのかどうなのかは知らないが、少なくとも私の目から見ても、そう感じ取ることができた。
それは想像によるもの、そして私の思い上がりというわけでもない。
「だ・か・ら!何度言えばいいの!この猫ちゃんが私たちを助けてくれたの!」
「ニャンコがこう……一瞬で敵を倒せしてくれたんだ!」
「詳しい説明がないと、その……わかりかねます……」
「チッ!」
ルキさんが舌打ちをしたことにかなりびびっているご様子の受付嬢さん。
そりゃあ怖いよな……。
ルキさんめちゃめちゃ強いし、もし怒らせでもしたら物理的にねじられかねん……。
「この目で見たんだから、間違いないの!猫ちゃんが、私の方を見て何かした後、モンスターが一瞬で消滅したの!」
「あ、あの!ですから詳しい説明をしていただかないと、何がなんだかわかりません!」
後ろの人がうんうんとうなずいていた。
やはりこちらの話を聞いていたようだ。
「おい、そこの後ろにいる奴らもなんか言ったらどうなんだ?立ち聞きするくらいだったら話に参加してほしいのだが?」
やはり気づいていたルキさんが、ほかの者たちを見渡してにらみつける。
『ひっ!』っと小さな悲鳴を上げる職員さんたちを哀れに思いながらも、私は周囲の観察と、受付嬢さんと2人の会話を聞く。
まあ、私は盗み聞きのうちには入らないだろうしね!
「詳しい話とそちらはいうが、この誰でも話が盗み聴ける環境だから話せないんだぞ?」
「そ、そうでした!申しわけありません!」
勢いよく謝罪する受付嬢さん。
どうやら、仕事への熱心さよりも、生命の方が大事なようだ。
「上のものを呼んでくるので、少々お待ちください!」
真っ青にした顔色のまま、特急の速さで階段を駆け上っていく。
その様子を見たいた周りの冒険者はヒソヒソと噂話をする。
「なあ、みたか?あの偉そうな男の態度……」
「ああ、もちろんだ。にしても、あんな可愛いローラちゃんによくぞあそこまでひどい態度が取れたな……。親の顔が見て見たいぜ」
どうやら周りにいた人たち、おそらく冒険者たちは、口々にルキさんの悪口を言う。
あの様子だけを見ればそう受け取られてもしょうがないだろう。
ただ、1つ忠告しておこう。
(お前らそれ以上言うと殺されるで!)
ルキさんが誰にも悟られないように顔を下に向けながら、憎悪に満ちた顔をして、目を血走らせている。
まるで、獲物を見つけた飢えた狼のようだ。
「でも、あいつってめちゃくちゃ強いんだろ?」
「え?そうなのか?」
生命の危機を察したわけではなさそうだが、話がいい方向に向かって方向転換する。
「あいつのランク……はSランクだぞ?一歩間違えたら殺されかねない……」
「あんな奴がSランク様?」
「実績としては、飛竜……ワイバーンの群れを単独で全滅させたり、Sランクの方々と組み手をして引き分けたり、盗賊に成り下がった元Aランク冒険者のチームを壊滅させたり…。とにかく、ものすごい強いんだ」
え?そうなんですか?
私の知らない情報が飛び出してきて驚く。
って言うか、さっき氷龍に負けちゃったから忘れていたけど、ルキさんって目chめちゃ強いんだった。
「その話なら俺も知ってるぜ。いい噂も時々聞くな」
横から別の男が話に割り込んでくる。
「いい噂が流れていたかどうかは知らないが、まあ、それなら納得いくな」
「隣にいる美人の女の子も、男……ルキってやつと、一緒にチーム組んでるくらいなんだ。きっとものすごい強いんだろうな」
「彼女はAランクらしいぞ?でも、次期Sランクの最有力候補って言われているくらい強いらしい」
「ひえー!あんな可愛いのに、そんなに強いなんて反則だろ〜」
「どのみち、あそこの2人は態度こそでかいが、尊敬できるだけの実績と弱いものは助けてくれると言う優しさも持ってんだ。ちょっとぐらいのでけー態度くらいは多めに見てやろうぜ。まあ、俺らが言えることじゃなんだがな!」
あはは、と私が起こる。
なんとか、話が逸れて自分も尊敬されていると言われて、なんとかルキさんの機嫌が戻った。
「お待たせした!ルキ殿!」
ちょうどその時、でかい声が階段の上の方から響いてくる。
そこに立っていたのは歴戦の騎士風の男だった。
騎士のような見た目をしているわけではないが、頬にできた傷や、いかつい体、鋭い目つき、そして何より腰につけている高そうな剣が見えた。
それらの情報を合わせて私は元騎士だと断定する。
「ローグか……ギルドマスター様がきてくれるとは好都合だ」
ローグと呼ばれた男はギルドマスターとか言う職業らしい。
多分この施設で1番偉いんじゃないか?
「いやー私と対等に戦えるものとして、久々に顔をが見れて光栄だよ!」
「それは褒めていないぞ?」
自分と対等。
つまりは、この人もまたるきさん並みの化け物だと言うのだ。
(化け物の大量発生はお控えください……)
アナウンスのように脳内に勝手に感情が流れる。
「まあ、詳しい話はしていないようだが、ふむふむ。そちらの猫が今回の話の話題主かな?」
私の方を向き、屈託のない笑顔を見せる。
だが、私はその笑顔を見ないように、顔を下げる。
「おや?」
先ほどのローグの視線は何かを探るようなものに感じ取れた。
まるで、私の体のうち、すべてを見透かそうとするかの如く……。
「とりあえず、客人用の応接室に入ってくれ。今はそこしかあいておらんのだ」
2人の方に行った視線の先を追いかけながら、私は2人と受付嬢さんとローグについていくのだった。
♦︎♢♦︎♢♦︎
「本当に知性があるように見えてきますな。こうみると……」
「だろ?お前もそう思うだろ?」
「この猫ちゃんは特別なんだから!」
3人がそれぞれの意見を言い合う。
それはすべて私に知性があるのではないかと言うものだった。
実際私の中身は人間なので知性があって当然なのだが、それを知らないこの3人にとって、私というのは謎多き存在なのだ。
「外にいる受付係の意見もいるかね?」
「いや、3人の意見が揃ってるんだ。必要ない」
「それはいいとして、猫ちゃんはなんで知性があるんだろう?」
「ふむ。普通の猫なら知性があったとしてもたかがしれてるだろう。だが、この猫は……なんとも不思議だ」
私の体をじっくりと観察するローグ。
「あながち、君たち2人の話は間違っていないかもしれないな」
「でしょ!」
「だろ!」
食い気味に2人がローグに詰め寄る。
驚くこともせずにローグはそこで1つ考え込む。
そこで、考えが纏まったのか、顔を上げ、2人に声をかける。
「君たち2人の話は真実とするならば、私はこの猫をBランク冒険者として、受け入れたいと思うのだが、どうかね?」
「は、はあああああぁぁぁぁぁ!?(にゃああぁぁ!?)」
詳しい説明を受ける前だというのに、そう断言するローグに驚きを隠せない2人と1匹なのだった。
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