過去話 蜿崎サ「縺吶k騾?凾險
意味わからんって方が出てくるかもしれませんが、今のうちはお話を楽しんでいただければと思います!
追記 あくまでゲーム内の過去です。
その日、全世界に衝撃がはしる。
『魔神』の誕生である。
私はそれを今でも覚えている。
例え、一度や二度生き絶えようとも、決して忘れることはない。
実際に私がいい例であるからだ。
そんな私の体験した、全く摩訶不思議な経験を語るとしよう。
ちょうどたった今、任務が終わった。
さて、どんな感じだったかな?
♦︎♢♦︎♢♦︎
『私はここに、魔神となることを宣言する!』
廃れきった酷い有り様の大きい街に、1匹の猫の声が響く。
声は魔族語のそれであり、誰もが目と耳を疑った。
最初は猫の戯言だとたかを括っていた。
だってそうでしょ?
誰が、猫が魔神になれると言うの?
確かに猫なのに魔族語を話せるのはとても不思議だが、所詮はそれだけの存在。
私も人間であるが、魔族語の勉強をした。
でも、猫でもできるとは思えない。
決して『神』の頂きに立てるとも思えなかった。
だが、それは間違っていたとすぐに悟った。
当時の私は、正義というものを信じてきた。
魔神は悪、その考えが普通だと信じてきた。
だからこそ、私は認めなかった。
人類の希望を担ってその魔神を討伐しにかかる。
結果は圧倒的な敗北。
その猫、魔神は私たちが知覚できる速度を完全に振り切っていた。
『ちょっとなんでこんなに速いの!?』
予想外の結果に私は思わず叫んでいた。
敵の強さに驚き、私の未熟さに失望し、そして私が最も驚いたこと、それは……
『私と共に来なさい』
全てを包み込むかのような優しい声をあげ、私ともう1人の仲間の胸に響く。
それは、天から受けた慈悲なのか、私たちへの宿命なのか。
私は後者だと思う。
出会うべくして出会ったわれらが魔神様。
私は正義の心なんて殴り捨てた。
受けた恩はしっかりと返す。
それが私のモットーだ。
仲間に入って私は気づく。
魔神様側についている人の数はとても少ない。
当たり前だ。
子供の頃から洗脳されているようなものなのだ。
『魔は絶対的悪だ』
と。
魔神側についていたのは、たった数人。
それも、犬やら猫やらが混じっていた。
だが、腕試しとして犬と戦ってみた。
結果はわかりきっているだろう。
敗北
『お前が弱いわけじゃない。魔神が強いだけだ』
と、意味のわからないことを言われたのは覚えている。
ただ、ショックは感じなかった。
結局は仲間なのだ。
犬は人化して、私に手を差し出す。
それを受け取って、私は魔神様への忠誠心を強めた。
魔神側についていた、幹部勢……その者たちはどこか見覚えがあるような者たちだった。
記憶にあるわけではない。
だが、デジャブというのか?
そういうものを感じた。
名前もおんなじ人がいた。
それには流石に驚いたが、人間生きているうちには様々なことが起きる。
その一環に過ぎないと私は割り切る。
そして、私たちは激動の日々にさらされることになる。
毎日訪れる、招かれざる客。
それを追い払うのは、私の役目とされた。
これでも私は人族の中では最も強いと謳われていたのだ。
勇者として名乗りを上げたものたちを屠っていく。
だが、そんな平和な日々も長くは続かなかった。
勇者たちはどんどん強くなっていく。
対して私はレベルが一向に上がらない。
そんな私の様子を見兼ね、別の者が門番をすることになった。
(お役に立てず申し訳ありません………!)
嗚咽が混じり、喘ぎ声……もっと酷いと声にすら聞こえないような、そんな声で私は何度も謝る。
そんな私に気にしなくていいよ、と優しく声をかけてくれるのは魔神様だった。
黒い毛並みを私に擦り付けながら、慰めてくれる姿は、私にとっては最大の愛だった。
ただ、1つ不思議なことがあるとするのであれば、魔物は弱体化していったことだ。
さらにいうと、一部の人間たちもだった。
いつも挑んでくるものたちは強くなり、私……も弱くなっているかもしれないが、全体的に開きが出てきていたのをまだ覚えている。
そんな頃、魔神様は言い放つ。
『いっちょ世界を切り分けますか!』
何かを考えた末の行動だろうが、私には言葉の意味がまるでわからなかった。
きっと、それぞれの世界?で、人間たちやいろんな種族が生きやすいようにするという意味なのだろう。
(なんて慈悲深いお方!)
私はその頃、人間としての寿命を迎えようとしていた。
人は、長生きしても100歳以内には死ぬ。
私だってそれは例外じゃない。
魔法を使って、若さを保っていたが、寿命を伸ばす術は結局のところ見つけることができなかった。
『今までご苦労だったよーー』
その時初めて、私の名前を魔神様が呼んでくれた。
最後の最後で最高の思い出ができた。
(あぁ。願わくば、もう一度私に生をお与えください。そして、私はもう一度貴方様にお仕えしたい………)
朦朧とする意識の中で、強欲にもさらに願う。
(魔族となり、悪として生まれ、生を受けた瞬間から魔神様に仕えられる。なんて最高なのでしょうか……そうなればーー)
そこで私は生き絶えた。
どんなにいいだろう、と、私は最後まで言えなかったが、それでも十分だった。
♦︎♢♦︎♢♦︎
「彼女、生き返らせなくていいんですか?」
1人の女性の声がする。
そこにいたのは私の部下であり、友達である人物だった。
「いいの……そうしないと歯車が壊れる」
「だからと言って見殺しにするのは…」
そこまで言われると確かにそうかもしれない。
だが……
「じゃあ、あなたはーーを生き返らせて、ーーがいなくなってもいいわけ?」
「それは………」
答えられるはずがないだろう。
答えられる方が問題だ。
仲間を見殺しにしたというのは気分的に最悪だ。
ただ、私は知っている。
「大丈夫。彼女は戻ってくる」
「わかってますよ」
女性は無理やりに自分で納得する。
私は知っているのだ。
彼女自身はもちろん死んでしまった。
だが、そこで息絶えてしまったとしても、必ず私の元に戻ってくる。
彼女がそう望んだから。
そして、私は知っている。
この後、どういう結末が私に待っているかを……
「結末は歪めてこそ楽しい」
「ええ。そうですね」
あまり動かない表情筋を無理に動かす。
女性も歪んだ笑みを見せる。
その姿は、まさしく魔神とその部下の会話である。
それに満足した。
私は大切な仲間を1人失った。
それは変わらない。
「肉体は違えど、それでも私の元に帰ってきてくれる……そうでしょ?」
魔法がとけ、どんどんと老けていく彼女を見ながら呟く。
私は、悲しい。
今現在この世界で誰よりも嘆き悲しんでいるだろう。
だからこそ、私は世界を分断する。
それは私の自己満足のため………というわけではない。
それは決められたことだから。
そうすることで、物語は完結する。
私の長い物語にも終わりがくる。
「でも、思い返せば短いような……」
過去を振り返ってみても、てんやわんやしながら、仲間と一緒に冒険した記憶しか残っていなかった。
冒険あり、恋愛あり、涙あり。
そんなまるで映画のような物語。
「はぁ〜。私のことはどうせ魔神として語り継がれるんだろうな〜」
絶対的悪として語り継がれるのは悪い気分でしかない。
ほんとに最悪である。
だが、それも既に定められている。
「世界は幾つに分断しますか?」
「7つに決まってるでしょ?あなたも知ってるはず……」
「ええ。もちろんですよ、ーー」
久しぶりに呼ばれた私の名前。
気恥ずかしい気分はもはや今更で、とっくの昔に消えていた。
「私の物語の始まりが終わりって……なんて酷いのよ……」
思い出すは、1人の顔。
私をそうと定めた人物。
だが、私はその者を憎めなかった。
特別な存在だったから……。
誰にも伝わらない私の裏の物語。
それが今始まったのだった。
サブタイトルと内容を考えればわかっちゃう人がいるかもしれませんね。
みんな深く考えずに読んでください!
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