17話 絶体絶命
こちら溜めて書いてあったものです。
お昼に一度開いてみたら、ブクマ評価が倍増していて驚きました…!
皆様が見てくれているのを感じてとっても嬉しいです!
土日にもできるだけ、投稿できるよう頑張ります!
その黒い影は…… ルキさんがいうにはドラゴンが、私たちの方に向かって飛来してくる。
その正体がだんだんと近づいてくると、あたりの空気が冷えてくるように感じる。
「違う!辺りの気温がほんとに下がってる!ってことはこいつは………」
何かがわかったように叫ぶルキさん。
ほんとに冷えてるの?
私には悪寒がするだけかと思ったんだけど。
流石に経験の差なのだろうか。
私は現実でもそんなに喧嘩はしなかったし、こっちのEFOの世界でも戦えないし……。
まあ、2人とも強いから大丈夫なんじゃないか?
いくらドラゴン?が強くてもさっき、2人が普通のドラゴンくらいなら倒せるって言っていたしね。
だからそんなに心配はしていない。
「ねえ、これちょっと不味くない?」
「ああ、ものすごくまずいな。これは…」
え?まずいの?
このデカいやつに勝てないの?
私も無事じゃ済まないかもしれないってこと?
ルキさんが何かを呟く。
「体の大きさ……気温の低下……こいつは氷龍で間違いなさそうだな」
その呟きに反応したラナが聞き返す。
「それって、竜じゃないの?龍ってそれはやばすぎでしょ?」
「いや、合ってる。感じる冷気の温度は確実に俺らじゃなければ死んでいるだろう」
そんな寒いんじゃ私は死んでるんじゃないの?
不安になり、体をペタペタと触る。
「じゃあ猫ちゃんは!?……って、私さっき保護魔法かけたんだった…」
「しっかりしろ。あいつから逃げる算段でも考えてくれ」
あ、よかった〜。
私は死んでいるわけではなかったらしい。
死んでいたらきっと、最初の街にリスポーンしてるはずだろうから。
だからといって状況が変わったわけではない。
私では目の前のデカブツには勝てないし、この2人も結構勝てるか怪しいらしいから、私が現状生き残れるかは、この2人にかかっていると言っても過言ではなくなってくるのだ。
詰まるところ私にできることはほとんど残っていないということである。
強いていうなら、スキルの力をどうにか使って逃げ回ることぐらいしかできないだろう。
(この2人に邪魔になるのは一番避けなければ……)
謎の使命感に駆られ私はどうにか隠れられる場所がないか探す。
出口から私は逃げようかとも思った。
だが、出口はすでに氷によって閉ざされていた。
それに、なんだかんだで助けてもらっているのだ、2人を見捨てて逃げるというのはダメだと個人的に思ったからでもある。
隠れられそうな場所を大雑把に見渡したところ、特にそのような場所はなかった。
というのも、この場所は植物によって囲まれたような、いわば少し狭いアリーナのようなところであるため、まだ姿が霧で隠れている敵に見つからないような場所や、死角になるような場所は発見できなかった。
「ダメ、そんな道はなさそう。会ったとしても目の前の逃がす気あっちにはなさそうだし」
「なんでここに上位龍がいるんだよ!ドラゴンはドラゴンでも、平均的な竜程度しか倒せないというのに……」
2人の話を聞く限り、どうやら竜とやらの方が一段落ちた強さで、龍の方が強いらしい。
それは2人の会話以外でも読み取れた。
(2人ともめっちゃ冷や汗かいてるし、何より私でも2人と氷龍とやらの強さの差ぐらいわかる)
これでも一応は感覚が優れた種族なのだ。
圧倒的開きくらいには気づくことができるというわけ。
「どうやら自分の住処を荒らされて起こっているらしいな」
「それって完全とばっちりじゃん!先入ったのはオークキングの方だし……。っていうか引きこもってないで外にでだらどうなのかしら?」
嫌味ったらしくラナが徐々に霧から姿を見せてくる龍に向かって皮肉を言う。
「まあ、出たら出たで機構変んどうやらなんやらで、ここら一帯の生物は死滅するんだがな。一部の人間と我々魔族くらいだろう生き残れるのは…」
ラナの皮肉に対して、残酷な事実を突きつける。
逆転の発想で、こいつを外に出せばいいんじゃね?
とか、思った私がバカみたいに見えてくる。
ついに、氷龍は私たちに姿を現す。
その姿はまるで、氷そのものかのような綺麗な透けた青色をしていて、思わず見入ってしまうような美しいものだった。
鱗の一枚一枚が綺麗に並んでおり、あまり詳しくない私でも、そいつはかなりかっこいい部類に入るんだろうな、とわかる。
「お出ましか」
「転移魔術って意味あるかな?」
「その前に魔法陣が凍結されるだろ。だったらここは、主人に通信を繋ぐのが最善だ」
「わざわざ、負けそうですごめんなさいって?私は嫌なんだけど」
「それもそうだが、俺たちは魔族。主人に忠誠を捧ぐのは当たり前のことなんだぞ?」
「だったら、最初の任務を遂行した方がいいでしょ。まあ、結局生きて帰らなければいけないってことね」
ため息をつきながら踏ん切りがついたように表情を一変させる2人。
「猫ちゃんはそこで待っててね。お姉ちゃんたちが守ってあげるから」
前に歩み出ながら振り返らずに私に言い放つ姿は、私が男子だったらキュンと来るのだろうか?
立場的に性別が逆な気がするが……。
「では、いくぞ?」
「そっちが合わせなさいよね!」
文句を言いつつも息のあった動きで走り出す。
それを視認しているであろう氷龍も黙ったままやられてはくれないわけで…。
「グアアアアアアオオオオオオオオオ!」
目の前に敵の叫び声を聞いて、2人は眼前で散開する。
流石に、実力の差を2人とも重々承知しているためか、人数の有利さを利用して勝ちを狙いに行っているのだろう。
ただ、2人の考えが私に読める時点で氷龍……知性を持っているであろう敵に効果があるはずもない。
「「!?」」
2人を巻き込みながら氷龍が回転する。
10メートル近くあるはずの巨体が軽々しく、何回転もする様は異様の一言に尽きるであろう。
「!」
魔法は口に出さなくても出すことができるらしい。
昨日の夜掲示板で知ったのだが、今実際に目にしたことでガセではないことがわかった。
だが、それは同時にラナには魔法名を叫ぶ余裕もないことを示している。
氷龍はラナに興味を示さず、ルキさんの方へと口を大きく開ける。
一瞬食べようとしているのかとも考えたが、それはすぐ違うとわかった。
「『刃斬・残像』!」
大剣を大きく振り上げて天井に向かって投げ飛ばす。
何をしているのかの答えはすぐに出た。
氷龍の意識はルキさんから外れ、体験の方に向く。
口からは淡い水色の光が漏れ出ていた。
それは一気に口から解き放たれ、大剣を通り越して後ろに控えていた壁するも突き破る。
日光がそこから差し込み、2人の攻防を美しく彩っていた。
「俺の剣が……」
「あんなのスペアの中のスペアでしょ!シャキッとしなさい!」
ラナがルキさんの背中をトントン叩きながら、励ます。
「『身体強化』」
「スキル『剛力』スキル『俊動』」
自らに魔法やスキルをかける2人。
そして2人は一気に正面から突っ込んでいく。
その様子に全く動じずに先ほどとは少し違った動作で2人に応じる。
「今度は何!?」
「やつのスキルだ!観察したら、わかった!」
「スキル名は!?」
「わからん」
「はあ!?あんたの能力でわかんないんだったら私にもわかんないわよ!」
急ぎ急ぎで会話をした2人には休むことのない時間が訪れる。
氷龍の周囲から突如として、一部の場所が猛吹雪地帯へと変貌する。
そこに入ったものは全てが凍っていっている。
「ちっ!」
ルキさんはうまく体を捻って地面に降り立ち、すぐに後ろに下がる。
だが、ラナは……
「ぐ、あ!」
吹雪とは反対方向から蹴りを入れ、反発の力で吹き飛ばされる。
ただし、本人も威力が予想外だったらしく、足はもはや消し飛ばなかった方が不思議なくらいにはボロボロになっていた。
さらには、思った以上に浮遊時間が長く、少々の焦りをあらわにしている。
そこで吹雪は何もなかったかのようにかき消え、氷龍が姿を現す。
「ラナ!」
何が起ころうとしているのかわかってしまったルキさんが叫ぶ。
「っく!」
くそ……と言いたいのだろう。
だが、その声は氷龍の動く音で聞こえなかった。
(私だったら助けられるかもしれない……)
距離的にも『脱兎』のスキルを使えば助けることができるかもしれない。
(まあ、そんぐらいしてあげないと、命張って守ろうとしてくれる2人に示しがないよね!)
私は、スキルを発動させるのだった。
なぜ、いきなり伸びたのかは知りませんが、皆様のおかげであることは確かなので、もう一度感謝を伝えさせていただきます。
ほんとにありがとうございます!
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