11話 休みたい私
土曜日にも仕事や授業があった人、お疲れ様です!
うむうむうむうむ………そろそろ疲れてきたな〜。
私は目の前に広がっている文字の群れを見ながら目を回す。
こんなん眺めているだけで、暇は潰せるかもしれないが、私は暇でやっているわけではない。
やっているわけではないのだ!(2回目)
何故こんなにたくさんの文字を覚える必要があるんだよ〜!
まあ、人族語がわからないからなのだが………。
私だけEFOの難易度が高すぎる件について…。
酷すぎやしないですか運営さん?
語学勉強って……私ってば、高校生なんですけども、ゲームでも勉強せなあかんて…。
まあ、別にいいんだけどさ。
勉強は嫌いじゃないからあれなんだけど。
しかもこれって結構自信につながるんだよね。
なんでかは知らないけど、現実世界の方で英語を勉強するよりもこっちで人族語勉強する方が覚えがいいというか、理解が早いというか……。
とにかく、私って勉強得意なんじゃね?
そう感じることができる。
ほんとにそうなのかは疑問なんだが…。
私は勉強が得意なわけじゃないので、絶対にEFOで補正がかかっていたりするんだろうな……。
そこの点だけは良かった。
勉強始めて後々気づいたのだが、ちょっと学んだからって言語が理解できるはずないよな……そう考え諦めかけてたが、なんとなくたくさん覚えられそうだったので頑張れた。
(案外私はやればできるのね!)
そう調子に乗って読み始めること早2時間。
調子に乗るのがうまかったようで……。
そうして私は本を閉じる。
そろそろ疲れてきたので、私は気分転換にどっかにいくことにする。
(気分転換するには、森とか木が生えているような場所に行ったほうがいいよね)
そう考えた私はマップを開く。
(ほんほん…なるほど〜。向こうのほうにでっかい森があるのか…。んむむ、じゃあとりま行ってみようかな!)
私は休憩がてらに出かけることにした。
その時のバカな私は森に住む生物のことまで考えていなかったのだ……………。
♦︎♢♦︎♢♦︎
というわけで、やってきました初心者の森!
さあ、私はここでくつろぎに来たわけですが、正直ちょっと木々がデカすぎて若干圧倒されておりますが、休めるような場所を探していきたいと思います!
説明口調に少しなってしまったものの、私は辺りの静けさを感じながら、前に向かって歩き始める。
その方向にあるのは、大きく広がった森の木々、その奥にあるのがエルフの里。
私は特にどこを目指すこともなく、森の中を適当に歩き始める。
(目的地とか決めてないけど、そんなに長居する気もないからすぐに帰れるようにあんまり奥までいかないようにしないと……返ったら勉強して、その後魔物とかと少し戦ってみたりして………あ!)
そこで気づいた。
私がいるのは明らかな魔物の生息地。
ここに魔物がいないはずもなく……。
ガサガサと横の草わらから音がする。
ひっ!っと声に出ない悲鳴をあげて、そちらの方向を注視する。
(待って待って!心の準備できてないから!)
私は草むらにいるであろう何者かに言い訳をしながら、『こないで〜!』と念じる。
まあ、そんなの伝わるわけがなく、案の定そこから出てきたのは異形のものだった。
肌は緑の色をしていて、割と小柄(私よりもでかいが…)で、目つきは鋭く、服はほぼないに等しい……腰に布を巻きつけただけの格好だった。
(完全にゴブリンですやん!私、絶対死んだじゃん!)
普通の人間よりも小柄なのに、強いというゴブリン。
普通の人間よりも弱い私にどうしろと?
「ぎぎゃ?」
「にゃ!?(はう!?)」
いきなりゴブリンの声が後ろから聞こえ、私は一旦考えるのをやめ、逃げる算段を考え始める。
(なんで後ろ側にもおんの!?じゃなくて、どうやって逃げよ…)
振り向いた先にいたのは目の前にいるゴブリンと同じで布姿のやつだった。
そうしているうちにも時間は経って行き、ついにゴブリンの体が動く。
(横から抜ければ…うーん……あ、ちょっと待ってください!)
体を丸め身構える。
私はゴブリンが飛びかかってくるものだと思った。
だが、ゴブリンは私から背を向けて逃げていく。
後ろにいたゴブリンもそれに呼応して逃げていく。
(え?どういうことですか?)
私から逃げたのか?
自分で探してあてたくせに獲物にビビって逃げたんすか?
それしか考えられない。
猫だから逃したというわけでもなさそうだ。
ゴブリンに好き嫌いとかなさそうだし、お腹の足しになるならなんでもいいみたいなイメージあるしね。
やっぱり、私の何かに反応して逃げたとしか思えないんだけど…。
そこで私は、1つのことを思い出し、ステータスから称号を選択する。
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恐喝者
シークレットステータス
威圧 +100
説明
相手に一定以上の恐怖を与え、なおかつ、何かしらのアイテムが譲渡された場合に獲得可能。
効果
シークレットステータス
『根性』が自らの『威圧』よりも低い相手に対して、半径五十メートル範囲で状態異常『恐怖』もしくは、『錯乱』の状態を与える。
ーーーーーーーーーー
もしかしなくてもこれですか?
『恐喝者』
私初めてとった称号である。
なんとも私に似合わない称号だが、これのシークレットステータスの『威圧』とやらが関係しているような気がしてならない。
『根性』が私の『威圧』よりステータス的に劣るやつに恐怖とか錯乱の効果でしょ?
さっきのゴブリンの様子を思い出しながら、それしか考えられんと再度思う。
(やっぱり私から逃げていったんだな……私、そんな怖くないと思うんだけどな〜)
私の見た目を見たらわかる猫の可愛らしい姿。
こんな私に怯えるとはなんたる腰抜け!
でも、実際はただゴブリンが弱すぎるってことだよね。
最弱の魔物であるゴブリン。
そして、初期ステータスは平均10前後、それでもちゃんと倒せるように設定されているはずだ。
そんなやつに『根性』が100以上あるわけない。
(ま、私のカリスマオーラを感じてしまったのだからしょうがないか☆)
とりあえず、私のもとには少なくともゴブリンは寄ってこないと……。
それがわかっただけでも上々の結果と言うべきか。
(なんの結果は知らないけど)
と、そんなことはどうでもいいのだ!
私は休める場所を求めているのだ!
私を休ませろ!
そして、再び歩き出す。
辺りの風景はさっきから全く変わらないため、マップの機能がなければ私は完全に迷っていただろう。
(ここら辺になんかないかな?歩き回ってみたが、そろそろ入り口の辺りは全部探索したことになりそうなんだけど…)
楽しくお散歩したかったわけではないんだけれどもな〜。
私はまだまだ歩き回る。
♦︎♢♦︎♢♦︎
そこで再び草むらから音がする。
(またなんか来たのかな?)
ここまで歩いてきて……初心者の森に反対側まで歩いてきたのだが、何回かスライムやゴブリンが寄ってきていた。
きっとまた最弱モンスターの類だろう。
そう思って、だるそうにそちらを向く。
そこから現れるのを私をみて逃げると思って………。
(あれ?おおかみ?)
そこにいたのは白い毛並みを持つおおかみだった。
体長が約2メートル近くあるだろう。
私と比べると何十倍の差があった。
(まあ、私をみて逃げていくかな…)
そして、無視して歩き出す。
散歩ほど歩いたところで私は何かを感じ取る。
そして私は横に逸れる。
「グルルルルッ」
「んにゃ!?(逃げないの!?)」
そこにはいまだに私に向かってうなっている白狼の姿があった。
私に猫の直感的なものがなかったら、死んじゃってたな……。
私は軽〜く死の予感を感じながら、冷や汗を流すのだった……。
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覚えなくてもいい設定
初心者の森=ストラノル大森林
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