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すばやさに極振りした猫〜VRMMOで最強目指す〜  作者: 翡翠 由
第一章 ゲームを始めました
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10話 プレゼント

最近はなかなか書く時間がなくて遅れしまいます。

私の周りから、たくさん集まっていた人だかりが消えていく。

 影が私の周りから引いていって、辺りを見渡せるようになる。


「んな〜(終わった〜)」


 私は脱力してその場にへたれこむ。

 太陽が差し込んできて、暖かいを通り越して暑苦しいまで感じて私はジタバタと動き回る。


「いやー!もうけたもうけた!」


「だいたい……ひふみ……金貨で10枚くらいかしら?」


「そんなにか?これはニャンコに感謝しないとな!」


「ちゃんと高級猫缶とか他にもなんか買ってあげようね〜」


 私の頭を撫でながら、私では理解できない言語で何かを言ってくる。

 もうどうにでもなれ精神で、ただただポーズとったり、呆然と立ったままでいたりとしたため、なんか精神的に疲れた。


 そのまま私は、女の子に抱かれる。

 抱き上げられた私の体を優しく包んで男と一緒に何処かへと運んでいく。


 今度はなんや?

 私、そろそろ休みたいです……。


 ぐったりとした私を突いて起こそうとしてくる女の子に若干イラつく。

 ただ、怒って猫パンチを喰らわせてやりたいところだが、そこで手を出すほど私は小さな心をしていない。


 仮にも私は女子……同性の子を殴るほど落ちぶれてなんかいないのだ。

 例えどれだけ切れそうでも……。


 いまだに二人は大通りを歩いていく。

 若干揺さぶられ、太陽の光も十分に浴びて寝てしまいそうになるが、こんなところで寝てしまったら、この二人に一体どんなところに連れて行かれるかわからない。


 まあ、既に現在進行形で連れて行かれているわけだが……。

 ぶっちゃけて言うと、少々めたくなるのだが、VRをつけたまんまログアウトせずに眠るのってなんかださい。


 ゲームしながら寝落ちってことでしょ?

 そんなところ、NPCだったとしても見せたくない。


 まして、私がプレーヤーだと認識していないとはいえ、他のプレーヤーに見られるなんて、私が恥ずか死んじゃう…。


 先ほど、野次馬の中にいたプレーヤーは私が猫だと思った瞬間消えたっぽい。

 これすなわち、私のようなただの猫には興味がないと言うこと。


 イコール、私のことをただの猫だと思っている!(迷推理)


 これで、憶測だが私はプレーヤーとして認識されていないと言う可能性がかなり高まっただろう。


 ただ、最初の目的を忘れているような気がするのは気のせいだろうか……?

 そこで、体に伝わっていた振動が止む。


「んじゃまあ、買ってくるわ」


「オッケー」


 二人が別れて、私を抱いている女の子はその場に留まり、男がなんかの店に入っていく。


 いまだにこの二人が何をしたいのかわからない私はただ、女の子の腕の中でうずくまるしかなかった。



 ♦︎♢♦︎♢♦︎



 そして、男が戻ってくるのを気配で感じる。

 猫となったことで、感覚的にはとてつもなく鋭くなったような気がする。


「おかえりー」


「こんなもんだろ」


 ポーチの中に入っている何かの缶詰を私は眺めながら、二人が何を話しているのか考える。


「んじゃあ、これをおいて、路地裏にでもおいてくるか?」


「それはちょっとかわいそうだけど……猫ならここら辺の道走っているものよね……ねえ、買っちゃダメ?」


「ダメだ。帰るほどの余裕なんてないだろ?俺たち冒険者だぞ?」


「うっ……」


 何か話に詰まったかのような声を聞き、私は興味をなくす。



 ♦︎♢♦︎♢♦︎



「じゃあな。ニャンコ」


「うう…飼いたかったな〜」


 そう私に声をかけ二人はさっていく。


 ……………………………………………………。


 え?何この急展開?

 さっきまで、一緒にいたよね?


 私に優しく接していた二人の姿はどんどん見えなくなる。

 私が戸惑っている間にもその姿は見えづらくなり……。


 と言うか、まずは状況を説明してくれない?

 誰もいない路地に聞く。


 案の定返事なんてものは返ってこないものの、私は何か吹っ切れたように気にするのをやめる。


(まあ、別にいっか…。どうせ、一緒にいたってあんま意味なんてないだろうし、やっと解放されたと思えば……)


 私は二人が置いていった荷物をあさりにく。

 やってることは盗賊に近しいものだが、こればかりはあの二人が置いてったのが悪いのである。


 遠慮なく中身を活用させていただきます!


 私はポーチのボタンを外す。

 思いっきり、自慢の歯でちぎる。


 案外私の歯は強く、一瞬でボタンが取れる。

 中から転がってきたのは缶詰だった。


(猫缶?)


 どっからどう見ても、猫の絵のようなものが描かれている。

 猫缶あげればいいや、とでも思ったのだろうか?


(そんなんじゃ私の怒りは治らないけど?)


 前足を丸めて、グーを作りながら歯を食いしばる。

 今度あったら確実に一発殴る。


 そう心に決めて、私は他に何か入っていないか探る。


「んにゃ〜?(これって、本?)」


 中に一冊の本がある。

 それはとても分厚い本だった。


 私は中を開いてみる。

 前足を使って器用に1ページをめくる。


 そこに広がっていたのは、たくさんの文字。


 いや、それは本だから当たり前なのかもしれないが、そこには大きく書かれた文字と小さく書かれた文字がある。


(これだけじゃわかんないな………あ!そうだ!)


 私はそこで思いつく。

 前足を本に触れて私は頭の中で、『収納』と念じてみる。


 すると、本はスルッと消え、姿を眩ませる。


(やった!)


 私が思いついたのは、この本をインベントリ内にしまうというものだった。

 なぜそんなことをするかというと、本のタイトルを確認するためである。


 今まで、そこまで疑問に思っていなかったが、インベントリにあるものの名称や、ステータスなどはしっかりと日本語として認識できた。


 つまりは、一度入れれば本のタイトルが日本語で表示されるというわけだ。


(私ってば頭いい〜!)


 自画自賛をしながら、私はインベントリを開くように念じる。

 そして、インベントリが現れ、中に何が入っているのかが映し出される。


(人族共通語?)


 そこに書いてあったのは、人族共通語という言語に関する本であった。


(これで、勉強しろっていうことですか???)


 私は二人の顔を思い出しながら、そう思う。

 でも、これはいい機会でもある。


 猫語しかわからない今の現状じゃまともに会話すらままならないだろう。

 この機会に勉強しておくのも、いい。


(では、ありがたく使わせていただくけど……もうちょっと渡すもののセンスなかったの?)


 猫缶まではわかる。

 私猫だし……。


 ただし!本、お前はダメだ!


 猫に本を読ませようとするってあの二人ばかんじゃないの?

 本気で心配になったが、私には関係ないとその思考をかき消し、早速勉強に打ち込むのだった………。



 ♦︎♢♦︎♢♦︎



「あ、人族語の勉強の本を入れっぱなしだった…」


 いきなり、ルキがそんなことを言う。


「あれないと私達が人族語勉強できないんですけど?」


 ルキを問い詰め、同時にこいつはダメだと半ば諦める。


「私達()()に与えられた任務を忘れたの?」


「冒険者になりきって、人間国家の上層部の信頼を勝ち取ること……」


「そう。でも、その前に私達が人族語話せないとまずいってわからないの?」


「いや、ポーチから出すの忘れてーー」


「言い訳はいい!」


 本気でこいつは頭が悪いと思った。


「ここまで来れば演技はもういらないわね」


 私たちは猫を置いてきた路地とは離れた人気のない場所にくる。


「さあ、我らが主人に忠誠を示すのよ」


「わかっている」


 その会話を終えたのち、私は通信を繋ぐのだった。

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