プロローグ①
どうも。
不定期になりますが、暖かい目で見ていただけると幸いです…。
「え〜!えみりん!あのゲーム買えたの!?いいなー。ずるいよ〜」
教室の中で一際でかい女性の声が響く。
一瞬静まり返った教室はすぐにいつものうるさい他の騒ぎ声によって元に戻る。
その様子を申し訳なさげにみていた大声を出した女性が…米梨あやめが私に上目遣いをしてくる。
「ご…ごめんちゃい☆」
「今ので許さんわ」
「待って!ごめんて!まじで!」
私の机に打ちつけそうになるくらいの勢いで頭を下げるあやめを見て、私は呆れながらため息をつく。
「わかったから…また大声出すのはやめてもらっていい?」
「ああ〜そっか…。ごめんごめん」
私の目の前で手を前に突き出し謝るあやめ。
「んで、話を戻すんだけど…あの新作ゲーム手に入ったの?今日発売されたやつ…」
あやめが話していると言うゲームというのは、今日発売されたVRMMOのことである。
その名も!
「Eternal fantasy onlineのこと?」
「当たり前じゃん!確かにこの間のVR本体、抽選で当てたのもすごいけどさー…。今度はどうやって手に入れたのよ?」
Eternal fantasy online
直訳すると『永遠のファンタジーオンライン』と絶妙にダサいこのゲームは、今日発売された新作のVRゲームである。
このゲーム会社は、(私は名前を知らないが…)かなりの有名どころが作ったゲームで、発売される前から予約が埋まり、アクセス数が半端なくなって一時的にサーバーが停止するという偉業?を成し遂げたらしい。
私自身、もともと興味がなかったから知らなかったがこれは有名な話だとネッ友から聞いた。
このEternal fantasy online…長いからEFOで…。
このEFOを手に入れたのはほんと偶然だ。
予約が始めるちょうど一分前に見つけてポチってみたんだ。
そしたらまさかの買えてしもうたわけで…。
「いや、偶然だよ〜」
「絶対違う!きっとえななんのことだから、運営の誰かを誘惑したに決まってる」
「あたしゃサキュバスか!?」
といういつもの会話を繰り返しながら、私は時計を確認し、昼休みがあとどれくらいなのかチェックする。
(まだ時間あるし…。しょうがないあやめの弾丸トークに耐えるしかないかな)
若干諦めつつ、私はあやめの会話に再び身を投じる。
「だって、えななんって顔とスタイル……胸は除いて……はいいじゃん」
「胸はどうした?」
「え…えっと〜あはは〜」
誤魔化すなし!
「そ…それで!そのゲームってもう届いたの?」
「声まだ震えてるわよ…。うーん…。今頃もう届いているんじゃないかしら?」
「えーいいなー。私も手に入れたらすぐにえななんに追いついて見せるんだからね!その時は一緒にゲームやろうね!」
元気よく宣言するあやめに苦笑する。
「ええ。あやめが来る前にものすごい強くなってやるんだから」
「ちょ!?少しは待っててよー」
顔を膨らませて言うあやめに今度は大声で笑ってしまった。
♦︎♢♦︎♢♦︎
「んじゃ。私こっちだから。また夏休み明けにね〜」
「あれ?明日から夏休みなの?」
「あやめ…どんだけ抜けているのよ…」
別れ道であやめがとぼける。
夕焼けの光とそれによって生まれた影が綺麗に分かれ道を映えさせる。
「え?じゃあ、一ヶ月学校行けないの?」
「当たり前でしょ。だから言ったじゃない。『ものすごい強くなってやる』ってさ」
「え!?そう言うことだったの!?」
大袈裟に驚いてみせるあやめ。
わざとではないんだろうな…。
「じゃあね。また一ヶ月後」
「うん!じゃあね!」
太陽を背景に大きく手を振るあやめに手を振り返して、私も自分の帰路を辿る。
「さあて。ゲーム届いてるかしら?」
なんとなくウキウキしながら歩き出す。
普段ゲームをしたりしない私がこんなにウキウキしながらゲームを楽しみにするのは、久しぶりだった。
それもこれも…。
「夏休みのせい…おかげ?ね…」
そう!
私は、友達が少ないのだ!
元々、あやめが私に話しかけてくれなかったら、今頃ずっと本を読んでいたところだろう。
そんな私に夏休みをどう過ごしていけばいいのか?
正直言って、夏休み絶対暇になることを考え、夏休み計画プランを家の中一人で黙々と作っておいたのだ。
♦︎♢♦︎♢♦︎
そんなある時私は面白い暇つぶしを探していた。
そんな時にあるサイトを見つけた。
「Eternal fantasy online?何それ?」
『永遠に楽しめるゲーム』で検索をかけて探そうと思ったら、一番上に出てきたのだ。
Eternal fantasy onlineの公式が…。
その公式を開き、ゲームの内容を確認する。
「飽きることない…終わらない…永遠の旅…」
そこには魅力的な言葉の数々が並べられていた。
「永遠に遊べるゲームか〜」
私は対応した機種を確認する。
「え!?VR対応してんの!?」
対応機種・VRという文字と、この間抽選で当てたけど、ゲームを持っていなかったから放置していたVRの本体を交互に見ながら、私は速攻でこのゲームを買うことを決意をする。
もう一度私はゲームの説明欄を読み直す。
『飽きることのないゲームがしたくありませんか?本作は今までのゲームのすべてが詰まっています。終わらないそのゲームをあなたはクリアできるでしょうか?』
なんでそこ疑問系なんだよ。
なんかこれ時々日本語おかしいんじゃない?
そう思い、開発元の国を調べる。
「あ…一応日本なんだ…にしても、日本語若干おかしいでしょ。………ふ〜ん。グローバルを意識しているから日本人が少ないってことかな?ゲーム業界も大変なんだね…」
たまたま視界に入った、対応している言語一覧を見ながら私は素直にそう思う。
約五十の言語に対応しているとは……末恐ろしいです…。
そして、私はゲームの公開されているプロローグの一部に目を通す。
『かつて世界は一つとなっていた。その世界は善神様、その配下の神々によって統一されていた。人はこれを黄金時代と呼ぶ。だが、そんな夢のような時間は長くは続かない。一柱の神が善神に謀反を起こす。人々は謀反を起こした神を“邪神”と呼称し、忌み嫌うようになる。そうして、邪神の謀反によって世界はいくつかに分かたれた。彼の邪神を止めることができる人物はいるのだろうか?』
「ふーん。まあまあ作り込んであるのね」
感心しながら言葉を漏らす。
このプロローグを見て私はゲームを買うという決意をさらに固くする。
「よし!買おう!えっと、このゲームはいくらくらいかな〜。正直お金は結構持ってるんだよな〜」
使っていない貯めたお金がまだまだ口座にたくさん溜まっている。
自分で貯めたお金や、両親からもらった仕送りとお小遣いを使っていない分があるのだ。
「あ…まだ発売してないんだ…」
ホームの下の方に書かれていたのは『予定』の二文字。
その二文字は私の気分を落とすのに十分な威力を持っていた。
「く…まさか、まだ発売されていないなんて…」
普通のゲームならば、長い長期休暇は絶好の機会であるはずなのに…。
少しだけ残念に思って、サイトを閉じようとする。
左上の矢印を押そうとして、そこで指が止まる。
「発売日か〜」
今すぐチェックと書かれていて、見えずらかったが、そこには確かに書いてあった。
まだ、発売はされていないものの、もうすぐ発売されるかもと思うと目が話せない。
きっとこれも、『飽きない・終わらない・永遠』の三つの言葉のせいだろう。
と、言い訳をしながら、チェックする。
「………どうせだし、一応発売日見ておこうかな…」
私は発売日を確認するのだった。
見やすいように短くしました。
ブクマ・評価など、広告の下からできますのでお願いします。
修正 次回の話と矛盾がちょっと生まれるので修正しました。




