表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/47

19話 東雲夫婦の日常

私たちは結婚して今まで住んでいた南の都市から北の都市のとある村に引っ越してきた。そこで出会ったお隣さんの雷くん達はとっても良い子達で、若いのに4人で暮らしていた。雷くん曰く家族だという。ちょっと不思議な感じがしたが、毎日楽しそうに過ごしているらしい。


#

「おとは〜、起きてよ〜」

私は横でだらしなく寝ている音羽の肩をそう言って揺する。

「何さ〜、休日なんだから寝かせてよ。寒いし」

と眠たそうな声で返事が返って来たので、私は音羽の布団に入りこみ、ギューッと抱きしめて、

「これであったかい?」

と聞く。すると音羽は顔を真っ赤にさせて、慌て出す。音羽はこういう事に慣れてないのだ。だからいつも私が抱きついて起こしてる。

「もう暑いから起きるっ」

と慌てている音羽は可愛い。一緒に椅子に座って朝ごはんを食べる。今日はパン(イチゴジャムとバター付き)とコーンポタージュだ。ちょっとだけ寝坊してしまったからこれしか用意できなかったのだ。

「いただきまーす。」

と言って美味しそうにパンを咥える音羽、口の端にイチゴジャムが付いていて子どもみたいだ。

「ジャムついてるよ」

と言って私はそれを指で掬う、そしてそのままジャムがついた自分の指を舐めた。いちごの味がする。それをボッーと見ていた音羽は自分が何をされたか気づいた瞬間また顔を真っ赤にする。私は悪戯そうに笑ってそれを見ていた。


食事を終え、椅子に座ってくつろいでる音羽に私は、

「どうせなら街ってとこ行ってみない?」

と提案をした。音羽は嬉しそうな顔をして頷く、そして

「着替えて来るっ!」

と張り切っていい、部屋へ走っていった。私も着替えに自室へ向かう。


着替えが終わりリビングに戻ると、丁度着替えが終わった音羽も部屋から出てきた。タイミングが揃うとなんか嬉しく感じる。

「それじゃあ行こっか。」

と私が言って家を出る。続いて音羽も出てきて家の鍵を閉めた。

私たちは雷くんに教わった馬車屋に向かって歩く。確か10分くらいで着くはずだ。その道のりを私たちはずっとおしゃべりしながら歩いた。


「ここじゃない?」

言われた建物に似た建物が見えてきた。私は音羽の手を掴んで少し走る。

「ここで合ってるね。」

店の目の前に着き、教えてもらったお店だと確信する。受付の人に目的地をはなし、お金を渡してから馬車に乗り込んだ。

「わ〜、ふかふかだね!」

座席の気持ちよさで私は笑顔になる。

「そうだね、ふかふか」

と返す音羽の顔も笑顔だった。


馬車を運転する人が、馬の上にまたがり何かをする。

すると馬はゆっくりと歩き出した。初めての馬車に私は感動する。隣を見るとそこには楽しそうな顔をしている音羽の横顔があった。私は気付かれないようにそれに微笑む。


馬車に乗ってもう何分も経つ。涼しい風に吹かれて私の意識は微睡んでいた。何度も寝そうになったが何とか意識を保っている。気持ちよすぎる...。馬車の心地よい揺れと涼しい風が私を寝かせようとしている。そう感じる。雷くん達も私と同じ気持ちになったのかな、やっぱりみんな眠たくなるのかなと考えていると肩にトンっと何かが乗る感覚がした。自分の肩を見てみると気持ち良さそうに眠った音羽が頭を乗せていた。

「も〜、音羽ったら...」

と私は呟き優しく頭を撫でる。可愛いな、と思いながらね。


#

馬車が街の入口に着いたので、私は音羽を起こし、馬車を降りる。

「意外と栄えてるね〜」

「そうだね、じゃあ行こっ!」

と楽しそうな声で音羽に言われ一緒に歩き出す。

キョロキョロと左右を見ながら歩くと色々なお店が視界に入ってくる。服屋、家具屋、お食事処などなど...


その中で私は1番興味をそそるお店を発見した。水着屋さんだ。

「おとはっ!水着見に行きたい!」

子どもみたいにはしゃいだことを言ってしまって少し恥ずかしかったが、それより水着を見たい欲が強かった。無理矢理音羽を連れ私は水着屋さんに入る。

「わぁ〜、すごい...」

可愛い水着が沢山あって私のテンションはMAXだった。色んな水着を持ってサイズを確かめるために胸に当てる。そんな事をしていると店員に、

「良ければ試着してってください。」

と言われた。私は頷きそのまま店員に試着室に案内してもらい、中に入る。


カーテンを閉め、水着になる為1度服を脱ぐ。そして水着を着てカーテンに手をかける。いきなり恥ずかしくなってきた。今来てるのはヒラヒラが付いた水着だ、可愛いなと思って持った時に話しかけられたからこれを着るしか無かったのだ。


恥じらいとの戦いの末勝った私は思いっきりカーテンを開ける。目の前に居た音羽と店員に今の姿を見られ、恥ずかしさに顔が赤くなるのを感じた。

「似合ってますよ〜」

と店員に言われる。似合ってないって言われたら殴っちゃう所だったからお世辞でもありがたい(色々と)

「...可愛いと思うよ。」

音羽にもそう言われもっと恥ずかしくなる。


慌ててカーテンを閉め、水着を脱ぎ服を着る。そしてまたカーテンを開ける。音羽は残念そうな顔をしていたが、恥ずかしいものは恥ずかしい。私は別の露出の少ない水着を手に取りまた試着室へと入る。その水着を着て、それをまた店員と音羽に見せる。

「なんか...中学生みたいで可愛い。」

「それ私の身長が低くて胸が小さいからでしょ」

少し怒ったように返すと音羽はバレたか〜と笑っていう。笑い事じゃないよ、気にしてるんだし。

「私これ買う!」

私は今着てるやつを脱いでレジに持っていく。お金を払って水着を受け取り、店を出る。


もう時間はお昼だった。色んなお店を見つつご飯を食べれるところを探し、結局私達が大好きなお蕎麦を食べる事にした。店内に入ると席に案内される。しばらく経ってからお水を持ってきてくれたのでその時にざる蕎麦を頼んだ。


五分くらいで蕎麦がやってくる、美味しそうだ。割り箸をパキッと割ってそばを掴みつゆに浸す。そしてそのまま口に運び、食べる。滅茶苦茶美味しい。麺がモチモチしてるし、つゆの味も素晴らしい。目の前を見ると同じように美味しそうにそばを食べる音羽がいる。

一生懸命お蕎麦を食べてるのはホントに子どもみたいだ。


2人ともお蕎麦を食べ終わり、店を出る。

「美味しかったね、また来たいね。」

その言葉に頷く音羽。

さて、これからどこに行こうか。とりあえず雷くん達にお土産でも買おうかな、と思いお菓子を買える店を探す。

何分か歩いていると、桜葉の素揚げが売ってる店を発見した。

「あっ、桜葉の素揚げじゃん。美味しいんだよねアレ。」

「じゃあ買ってくか」

私はそのお店の店員に6人分の桜葉の素揚げを注文し、商品をお金と交換する。

「そろそろ遅いし、帰るか。」

日が半分位傾いている。もう空は茜色に染まりかけていた。私たちは馬車屋に戻り、村まで乗せてってもらった。


#

音羽に肩を揺すられ目を開けると、気が付いたら村に着いていた。どうやら寝てしまっていたらしい。


家まで2人で歩く。今日楽しかった事を話しながら。

自宅に帰る前に雷くんの家によった。コンコンとドアを叩くと少したって雷くんが出てくる。持っていた桜葉の素揚げ4人分を手渡すと、

「ありがとうございます。」

と深深と頭を下げた。そんなにしなくても良いのに...


そのまま私たちは家に帰る。そのあとは音羽にご飯を作ってもらい、それを食べお風呂に入った。どうしても水着をもう1回着たくて水着でお風呂に入ったのは音羽には内緒の話だ。

そんなかんなでもう寝る時間だ。私も音羽もそれぞれの部屋に行く。 私は自室のベットに寝転がって久しぶりにした2人のデートの事を考えてニヤニヤしていた。今度雷くん達と一緒に海に行きたいな、なんて事を考えながら。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ