借金返済を拒絶するマッチ売りの少女
視聴率20%はいきたいです。
東京中央街にも冬の時代が訪れた。
行き交う人々は足早に家路へと向かい、夕暮れ時を過ぎれば日も落ち瞬く間に辺りは闇に包まれた。
うだつの上がらぬバンカーとして底辺を彷徨っていた少女が居た。
彼女は街行く人々に声を掛けては、融資の相談を持ち掛けていた。
「マッチはいりませんか? マッチはいりませんか?」
少女が懸命に声を掛けるが、誰もその言葉に耳を貸す者は居りませんでした。
「大変。早くマッチを売らないと……利息が払えないわ」
少女は貧しさから生活費を借りておりました。利息の緩い街の消費者金融から僅かに借りたお金すら返せない少女は、この日も夜遅くまでマッチを売り歩いておりました。
「おじょーちゃん……金、返してくれんか?」
少女の前に借金取りが現れました。しかし少女の懐には利息分にも到底届かない僅かな小銭しか入っておらず、少女は借金取りを睨みつけました。
「無いんか? ならば古来より伝わる謝罪術で許してやる…………やれ」
借金取りが少女に土下座を強要します。しかし少女は借金取りを睨みつけたまま動きません。
「やれぇ!!!!」
借金取りが咆えます。しかし少女はそれでも動きません。
「やれ!! やるんだよ!!」
借金取りが無理矢理少女を押さえ付けようとしました。
「土下座……土下……土下座……土下座……!!」
まるでカマキリの交尾の様に、少女の上に覆い被さる借金取り。それでも少女は意地でも抵抗し続けました。
「イヤー!!!!」
借金取りをはね除けた少女は、肩で息をし、借金取りを見下ろしました。
「バンカーにはバンカーの意地がある!! 我々バンカーは常にお客様の為に汗を掻き、死に物狂いで働いてきた!! 貴様のような腐った輩に払う金は無い!! 我々東京中央少女は、借金返済を……拒絶する!!!!」
少女は借金取りに向かって強く言い放ちました!
借金取りはその圧に負けて逃げ出してしまいました。
それを傍から見ていた通行人達は思いました。
借りたなら普通に返せよ……と。