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改造人間と奴隷達の居場所  作者: 音数 藻研鬼
第1章 
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第8話 クエスト

 とりあえずクエストで使う武器の用意をしないといけないよな。

 ぶっちゃけ周りの目を気にしないのであれば、武器なんて使わずに自分の能力で戦う。

 能力を使っている時の僕は普通の剣や槍は通用しない。それに使える技だって人間として戦うよりも何倍も強い力を発揮できる。

 それならわざわざ使えるのかどうかも怪しい武器を使って戦うよりも確実に思い出している自分の能力を使う方が楽なんだよな。

 ただそれだと万が一見つかった時に言い訳が出来ない。

 ハイルセンスの改造人間の中には万が一一般人に見つかってもうまく誤魔化しの効く能力を持った改造人間もそれなりにいた。

 しかし僕の能力のほとんどは体に現れてから使うため見つかれば誤魔化しが効かない。

 強いて現れないものを挙げるなら身体能力の向上くらいだな。これでも結構使えるけど。

 一応こういうクエストをやる時って森とかでやるのが定番だから、人に見つかる可能性もそこまで高くない。

 けど、百パーセントとは言えないし、冒険者で無くても猟師とかがいたら見つかる可能性もある。

 だからとりあえず武器は使うようにしていこうと思う。

 そしてハイルセンスではそういった能力を表立って使えないような改造人間のための武器の開発もしていた。

 そしてもちろんそれは僕にも支給されて、脱走の時に持ってきていた。

 だったら何で脱走の時使わなかったのかと思う人もいるかもしれない。

 まず逃げている時にも思ったが、その時はこの武器の記憶が曖昧で使い方がはっきりしていなかったのだ。

 使い方もはっきりと覚えていない武器を使うのは危険すぎると判断した。

 これがハイルセンスのものでは無く普通の武器だったらそれでも考えたんだけどね。

 ハイルセンスの作るものには今のこの世界の技術では作れないようなものがたくさんあるのだ。

 だから使い方も分からずに使うのは危険過ぎるんだよな。

 後もう一つの理由として、僕は二つの武器を渡された。

 そのうちの一つはそれなりの威力があるんだけどあの状況ですぐに使える状態では無かったんだよな。

 まぁそうでなくてもその武器は人前で使っていいものではないんだよな。確実にこの世界にはミスマッチだし。

 以上の理由で生身で戦ったわけだが、今は違う。

 武器の使い方も分かったし、戦う前の余裕もある。

 ただなぁ……。

 僕は自分の部屋に入るとベッドの下に手を突っ込んだ。

 その問題のある武器は人前には晒せないので昨日ベッドの下に隠していたのだ。

 当然そんな隠すような武器をクエストで使えるわけもないので、クエストで使うのはもう一つの武器だ。

 えっと……どこかな?

 しばらくベッドの下を漁ってから、僕はお目当ての武器を見つけた。

 それは一本のコンバットナイフだ。

 見た目は特別変わったところは無く、地球にあってもおかしくなさそうなものだ。

 しかしこれでもハイルセンスで作られた武器の一つだ、ただのナイフというわけではない。

 さてと、武器もあるわけだしさっさとギルドに行きますかね。

 僕はそのまま部屋を出ていこうとして……ふと立ち止まった。

 このまま行くのはちょっとマズいかな。

 もう一つの武器をここに残していくのはちょっと危険な気がする。

 宿の人がこの部屋を掃除した時に見つかるかもしれない。

 その武器は見た目でおかしいのが分かるからな。帰ってきてから色々怪しまれるのは嫌だな。

 こうなったらこれも持っていくしかないのかな?

 昨日はその状態で戦っていたわけだけど、無い時に比べて結構機動力落ちるんだよね。

 まぁそれでも見つかるよりかは幾分かマシだ。

 僕が身につけている布で隠せば問題無いだろうし、持っていくかな。

 僕はもう一つの武器も身につけると、部屋を出て一階に降りた。

 さてと、ギルドでのクエストってのはどんなもんかな?



 宿を出てから数十分。

「フゥ、やっと着いたな」

 僕はようやくギルドに着くことが出来た。結構時間かかったな。

 というのも途中で道に迷ってしまったのだ。

 よくよく考えてみたら宿からギルドに向かうのは初めてだし、それ以前に昨日来たばかりで大して歩いていない街の道を覚えているわけもない。

 かといって見ず知らずの人に簡単に話しかけるほどのコミュニケーション能力を持っているわけもないので、一人で道を探していたのだ。

 僕は長く歩いたことにより疲れたので、乱れた息を整えた。

 そのままギルドに入り、僕は昨日見たギルドの掲示板へと向かった。

 掲示板にはたくさんの依頼書が所狭しと貼られていた。

 もうちょっと整理して貼って欲しいな。ぐちゃぐちゃで依頼書が見えないものもあるんだけど。

 えっと……僕でも出来そうなクエストはあるのかな?

 僕は依頼書に目を通しながら考えた。

 難易度が高すぎるクエストはもちろん嫌だが、それ以上に自分一人で何とか出来ないクエストもお断りだ。

 それはつまり人と一緒に行動しろという事になる。僕には無理だね。

 というわけで簡単に出来て、尚且つ一人で出来そうなクエスト……あるかな?

 しかし一人でやるものはともかく、この世界の常識が曖昧の僕に簡単なクエストが探せるのか。

 すると僕は良さそうなクエストを見つけた。

 クエストを受ける際はその依頼書をギルドのカウンターに持っていって受ける。

 そのため依頼書は剥がしても良さそうなので、他の人に取られる前に剥がしておく。

 依頼の内容は『ゴブリンの討伐』だった。

 ゴブリンといえばゲームとかでは定番の雑魚モンスター。

 報酬は討伐数によって変わってくるのね。

 クエストをやる森もこの辺の近くみたいだし、今から行けば日帰りで帰って来れるな。

 よし、これにするか。

 僕はその依頼書を持ってギルドのカウンターへと向かった。



 クエストを受ける事が出来た僕はクエストをやる森に来ていた。

 歩きでも行けなくはなかったんだけど、疲れるし早く終わらせたかったので近くにいた馬車を使って森の近くまで送ってもらった。

 もちろんお金は取られたけど、宿代に比べれば微々たるものだ。

 さてと、着いたのはいいけど早速討伐というわけではないんだよな。

 当然だけどゴブリンを探すところから始めないといけない。

 この辺彷徨いてれば出てくるはずなんだけどな。どこにいるんだろ?

 こういう時バイオセンサーみたいのが欲しいな。そうすればこんな事するよりかは早く見つかるのに。 

 ってそうだ。こうすればいい。

 しばらくの間森の中をウロウロしていると近くでガサッと木々が擦れる音が聞こえた。

 おそらく普通の人間には聞こえないような微音だ。

 バイオセンサーが欲しいと思ったものの、よくよく考えたら僕も似たようなものを持っているんだったな。

 普通の人間の何倍も優れた感覚に加えて、生命反応を感じることまで出来るのだ。

 という事ををついさっき思い出したので使ってみたけど、思ったより早く見つかったな。

 ついでに言うと僕と同じ改造人間を認識することも出来る。

 僕もそうだけど改造人間はほとんどがその姿を普通の人に擬態してるからな。これがないと仲間かどうかが分からないんだよ。

 ちなみにこれが僕があの基地から遠くに逃げた理由でもある。改造人間の近くにいたらすぐに見つかるからな。

 これは目の前にいる人を味方かどうかを判断するだけのものなので、遠くに行けばそれに引っかかる事はない。

 これくらいなら人に見られてもバレる事は無いからな。ここは効率重視で。

 透視機能も使ってみるとゴブリンを発見した。

 全部で五匹か。全員が石から作ったような剣を持っている。あれで戦うようだ。

 自然のものを使っている割にはよく出来ているな。大したもんだ。

 動きから見るに僕の事には気づいているみたいだ。攻撃する機会を狙ってると見た。

 僕は周りを見渡した。人は……いないな。

 一応このナイフの見た目は普通なんだけど、それでもじっくり見られたらおかしいと気づく人もいるかもしれない。確認はしておかないと。

 確認を終えると僕はナイフを構えて、一気に駆け出した。これまでの自分からは考えられないスピードだ。

 力は極力抑えるつもりだけど、向こうに勝手に改造されている手前どうしてもコントロールが難しくこれまでの自分を超える力が出てしまう。

 そんなスピードで早速僕は一匹のゴブリンに狙いを定めた。

 それに気づいたゴブリンは持っていた剣でナイフを防ごうとした。

 しかし僕はそんな事は気にせずに、ナイフのグリップについているトリガーを押しながらナイフを振るった。

 僕の振ったナイフはその剣ごとゴブリンの首を掻き斬った。

 当然普通なら出来ないような事だ。

 これが僕のナイフの力だ。

 超音波を使い大抵のものなら斬る事が出来る。中々便利だ。

 これまで力でゴリ押しの接近戦をする時は大体これを使っていた。

 潜入の時もバレてよかったら障害物をこれで斬ればいいので重宝していた。

 さてと、残りのゴブリンは……目につくだけでも六匹はいるな。

 この調子でさっさと終わらせますかね。

 僕は再び森の中を駆け出した。

 こうして僕の初めてのクエストはあっさりと終わった。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

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