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改造人間と奴隷達の居場所  作者: 音数 藻研鬼
第1章 
19/86

第18話 装備

 手早く朝食を済ませると、僕達は早速クエストを受けるためにギルドへと向かった。

 ……とその前に。

「ロイゼ、まだ君武器とか装備持ってないよね?先に武器買いに行かない?」

「私の武器……ですか?」

 街の通りを歩きながら僕はロイゼに尋ねていた。

「あぁ、そっちの方が色々と都合がいいでしょ?」

 先にクエスト受けた後にロイゼに合う武器がありませんでした、みたいなことがあり得るからな。

 そう考えると先に武器などを買っておいて、それに合わせてクエストを決めた方がいい。

「えっと……それは私に武器を与えてくださるという事、ですか?」

 は?何言ってるんだ?

「もちろん。というか逆に武器無しで戦えるの?」

 ダークエルフは戦闘能力高いとは聞いてるけど、それにだって限度がある。さすがに武器無しでモンスターに勝つのはちょっと厳しいと思うんだけど。

「いえ、たしかに無理ですが……奴隷に武器を渡してもいいのですか?……その、反逆の可能性とか……あり得るわけですし」

 あーなるほどね。たしかに武器を渡せばその可能性も否定出来ないか。でもなぁ……

「別にその辺は大丈夫。君ならそんな事しないでしょ?」

 昨日まで人に怯えて震えていたロイゼがそんな事をするとは思えない。

 それに万が一そんな事があっても、僕なら大体の傷は自己修復出来る。そこまで怯える必要はない。

 というかそもそも僕はロイゼが戦闘能力が高いから戦闘奴隷として買ったのだ。

 それなのに戦ってもらわなくてどうする。荷物持ちが欲しかったんじゃないし。

「さっさと買ってバンバン前で戦ってもらうから、よろしく頼むよ」

「は、はぁ。そうですか」

 さてと、そうと決まれば早速武器屋に行きますか。武器屋ってどこにあるのかな?

 僕達は周りを見渡しながら武器屋を探して歩いて行った。

 しばらくしてようやく武器屋を見つけると中に入った。

 中にはたくさんの武器や防具が置いてあって、正直結構興奮する。カッコいいねぇ。

「そういえばロイゼは得意な武器とかってあったりするの?」

 その辺全く聞いてなかったからな。今さらだけど、せっかく使うなら得意なものの方がいいだろ。

「そうですね……片手剣、です」

 それじゃ奥の棚だな。僕達は店の中を進んで行く。

「防具とかはどうするの?何か希望はある?」

 僕は今着てる戦闘服が最大の防具だ。

 そんじょそこらの剣じゃ傷一つ付かない、ハイルセンスにいた時から着ていたものだ。

 でもロイゼの服は動きやすくても防御力までは無さそうだからな。防具の一つは必要になってくるだろ。

「えっと……そんな、防具まで買っていただけるなんて。そこまでしていただかなくても……」

 そうか?そもそもロイゼを買う時にそこそこの値段がしたんだし、それに比べればなんて事ない。

「まぁまぁ見てみるだけでもさ。戦うなら万全の状態じゃないと」

 そう言っている間に店の奥に着いた。

「はい、それじゃ後は自分で選んでよ。その間僕は店の中うろついてるから。終わったら言って」

「え?あ、はい」

 そう言うと僕は後をロイゼに任せてお店の中を回り始めた。

 選ぶ時に僕がいても迷惑だろうし、何より僕が暇だ。

 せっかく来たなら色々見て回りたいじゃん?

 それにしてもこうやって見てみると武器って色んなものがあるんだな。

 槍とか弓とか斧とか、しかも同じ武器でも素材やデザインも様々で見ていて飽きない。

 日本に武器屋は表・立・っ・て・は無いけど、外国にはあるからな。

 そういう所だと、カウンターとかに大きなライフルとかが置いてあるイメージだけど、基・本・剣と魔法のこの世界ではもちろん銃が売られている事はない。

 その代わりにこの世界では防具が充実してる感じだな。

 盾や鎧など、その種類は様々で色んな人に合わせているようだ。

 この世界では魔法しか使わない人以外はみんな基本的に防具を着けているからな。やっぱりバリエーションは大切なんだろう。

 地球で未だにガッチリ盾とか鎧で身を守りたい人なんて少数派だからな。今時は防弾チョッキ一つで充分、そう考えると当然か。

 僕はウロウロしているうちにいつの間にか店の中を一周していたらしい。目の前にはロイゼがいた。

 手には剣一振りと防具らしきものを持っている。

「どうやら決まったようだね」

「あ、オモト様。決めさせていただきました」

 片手剣はずっしりとしていてそうで、切れ味も良さそうだ。

 持っている防具は……

「革鎧、か。となると機動力を活かして戦う感じかな?」

 単純に戦闘能力が高いとしか言われてなかったから戦いのスタイルまでは知らなかったんだよね。

「はい。サイズもちょうどよかったので。あの……これらの購入を認めていただけるでしょうか?」

「もちろん。さてとさっさと買ってクエストに行くか」

 何しろ二人でやるの初めてだからな。早めに行って色々考えたいから時間に余裕が欲しい。

 ロイゼが実戦は初めてなはずだからクエストを早めにいいのを決めておきたい。

「はい……ってオモト様は防具はご購入なさらないのですか?見たところ着けていないようですが……」

「あー……まぁ大丈夫だから気にしないで」

「そ、そうですか……」

 この戦闘服も見ただけならただの服、防御力なんて微塵も感じられないだろう。

 でも本当の事を言うと色々と面倒な事になりそうだし、今は適当に濁しておくか。

 僕達はレジで会計を済ませると店を出た。

 近くの路地に入ると今のうちにロイゼに防具を着させておいた。

「あの……どうでしょうか?」

「まぁ……いいんじゃない」

 どうって聞かれてもなんて返せばいいのか分からなかったので、適当に返しておいた。

 ぶっちゃけ戦えれば見た目なんてどうでもいいよ。気にしないし。

 でも装備を着けると結構印象変わるな。キリッとしてる。

「それじゃギルドに行くか」

 僕はロイゼを連れてギルドへと向かった。

 ギルドはいつも通りそれなりに賑わっていた。

 朝だというのにもうお酒を飲んでいる人もいる。この世界ではそれが当たり前なのだろうか?

 そんな人達を素通りして僕達はギルドの掲示板へと向か……おうとして足を止めた。

「そういえばロイゼの冒険者登録とかってしなくていいのかな?」

 当たり前のように着ちゃったけど、ロイゼはまだ登録をしていない。クエスト受けさせてもらえるのかな?

「えっと……私は奴隷ですので、ご主人様であるオモト様が冒険者登録をしていれば私は問題ありませんよ」

 そうなの?なんとなく理屈は分かるけどさ。

 要は物カウントの奴隷は冒険者である主人のものなんだから主人さえよければ装備と同じカウントで大丈夫って事ね。

 楽でいいから理解はしたけどなんか納得はしたくないな。

 すると周りからたくさんの視線を感じた。見てみるとギルドの冒険者達がこっちを見ていた。

 あ、やっぱりギルドでもロイゼは目立つかぁ。

 ちゃんとした装備は着せておいたから大丈夫かなとは思ったんだけど、それでも肌の色や首輪がどうしても目立ってしまう。

 中にはこっちを見ながらコソコソと話している人もいる。失礼なヤツらだな。

 ロイゼをそれを感じ取ったのか身を小さくしてしまっている。

 ヤバい、ちょっと緊張してるからか震えてるな。まだ連れてくるべきじゃなかったか。外で待たせてあげるべきだったな。

「ロイゼ、布被るか?」

 一応こんな時のために布は持ってきてある。もっともこっちもこっちで目立つからあまり使いたくなかったんだけどね。

「えっと、はい。本当に、申し訳ありません」

「大丈夫大丈夫、ロイゼは何も悪くないからさ。ちょっと落ち着きな」

 僕はロイゼの背中を摩りながら持っていた布を着させてくれた。

 これでも目立ってしまうだろうけど、ロイゼが周りを見えないようにするだけでも充分だろ。

 ついでにこっちを見ていたヤツら全員に殺気を込めて睨みつけておいた。

 コイツらは自分達のせいでロイゼが震えてるのが分からないのかよ。迷惑な人ゴミ達だ。

「ごめんな。気をつけるべきだったのに」

「い、いえ、オモト様のせいではないので……」

 クエストを受ける事に集中しすぎててこの事が予測出来なかった。完全に僕のミスだな。

 ただここでロイゼを一人で外に出してしまうと余計に目立ちそうだな。

 下手すると声かけられたりとかしてもっと怖がらせてしまいそうだ。

 ここはロイゼにはちょっと我慢してもらって手早くクエストを決めて出てしまうのが一番か。

 僕は素早く掲示板に向かった。

「えっと……ロイゼ、倒せそうなモンスターとかって心当たりあったりする?」

「いえ、ちゃんと戦うのは初めてなので……」

 ですよねぇ。今さらだけど彼女を戦闘奴隷として売っていてよかったのだろうか?

 たしかに身体能力が高いというダークエルフの特性を活かすのだとしたらこれが一番なんだろうけど、経験値の低さよ。

 まぁマルディアさんなら適当に決めたわけじゃないと思うから大丈夫なはずだけど。

 そしてこういう時に限って討伐系のクエストしかないんだよなぁ。いつもは採取系のヤツがあるんだけど。

「うーん、ゴブリンくらいにしておくか」

 仕方ないしな、無難にゴブリン討伐でいいだろ。ロイゼに何かあったら僕がカバーすればいいんだし。

「分かりました」

 ロイゼはまだ緊張しながらも頷いた。意外に切り替えしっかりしてるなぁ。あんまり無理して欲しくないけど。

 ちょっとした心配もしつつ僕達での初クエストが始まった。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

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