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恋は魔法で愛は呪い  作者: ATワイト
第二章
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第28話:夢を見ていた

 

 ――ヴァネッサは夢を見ていた。


 ジョシュアとの幸福に包まれた夫婦生活の夢?

 クオンとノエルと三人で、おばあちゃんになっても笑いあう夢?

 それとも三人で戦場を駆け抜ける夢?

 クオンとノエルのくっだらない喧嘩にバニースーツを着て進行役を務める夢?


 ――違う。


 ここは何処なのだろう?見たことがあるような、無いような……。

 噎せ返る様な死の臭いが周囲に充満している、ならば戦場なのだろうけれども。



 西部最強"抜刀伯"ライゼン・ファン・ザイツ伯爵の討死、その報せをヴァネッサとクオンリィ、ノエルの三人はアルファン王立魔法学院の女子寮で受けた……いや、ヴァネッサとノエルだ。

 クオンリィは、クオンはジョシュアを誑かすあの小娘の妨害に何度も何度も失敗を重ねたものだから「あなたには失望させられましたわ!しばらくその顔も見たくありませんッッ!!下がりなさいッッ!!」などと……思わず、思わず心にもない言葉を投げてしまった。


 結果、それ以来クオンは"魔鞘・雷斬(ましょう・らいきり)"と共にヴァネッサの前から姿を消した。


 ノエルにガランの影を使わせたがようとして行方が知れない、自暴自棄になっておかしなことをしていなければいいのだけれど……と心を砕くが引き金を引いたのはヴァネッサだ、今はただただごめんなさい言い過ぎたって頭を下げて縋りついてでも謝って、また傍に居て欲しい。――愛刀を失いたくない、もう失った?バカな。


(しばらくなんて、半刻でも長かったのよ?クオるん……寂しいですわ)


 そんな言い訳も今はもう虚しいばかり、沈む気持ちに重ねられた"抜刀伯"様の訃報。

 今、アルファン王国は存亡の危機に瀕している。


 フェルディナンド第一王子の一足早い卒業式のその日、王国北部と王領の間にある山脈から暗雲が広大な王国全土を瞬く間に覆った、田畑は枯れ、水は濁り海は荒れ、山は燃えて大きな地震も相次ぎ、砂嵐が都市を人を呑み込む、そして凶暴化した魔物と各地で雨後の筍の如く復活する魔族。


 伝説に聞く魔王復活の前兆。


 真っ先に魔族の被害を大きく受けたのはレオナードの南部だった。


 "魔龍候"討死。


 その報はレオナード本人さえも信じられなかっただろう、ヴァネッサにも到底信じる事ができない、だってギルバートおじさまはとても穏やかでお優しい方だけれどアルファン王国最強の火力を誇る攻撃魔導士だ。

 レオナードの≪龍炎(りゅうえん)≫なんか足元にも及ばない≪龍焔(りゅうえん)≫の使い手で、その気になれば山火事を消すために延焼している山一つをあっというまに焼き尽くす、燃えるものが完全に燃え尽きてしまえば火は広がらない。


 そんなバケモノじみた火力を誇る"魔龍候"を誰が、一体どう討つというのか??


 魔族は魔物を従える、それは次第に規模を増していき、もはや魔族軍――魔王軍と言ってよい。

 その中心にいる四人の魔族の存在が次第に明らかになってゆく。


 ――魔王軍四天王。


 "魔龍候"は果たしてこの魔王軍四天王に敗れたのであった。


 戦いは南部方面騎士団が誇る飛竜隊がカギとなった、飛竜は南部の山々に生息する比較的温厚な龍種であったけれど、その一方で魔物の一種でもあった。

 つまり凶暴化していた、辛うじて主人の命令は聞くようだがその事に不安を感じ精強無比ではあるものの飛竜隊の出陣を渋る"魔龍候"は魔法兵団のみでの出撃を計画していたのだけれど……夫人がそれを強く引き留めたので飛竜隊も出撃させた。


 この時夫人は既に亡くなっていた、他ならぬ魔王軍四天王が一柱"策謀"のテレンスレッタの手によって……つまり強く引き留めたのは……。


 魔族は魔物を従える、味方である筈の飛竜隊の飛竜が近接戦闘を苦手とする魔法兵団を蹂躙する、己の騎乗する愛竜が魔法兵団の友を喰い殺す悪夢、泣けど叫べども幼竜から面倒を見てきた飛竜が言う事を聞かない。

 混迷を極める戦場に、魔王軍四天王が二柱"策謀"と"暴虐"が現れ、夫人の姿を謳った"策謀"の姿に"魔龍候"ギルバートは全てを悟り、そして激怒した。


 その日南部の山々が十ほど焦土と化した、奮戦虚しく"魔龍候"ギルバート・アルフ・ヴァーミリオンは焦土に斃れた。


 やがて抵抗虚しく南部侯都ヴァーミリオンの山城"銀朱城"が陥落した頃、あの小娘に魔王再封印を可能とする喪われて久しいとされていた≪封印の聖女≫の魔統が覚醒したのだ。


 王家主導で編成された魔王再封印隊には……ジョシュアも志願してしまった。


「――どうして!?どうしてわたくしを置いて行ってしまいますの!?わたくしの事が大事じゃなかったの!?そんなにあの女が……あの女が大事なのですか……ッッ!?……お願い行かないで、ジョッシュ……わたくしも連れて行って」


 縋りつき涙を流すヴァネッサの手を取り、ジョシュアは言った。


「もちろん大事だよヴァニィ……だからこそボクは行って来る、必ず再封印を成して帰る……だからボクの帰る場所を護って待っていてくれるかい?――ヴァニィ……愛してる」


 あの日の口づけをヴァネッサは忘れた事などひと時もない。

 そうして小娘とジョシュア達は北部山脈の遺跡群へと旅立っていった。


("抜刀伯"様が敗れたとなると……南部に続き西部まで魔族に墜とされるのも時間の問題でしょうね……)


 西部侯都ノワールの"黒耀城"、生まれ育った我が家であり、そこで生活する者は皆家族に等しい、しかし今の自分は王立魔法学院の学生に過ぎない……。

 伝承によれば魔王封印が成れば魔族も消えるという、つまり消えていないという事は未だ封印は成っていないという事……。

 ジョシュア達が出立してもうずいぶん経つ、小娘が足を引っ張っているにせよレオナードやフェルディナンドお義兄様も一緒なのだから不覚は取らないとは思う、思うけれど……遅すぎる。


「ヴァネッサ様……アタシ、クオンを探しに行きたい」

「……ノエル」

「ヴァネッサ様が……ヴァニイがいけないんだ!クオるん泣いてた!!今もきっと泣き続けてるッッ!!抜刀パパが死んじゃった事も知らずに、ずっと伽藍洞になっている!!」


「……ッ」

「――もうアタシ耐えられないよ!!どうして?どうしてヴァニィは探しに行きますわよって言ってくれないの!?行こうよ!!」


「それは……でも今はジョッシュの帰る場所を――」

「ヴァニィのバカッッ!!いっぺん死んじゃえ!!」


 その日から、ノエルもヴァネッサの前から姿を消した……初めて味わう孤独だ。

 物心つく前から同じベッドに眠っていた幼馴染たち、まさか死もなく別たれる事になるとは……いや、己が別った。


(また失ってしまった、両翼を失ってわたくしはどう飛べばいいの?)


 独り、二人部屋を三部屋繋げた伽藍洞でただ愛する人の帰りを待って過ごす虚ろな日々。

 そしてついにその時が来た。


 西部領都ノワールを包囲する魔王軍に以前"魔龍候"を討った"策謀"と"暴虐"、そして先日ザイツ屋敷やガランの里を陥落させ、おそらくは"抜刀伯"夫妻やカイン叔父様夫妻の仇である"殺戮"と"絶望"……全ての魔王軍四天王が現れたとの報せを受けた。


(翼を失ったわたくしに残されたのは……ジョシュアの愛だけ……ジョッシュは次期ノワール公ですもの……往かなければなりませんわ、そうでしょう?そうですわよねぇ?クオン……ノエル……)


 金色の瞳は輝きを喪失し、泣き腫らした赤みを帯びてうっそりとほほ笑む。


 ――――ここに、愛の呪いは成った。


 軍装に身を包み学院を飛び出したヴァネッサは北部馬を何頭も走り潰させる勢いで御者席に乗り愛銃達を載せた馬車を走らせた、ノエルがいれば騎乗でも十分だったが愛銃達は重く大きい、戦場に向かうのに丸腰はあり得ない。

 そして、何よりヴァネッサにはもう愛銃達しか縋るものがなかった。


 荒野の先、不眠不休で駆け抜けたヴァネッサが果たして視界に捉えた西部領都ノワールは黒炎に包まれていた……。

 ヴァネッサは間に合わなかったのだ。


「お父様……お母様……ヴァルター……ッッ!!」


 進路をふさぐ魔族を魔物を短銃姉妹(ろざりぃ&しゃーりぃ)で次々と撃ち抜きながら燃える領都に入り、城前広場で御者台から跳び降りて、愕然と炎上する要塞"黒耀城"を見上げる。

 粗野ながら活気にあふれた領都ノワール、今は周囲そこら中が死の臭いで満ちている、魔物という魔物が人を喰らう、飼い犬も飼い猫も飼い主を躊躇うことなく噛み殺す。――ここはこの世の地獄だ。

 西部方面軍では猟犬を多く使っていた、騎士団みんなにとって相棒に等しい犬達だ、涙ながらに手にかけた者も抵抗できずに絶望に沈んだ者もいよう。

 襲い来る"魔物"の死体で広場を埋め尽くしたヴァネッサの背後に声がかかる。


「あれ?なんだいキミ……生き残りがいるなんて不愉快極まりないな」

「あの顔を見なさいな?"殺戮"の……"策謀"が外れたという"絶望"の顔ですわ?」


 黙れ。


 ヴァーミリオン夫人の、おばさまの顔で謡うな。


 ヴァネッサの撃鉄が起こった、荷台から対物魔法銃(さんでぃー)という名の携行キャノン砲を引っ張り出し、≪魔弾≫を即座に放つ。

 "策謀"は咄嗟にギリギリそれを避けたけれど、その後方の魔王軍が一射でかなり消失した、しかし魔王軍は何処にいたのかわらわらと集まってくる。


「応、なかなかイキがいい小娘だ、俺にヤらせろよ……!」


 巨漢の魔族、"暴虐"が人二人分はありそうな巨大な蛮刀を肩に担いで前に出てくる

(「応」?「応」ですって?あなたはクオン?違うでしょう?そうでしょう?)

 ヴァネッサは続いて荷台から二丁の闘う事に洗練された銃を取り出した。

 二丁、二丁で特改・弐型(りっか)

 正式名称を『上下二連式散弾銃イキシアカスタムRe.』という。


 入手した当初こそ美しく装飾に飾ろうとしたのだけれど、ほぼ未知の金属である魔鋼で総身を誂えたその造りはデコられる事を拒むかのように彫金装飾を受け付けなかった。

 出所不明ながら戦う事にだけ洗練された無骨、ヴァネッサはそれがいたくお気に入りだった。この子はレプリカと聞いているけれども、そうとは思えない完成度、実によく、なじむ!!


 着剣装備に右は銃剣というには重く分厚い魔鋼マチェット、左は軽量小型のやはり魔鋼盾を手早く装着し、銃士でありながら片手剣と小盾を手にした戦士のような装備をガンプレイで器用にブン回しながら逆鱗を踏み抜いてくれたデカブツの前に毅然と立つ。


「お?やるか?いいね?いいよな?"絶望"の旦」

「お黙りなさい」


 激発した。


 初手の上下左右から≪魔弾≫[散弾]を容赦なく放てば、特改・弐型(りっか)は今の主の意志に応えそれを成す、肩越しに振り返っていた"暴虐"だったものが総身の八割を瞬く間に消滅させられて肉片と化す。

 魔王軍四天王はその一柱を一瞬のうちに消滅させられたのだ。


 残る三柱もこれには驚愕を隠せない。


「……やれ」


 ひとかどの将に相違ない風格に"絶望"を周囲にあふれさせる気配に満ちた魔族が一言言い放つ。


 黒煙に包まれた戦場、廃都ノワールにもはや人間の影はただ一つ。

 "絶望"の命を受け一斉にヴァネッサへと迫る魔物や魔族達、その尽くを≪魔弾≫で消し飛ばし、時には重く分厚い銃剣装マチェットで斬り割り、迫る爪牙には小型の魔鋼盾を叩きつけてへし折ってやる、しまいには魔鋼の銃身そのものを鈍器としてぶん殴りもした。


 血煙と黒煙の舞う無人のノワールで、ヴァネッサはまるでダンスホールで舞うかのように特改・弐型(りっか)をガンプレイでブン回しながら踊る、踊る、踊る。


 ステップ、魔物の頑強な胴に風穴を開け。


 ターン、遠心力任せに叩きつけるマチェットが頸を跳ばす。


 ステップ、しつこい魔族オトコを二丁の銃身で真上から叩き潰す。


 黒地に金の装飾に彩られた軍装が血に汚れる事を厭わない獅子奮迅の"西部の黒い華"による死の舞踏は遂には魔王軍を"絶望""殺戮"そしてヴァーミリオン夫人の姿をした"策謀"の三人だけを残すのみとした。


「見事だ、娘。"暴虐"を討ち果たした上にこの孤軍奮闘、貴様が魔族でない事が悔やまれるぞ」


 魔王軍四天王のリーダー格である"絶望"が呵々と嗤う。


「でもザーンネン、"暴虐"のヤツは暴れる事しか能がないクソザコ、四天王最弱だよー」


 魔王軍四天王"殺戮"が左右二刀に持つ波打つ刃の剣をギャリギャリと噛み合わせながら嗤う。


「わたくしたちを相手にしたら……ヴァニィちゃん、死んじゃいますよ?」


 下衆がおばさまの顔で卑猥なほど恍惚に哂う――お前は絶対に殺してやる。


 ヴァネッサには理解できなかった、"仲間"を"友達"を喪って何がどうして一体全体そんなに楽しいの?笑えるの?


 ――わたくしには、赤ん坊のように泣く事しかできなかった!!


 そばにいて?どこにいるの?離れてはいやよ?――抱き締めて?ジョッシュ…………クオン……ノエル……。


 左手の特改・弐型(りっか)は激戦の中で扱い慣れぬ盾でまともに受けてしまい、弾き飛ばされてしまった。

 今ヴァネッサの左手には長く苦楽を共にしてきた短銃姉妹(ろざりぃ&しゃーりぃ)のうち左の短銃(しゃーりぃ)がある。


 その時、不意にヴァネッサの魔統が覚醒した、≪魔弾(まだん)≫から≪魔銃(まがん)≫へ。

 何があったかは分からないけれど、何をすればいいのかは、自然と理解(わか)る。


 だから()()した。

 後方の隊列に命令を下すべく、特改・弐型(りっか)に着剣したマチェットを軍刀のように一度胸の前に垂直に掲げ、真横へと払う。

 刀身を装具まで濡らした血糊が跳び散り、覚醒魔統≪魔銃(まがん)≫が撃鉄を起こした。


 ズラリ左右の宙に侍るは銃、銃、銃、単装長銃(じぇにふぁー)をはじめガンベルトから右の短銃(ろざりぃ)跳ばされた左の特改・弐型(りっか)対物魔法銃(さんでぃー)に枕の下の住人小型拳銃(ぱりす)まで、他にも全ての愛銃達がいる。

 そして、西部方面軍正式採用単装型長銃の群れもまたそれに従う様にどれも唐突に次々中空に現出した。


 その姿はノワールの姫の為に西部無双を誇る西部方面軍騎士団銃士隊が黄泉還ったかのような見事な隊伍であった、きっと、ここがノワールで孤軍力戦続ける姫のもとに駆け付けたが故の覚醒であったのだろう。

 これら全てを意のままに操る事ができる、全てから[魔弾]を放ち、咲き誇る事ができる。


 これぞ覚醒魔統≪魔銃(まがん)≫の、ヴァネッサ麾下西部方面軍騎士団[銃士隊]。


(皆、先を逝った者達ですのね……)


 ふと、ぽふっと背中に抱き着かれる感覚に、ヴァネッサの光彩を消した金色の瞳が驚きに丸くなり、そしてゆっくり光が戻って一筋の雫を零した。


(――もう怖がらなくていいのよ、お姉様がすぐにあんな奴らやっつけて差し上げますからね)



「なんと素晴らしい!我は魔王四天王が主柱"絶望"のファルファーラ!娘、貴様はここで潰えるには実に惜しい魔統、魔王軍に降れ!魔王様のご落胤の母体としてその身を献上する栄誉を与えよう!」

(は?わたくしが産むのはジョッシュとのいとし子だけですわ)


「いいの?魔王様の好みのメスじゃァないと思うけれどなぁ、ボクが貰っていいかなぁ?」

(いやらしい目、触れる事は許しませんわよ)


「殺してしまえばよろしいのよ、その魔統と姿は私がいただいて差し上げますわ」


 ドズン。

 オマエはもう口を開くな。


 ほぼ同時に総ての銃からあらゆる角度で激発した無数の魔弾の音は幾重に重ね重なり重く厚くまるで一つの音のように低く大きく響いて"黒耀城"前広場を揺らした、消し飛ばすのではなくハチの巣にせよ、敬愛するヴァーミリオン夫人を騙る外道を。

 [銃士隊]が主命を忠実に全うすれば、総身を風穴だらけにされた"策謀"が頽れた、そこには夫人ではなく全く別人の干からびた老婆の躯があった。


(レオ、仇討ちの機会を奪ってごめんなさいね、さっさとジョッシュを連れて帰ってこないのが悪いのよ?)


「マジかよ、ババァ俺が殺す前にくたばりやがった!ひゃははははは!!」

「"策謀"まで……!よかろう!貴様を"敵"と認めようッッ!!さあ名乗るがよいッッ!!」


「不要ですわ……下郎」

「何だと?」


 人間ごときに名乗りを許したというのに断られ小さく瞠目し目を丸くする"絶望"を前に、ヴァネッサは隊伍を引き連れ今度こそ金色の双眸をうっそりと妖艶に輝かせ、口端を上げて哂って着剣したマチェットの先端を黒煙に包まれた西部の天にと高々掲げ威風堂々デカイ胸を張る。

 しかしそれでも"殺戮"と"絶望"は間違いなくけた違い、良くて刺し違えるが精いっぱい、更には己の魔力の予想外の消耗に刺し違える事すらできないかもしれないとヴァネッサは内心に焦りを感じていた。どちらにせよ……ここは死地だと覚悟を決める必要がありそうだった。


(少し……加減を間違えましたわね、ただの一斉掃射でこの消耗、流石はノワールの≪銃≫の覚醒魔統、うまく扱う必要がありますわ……ああ、ジョッシュ……ごめんあそばせ……いつの日か、お待ちしておりますわね。――まさかもう待っていたらお仕置きですわよ?……心から、愛してるジョッシュ、愛しておりますわ……ジョシュア)


「――わたくしの前に!"敵"は無くってよッッ!!」


 覚悟せよ、咲き誇る黒い華は、散り際に一切灰燼を無に帰すのだから。


(――――……クオン、ノエル……あなたたちはどうか、ずっと後でいらっしゃい)


 ひどい悪夢、けれど目覚めたすぐに朧げな泡沫と壊れて消えた。

りっかちゃんこと"特改・弐型"こと『上下二連式散弾銃イキシアカスタムRe.』は


「亡霊の旅路~流れ行く蜉蝣~」https://ncode.syosetu.com/n1908fn/


との公認コラボ銃です、ありがとうございます!!

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