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【書籍化】異世界で妹天使となにかする。  作者: 深見おしお@『伊勢崎さん』コミックス1巻9/27発売!


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75 屋上ビフォーアフター

「私はお姉さんなんて柄でもないし、カミラさんかカミラママとでも呼んでくれればいいわよ。それで何をするの?」


 カミラが興味深げに問いかけると、俺の代わりにギルが答える。


「とりあえずマルク坊に任せてみてくれないか」


「まぁギルさんがそういうなら……」


 よくわかってなさそうだが、説明するよりも見て貰ったほうが分かりやすいだろう。


 俺は屋上を見渡して少し考える。


「先に床の補強をするね」


 屋上を囲む塀のことを頼まれたが、まずは床から土魔法で整えることにした。屋上に人が集まるのなら、天井の崩落事故は勘弁してほしいところだ。


 まあ魔法のある世界だし、思っているよりも頑丈なのかもしれないけど、先にこれをやっておかないと気が気じゃない。どこかの物置のように百人乗っても大丈夫くらいではまだ足りない。


 これは地味だけど念入りに行う必要がある。俺は床にしゃがみこむと、立膝でハイハイするように歩きながら床の石材をマナで凝縮させて固めながら歩いた。


 十分ほどかけてまんべんなく床にマナを放出して回った。これで床の強化は完成したと思う。見た目は多少床にツヤが出来た程度なので、カミラも首を傾げながら見守るだけだ。


 次は柵の作成にとりかかる。


 夜のお店ならそれほど騒いだりすることもないとは思うが、それでもお酒を飲むことを考えると今の高さの塀では危ないだろう。できれば1.5メートルは欲しいところだけど、べったりとした塀だと少し格好が付かないと思う。


 そこで塀に面したところに直径10センチ高さ1.5メートルほどの円柱を土魔法で作成した。それを塀に沿って20センチの等間隔で並べる。そして並んだ円柱の頂点に、同じく土魔法で作った笠木を渡して繋いだ。


 これで土魔法の柵が完成だ。塀にするよりは少しはマシだろうと思う。柵を作りながら屋上をぐるっと一回りして一息ついていると、カミラが不安気にギルに問いかける。


「ギルさん……。私、建築で土魔法を使うのを見たことあるけど、もっと時間を掛けてゆっくりと作っていたわ。こんなに早くて大丈夫なの?」


 むむ、俺の土魔法の強度が疑われているようだ。ようし、それなら。


「ギルおじさん、この柵を思いっきり蹴っ飛ばしてみてよ」


「おう、いいぞ!」


 そう言うや否や、ギルは屋上の端まで歩くと向こうの端まで全力ダッシュ! 柵に向かって前蹴りを放った。


 同時にドンッと衝撃音が屋上に響くが、柵はビクともしない。


「どうだ?」

「どう?」


 俺とギルがカミラに向かってニヤリと笑うと、カミラは両手を上げて降参のポーズだ。


「疑ってごめんなさいね。マルクちゃんすごいわ」


 俺は満足げに頷いたが、正直なところギルがダッシュ蹴りするとまでは思わなかったので、内心ヒヤッとしたのは内緒だ。ギルがそれだけ俺の魔法を信用してくれているということは嬉しいけれどね。


「それじゃあテーブルはどうしようかな? 作ったほうがいい? それとも店のを持ってくる?」


「そうだな……。とりあえず一つ作ってカミラに見せてくれないか」


 ギルの言葉に頷き、とりあえずテーブルを作ってみせることにした。


 店の中にあったテーブルを思い出し、似たような高さのテーブルを作ってみせる。テーブルを作るのはもう慣れたものなのでとても簡単だ。


 カミラの目の前には少し角に丸みを帯びたデザインの薄茶色のテーブルが出来上がった。テーブルの色は元の土の色からマナを込めて白っぽくなる間の色しか選べないんだけど、これもそのうち何とかしてみたいね。


「これでどうかな? ソファーはさすがに作れないから持ってきてね」


「え、ええ。そうするわ……」


 口をポカンと開けたカミラがテーブルを見つめながら答える。そして頭を数回振ると、腕を組みながら真剣な表情を浮かべた。どうやら屋上ビアガーデンについて本気で検討を始めたようだ。



 そうしてカミラとギルが屋上レストランについて相談を始めた。持ち込むソファーをどこから調達するかとか、屋上の装飾をどのようにするかとか具体的な話をしているようだ。俺はそれを黙って眺めていたんだが、ふとカミラがこちらを見ると、


「あら、ごめんなさい。マルクちゃんヒマだったわよね。……そうだわ! 話し相手を呼んでくるから少し待ってちょうだいね」


 さすがお店のママさんである。少しヒマかなと思った俺の心情を敏感に察したらしい。カミラはすぐさま階段を降りて庭に隣接した民家に入ると、子供を連れて戻ってきた。


 年の頃は俺と同じくらいかな? いや、俺より背が高いし年上かもしれない。カミラとよく似た顔立ちで同じ青みがかかった髪色の女の子だ。


「私の娘のパメラよ。ちょっと人見知りなんだけど、よろしくね」


 俺と目が合うとパメラは恥ずかしそうに俯いた。

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