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STEP2-3 ~王様になりますっ!~

2019.10.07 改稿いたしました!


 何を言っているのだろうおふくろは。

 急に、どうしてしまったのだおふくろは。

 転生もののアニメとか、おふくろ興味なかったよね?

 つか俺、たしかに実家にかけたよね。今話してるの、たしかに俺のおふくろだよね??


「え、と、もしもし?

 おふくろ……だよね、今話してるの?」

「そうよ。急にどうしたの? デンワ遠いなら……」

「あ、いやいい。だいじょぶ。それは。

 あーっと……うーん。

 まずー、いまのお言葉についてー……」

「ほんとにどうしちゃったのサキ。もしかしてまだ覚醒してなかった?

 そんなはずないんだけど。ちゃんとご神木も開花したし」

「あー、その?

 おふくろ? 俺って、何者だと思ってる?」

「サキはうちの子よ。

 そして、この村の守り神である、サクレア様のご転生でしょ?

 生まれる前からわかってたわよ、そんなの」


 おふくろは何を言ってるのこの子は、といわんばかりの口調で返してきた。


「自分の力が嫌だってうちを出ちゃったときにはどうしようかと思ったけど、無事にサクちゃんのとこにいけてよかったわ~。しっかり、仲良くやりなさいね?

 でもいつまでもサクちゃんに甘えてないのよ。昔みたくちょこちょこ後ろをついて歩いてるだけじゃダメなんだからね。

 ちゃんと仕事はおぼえたの? みなさんにご迷惑かけてない?」

「え……あ、はい……」


 いえない。

 入社当日から騒ぎばかり起こし、しまいには機密持ち出しやらかして、社長じきじきに降格&謹慎&監視つき処分食らっていたなんて。

 つか、それすら暴れてブッチしようとしたなんて。

 そしてその原因が、その『機密』と種を超えて恋に落ちたから、なんて。

 でも、いつもどおりのおふくろの声を聞いたら、ふしぎにすんなり、話し出せた。


「あの、実は今デンワしたのはその、シゴトのことで。

 っていうか、俺、王様になれって言われちゃって……」




 それから、どれほど話していただろう。

 俺の、いまいち要領を得ない話を、おふくろは優しく聞いてくれた。

 そして、聞き終わるとまっすぐ、背中を押してくれた。


「サキならできるわ。

 サキは、努力することのできる子よ。

 学者を目指していっぱい勉強した。病気も乗り越えて高校を出た。そうして、辛いながらも仕事探しとアルバイトをずっとがんばってきた。

 型どおりのものの見方で、ひとを疎んじたりしない強さがある。

 その一方で、雑草のためにすら涙を流せる、優しさもある。

 母さんね、王様ってそういう人じゃなきゃ、むしろだめだと思うの。

 それは父さんも、おじいちゃんおばあちゃんもおんなじよ。

 ううん、満も舞も、村のみんなもきっとそういうわ」


 じいちゃんばあちゃん、親父おふくろ、兄貴に姉貴、それにタマ。

 そして、友達、知り合い、ご近所さん。

 つぎからつぎ、村のみんなの顔が浮かんできた。

 その顔はみんな、笑ってた。

 にこにこと暖かく、俺を力づけてくれている。

 きっとそれは、俺の幻想じゃなく、みんなのほんとの気持ちなのだろう。

 だって、こんなに胸がぽかぽかする。


「わからないことは聞きなさい。できないことは、たすけてもらってできるようになりなさい。

 サクちゃんもそうして、ユキシロ製薬を作ったのよ」

「……!!」


 そうだ、サク。

 サクだって、俺と同じ。

 いや、あいつは子供のころから、国を作るって勉強してたんだ。

 俺のために。

 知らない国にまでいって、飛び級で大学でて、会社を作って。

 医師免許なんかも取ったりした。

 サクだって、今の世を生きるのは初めてなのに……

 必死で、やってくれたんだ。ここまで作ってくれたんだ。

 ユキシロ製薬という、城を。みんなを、そして俺をまもるための小さな理想郷を。


 それに思い至ったとき、素直に思えた。

 こたえたい。サクの、サクを支えてくれたみんなの努力に、きもちに。

 俺のために注いでくれた思いを、力を、今度は俺がかえしたい。


「おれ、王様……やってみるよ」

「うん。

 それでこそ、うちの子よ。

 こっちのことなら大丈夫。

 ユキシロから人も来てくれるし、なによりみんな『栽培の天才』だから。

 母さんだってこうみえて強いんだから。熊さんの二、三匹来たって片手でチョイ、よ。まだまだ若い子たちに遅れはとらないわ!」

「………………え?」


 いまサラッととんでもねーこと聞いちゃった気がするけど、これ、現実なんでしょうか。

 またしても、いつもの突拍子もない夢なんじゃ……


「この村はサクレア様の流れを汲む村よ。

 いつサクレア様が復活なされてもいいように、みんな鍛錬は欠かさなかったの。

 サキはサクレア様ご本人だから、それは要らなかったし知らないと思うけどね」

「まじですか……」


 うん、もう、許容量超えた。いいやもう、認めちゃって。

 ユキシロ警備員が軍隊はだしレベルって時点でもはや俺の理解とかこえてんだし。

 そもそも俺が神ってだけでなんかもう、はい夢ですかまたはラノベですねええの世界だし。

 だが、おふくろの暖かい声が、俺を正気づけてくれた。


「まあそれも全て、サキがしっかりしてたらのことだけどね。

 がんばって、立派な神王様になるのよ。いいわね?」

「はい!」


 ともあれ、そういうことなら安心だ。

 目じりにちょこっとにじんできた涙を拭きながら、俺はスマホを持ち直した。


「それにしてもすごいわねえサキ。

 この一週間で正社員として会社になじめて、彼女さんもできたんでしょ?

 スノーさんて、メールしかまだしてないんだけど、ほんっと可愛い子ねえ。

 舞ともすっかり意気投合して、メルともになったって言ってたわ!」


「…………………………………………え゛」

Today's Character Data:


おふくろ……此花このはな 有香ありか

 Former Name:フェーリス・アリア

 Class:闘女

 Element:植物・生命・存在

 Battle Type:回復・補助・格闘系

 Skill Name:片手でチョイ!

 Belongs to:此花家・主婦

 Strain:人間(山北地方舞雪村)

 Hair Color:黒

 Eye Color:ほとんど黒の深緑色(すこし茶色がかっている)

主人公の母。いつでもあたたかくどんと構える、家族の心のよりどころ。

長女・舞、長男・満、次男・咲也の三人を生み育てた。

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