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咲也・此花STEPS!! 2~訳ありフリーターだった俺が伝説の砂漠で一国一城の『にゃるじ』になるまで!~  作者: 日向 るきあ
STEP5.東雲研究所を攻略せよ!~ダンジョン攻略風味でお送りしたいと思います~

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STEP5-4 なんかが間違ったダンジョン攻略! ~黒ゴス天才美少女は神にもふもふを要求するようです~

「待ってくれ湯島さん! それにみんな!

 傷は、俺が治したってことにして、このあとはなしにしよう!!

 どっちにしても、俺は癒しの神王としてデビューするんだろ?! それがちょっと早くなるだけのことだ!!

 五条さん。うえのひとには俺たちとすっげーバトルして、気がついたら傷を治されて横たわってたって言えばいい!

 そうだろみんな。

 こんな風に……抵抗できなくしてからボロボロにしたら、そいつはあんまりすぎる。あの日アズールが、俺たちにしようとしたこととおんなじになっちまう。

 ……そう、俺は思うんだ。

 みんなが知恵を絞ってくれた結果の作戦なのはちゃんと理解してる。けどっ……」


 そのとき、背後で気配が動く!

 ぽん、頭の上に暖かいものが載っていた。

 振り返れば、五条氏がくしゃっとした顔で笑ってた。

 その大きな手はくしゃくしゃと、俺の頭をなでていた。


「ハッハッハ! 敵将に背を向けてかばうとか、大した度胸だよ、神王様よ。

 俺はアンタが気に入った。

 もしもこの件で破門になったら、セキニンとってもらうのはアンタにするぜ。此花の……」

「咲也だ。

 でも社長と同じ名前だから、サキでいいよ、御影さん。

 そういうわけだ、頼むみんな!」

 そうして頭を下げれば、返ってきたこたえは。

「……はあっ、サクっちにはかなわないなあ♪」シャサさん。

「此花さんがおっしゃるならば、異論はありませんっ!」渡辺さん(通常モード)。

「もちろん異議なしですとも、われらが主」松田さん。

「ちっ、さっくんのオネガイならしょーがない。ま、しょせんすべてはボクの手の上だけどね! あとでモフモフだぞモフモフ! いーね?」

「はい先生!! いまのさっくんにはモフいとこありません!!」

「生えろ!! さもなきゃ生やす!!」

「いやあああ?!」

「それとまず“しあな”と呼べ! 御影のおっちゃんは名前なのにボクは苗字のままとか、ずるいんだからなー!」

「善処します!! しあなさん! いやしあな様!! だからモフモフは、モフモフはあああ!!」

 湯島さん、改めしあなが俺にがしっとヘッドロックを仕掛け、エレベーターホールに笑いがわいた。

 もっとも俺はそれどころじゃないのだが。

 猫耳しっぽは三度のメシと同じくらい、いやへたしたらそれ以上に大大大好きだ、が、それが自分に生えるのはまた別だ。いろいろと問題がある、いや問題しかない、まずは絵ヅラ的に。

 だがこの少女ならやりかねない。いや絶対確実にやっちまう!!


 そんな場面に助け舟? を出したのは、床に座ったままの御影さんだった。

「サキのだんな。

 せっかくの申し出だが、そのまんまただ通らせるのもあれだ。

 ダウンくらいはさせていけ。さもなきゃ格好がつかなかろうよ」

 どん、と胡坐をかいた御影さんは、さあ一発殴って来いと、俺たちを誘った。

 俺たちは顔を見合わせる。さすがに、これだけ無抵抗の相手を殴るのは気が引けたからだ――ひとりの小悪魔を除いては。

「よーしよしよしー! いいどきょーだ御影っちー! 歯を食いしばれー、えーい!!」

 オニではなかったけど小悪魔であった天才少女は、にかっとわらってぐるぐるパンチの構えからの突撃。まるで子供だ。

「はっはっは、いいぞ来い、娘っこ!」

 対して御影さんはニコニコ笑って両手を広げる。

 まるで、むきむきじいさんがやんちゃな孫の相手をしてあげているような、微笑ましい光景が広がった。


 ……はずだったが……


 どごっ。


 インパクトの瞬間、御影さんの腹筋から、ありえないレベルのいい音がした。

「ぐふっ……最近の若いもんは……発育、が……」

 そして、多分使うとこ間違ってる一言とともに、ばたり。

 グッジョブと親指を立てたまま、御影さんは後ろ向きに倒れていった。


「……てへっ?」

 しあなさんは 『てへぺろ』をしている! ▼

「ええええ?!」

「わあああ!!」

「こらああ!!」

 そんな彼女にシャサさんのツッコミチョップがぺこり。

「しあなっち~。キミも夜族なんだから暗いとこでは自重しようね?」

「はーいシィおねーさん! ごめんなさーい!」



 ――『夜族』。

 闇の精霊の血を引き、夜の闇や人工の暗がりなど、とにかく暗いところではその能力が段違いにアップするという、特別な人種。

 逆に、昼間や明るいところは大の苦手だ。

 そのため、昼型の生活をうまくやれずに、ドロップアウトしてしまうことも少なくない。

 サクは前世の記憶から、そんなかれらのことをよく知っていた。

 そのため、優秀ながらも生きづらい彼らに積極的に声をかけ、ユキシロの仲間としてスカウトしているのだという。

 俺が唯聖殿から救出されたとき、自由のない身の上だった夜族たちが同時に助け出され、俺たちの新しい村に迎え入れられている。

 そのため、基本的に夜族は俺たちの味方。信頼できるひとたちなのだ――

 アズールのような例外を除いては。


 あいつは同じ夜族のことすら、ただの『適材適所』として利用していた。

 特に優秀な者たちを選び、唯聖殿の守りのために、自由を奪って仕えさせていた。

 同じ施設で育った、ゆきさんのことさえも。

 そして、俺の種を宿させるためにと、身の回りの世話をさせていたのだ。

 もっとも当時の俺は完全に神猫の化身。人類に欲情などするわけもなく、夜族のみんなはどこまでも『僕のお世話をしてくれる、優しいお姉さんたち』でしかなかったのだが。



 それはおいとき。俺たちはまず先を急ぐことにした。

(ちなみにしあなはさっきぽーいしたマイクをごめんよごめんよと拾い、俺のシャツを徴収して御影さんにかけてやっていた。甘辛バランスの絶妙な天才少女である)

「さて、チカケンはこの下だね。

 みんな、いくよ!」

 シャサさんがみんなに気合をいれ、エレベーターの呼び出しボタンをぽちっと押した。

 いや、押そうとした。

「…… あれ?」

 だが、押せなかった。

 というか、そもそもボタンがなかった。

 エレベーター扉脇の壁面にあるのは、何かをはめ込むような小さなへこみ。

 その奥にはさらに小さめの穴があり、何かを差し込むためのソケットがある。どうやらここに何かをつなげ、何かをはめ込まなければならないようだ。

「チーフ、ここです。

 ここにおそらく、操作盤を接続して動かすのでしょう」

 松田さんが冷静に分析すると、シャサさんはひとつうなずいた。

「そっか、じゃあ問題ないや。

 皆下がって!」

 シャサさんは扉の前に陣取って、クォータースタッフを振り上げる!

 頭上に掲げ、両手でぐるんぐるんとぶん回せば、灼熱の力が集い、朱の輝きが必殺の円盤となる!

「ちょ、シャサさん?! なにするおつもり?!」

「なにするって、ドアを開けるんだけど?」

 開けると書いて壊すと読むようです、本当に(ry

「いやそれはなにをするために?」

「そりゃチカケンに行くためだよ。

 エレベーターシャフトを飛び降りれば問題ないでしょ? ミホっちの『エクストラ・ムーブ』があるんだし!」

 ご指名されたミホっち……渡辺さんはニコニコ笑っている。

 研究所まえの群集と門とを車で飛び越えた決死のジャンプと、その後のキセキの軟着陸。

 それは渡辺さんの力だと、俺はなんとなく気付いてはいた。

 だが、それとこれとは別だ。

「いやいやいや! ミスったら完全に死ぬし! もしもエレベーターきたらぺっちゃんこだよ!!」

「だいじょうぶだよ、タイミングはまっちーの『スペクトラムアイ』があるし、さらに万一があってもあたしの『ヒートフォース』があるから!」

「ってだれかのってたらあああ!!」

「サクっちまかせた。」

「おおおおおい!!」

「なにをやっている、こんなところで」

 そのとき、聞き覚えがある声がして。

 振り返ればサクを先頭に、B班の皆が立っていた。


「まったく、中ボス以外を華麗にスルーして扉は力任せとは。雑なダンジョン攻略だな!」

「いいじゃない、タイミングちょうどだったし。操作版とかゲットしてきたんでしょ?」

「当然だ。」

 B班メンバーが持ってきたのは操作版、コード、押しボタン。

 それをちゃかちゃかと組み立て、壁にセットすれば、ぴっと音がして押ボタンに灯が灯る。

「それは……?」

「そこに倒れている男の同僚から徴収した。皆、素直ないい奴らだったぞ」

「悪党の言い草にしか聞こえない! っていうか脱出ゲームかよこれ!」

 俺が叫んでいるとちん、と音がして扉が開く。

 サクはまっさきにつかつかと乗り込んで俺たちを招く。

「さあ遠慮せず入れ。乗り込むぞ!」

「いいシーンのはずなのになんかが間違ってる――!!」

 俺の心の叫びと、ぐっじょぶと親指を立てたままの御影さんを残し、エレベーターは決戦の闇の底へと沈んでいくのであった。

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