5話
今回は少し短いです
「あっおかえりマーちゃん。それに俊」
「ただいまお父さん!」
真夢は誠一に抱きつく。
「ははは今日も可愛いな真夢は。それで?討伐はどうだった?」
「報告通り鬼がいました。被害は山村1つと近くの町に少々です」
「そうか…。楓!すぐさま工作部隊を派遣して」
「了解しました」
「さて真夢。初討伐おめでとう。ただ今後は状況に応じては工作部隊に連絡しなさい。じゃないと一般人は混乱するからね」
それに関しては俺も失念してたな。異世界じゃ自重無しにやってたからな。
「ゔっごめんなさい」
「まぁ私も真夢に言うのを忘れていたしな。はい、これが工作部隊の連絡先。俊も何かあったらここに連絡したら対応してくれるよ」
「あぁありがとう」
「さてマーちゃんはもう遅いから寝なさい。明日は仕事でしょ?」
「うん!おやすみなさい!」
真夢は部屋を出ていく。
「さて誠一。隠し事は良くないぞ」
「なんのことだい?それより討伐について詳しく教えてくれないかい?」
「………ハァー。まぁ敵は鬼だったなデカさ10メートル超えのデカブツだったな。それに硬くて彼女のガトリングガンが豆鉄砲だったな。最終的には俺が援護しながら真夢がミサイルでボコボコにしたな。で一応聞くがあんなやつが日本では普通なのか?」
「いやいやあんなのが普通なら今頃日本は妖怪の国になってるよ」
「他の神主では対応できない。だから真夢を派遣した。それは問題ない。ただあれは俺がいないと真夢も死んでたぞ?なんなんだあいつは?」
「正確に言うとあいつじゃなくてあいつらだね。この頃妖怪たちは強くなっているんだよ。で、あれはあの山の主なんだ。昔は山に引きこもって無害だったんだけどね。まさか人里に降りてくるなんてね」
「つまりこの頃は妖怪は強くなっているが理性を失われていると?」
「そういうことだね。だから俊のおかげで保有神力が大幅に増えたマーちゃんの実力を計るために俊の護衛をつけて行かせたわけだよ」
「今度からはそう言え。そしたらもっと俺も戦闘に関わらなかったのに」
「いやいやこれくらいがちょうどいいよ!マーちゃんに怪我でもあったら大変だからね!」
「俺鬼の腕を輪切りにしたりしたけど?」
「全然構わないよ。今回はマーちゃんの攻撃が効くかどうかの実験だしね。というか俊は相変わらず凄いね」
「あんくらい異世界じゃ中堅レベルだ」
「んーこれは神主全体のレベルの底上げをしないとダメかもしれないなー」
「ちなみに神主の人数は?」
「2万くらいだね」
「ならなんとかなるだろ」
「まぁ保有神力の向上方法も神主たちには伝えてあるし、しばらくは様子見だね」
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「うぅ寒くなってきたな…なんで俊はそんな平気なんだよぉ」
「気持ちの問題だな」
「そんなどっかの元テニスプレイヤーみたいなこと言うなよ…」
実際は服の中を魔法で適温に保っているだけだ。気持ちでなんとかなるのはそれこそ某消臭スプレーの家族のお父さんだけだな。
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「おいお前佐藤俊だな?ちょっと顔貸せよ」
これで今月は18回目だ。
「面倒なんでここでいいですよ?ご用件は?」
「お前まゆちゃんのなんなんだよ?あんま舐めてるとしばくぞ」
本当にこのセリフ最近よく聞くなー。
「友人ですよ」
「てぇめぇぇ!」
男は殴ってくるが俺はその拳を握って止める。
「そうやってすぐ拳を振るうのはよくないですよ?」
そう言いながらだんだん握る強さを強くする。
「っっ放せ!放せ!ぁぁぁぁぁやめろー!」
男はみっともなく叫ぶ。それを見た取り巻きも俺に襲ってくる。もちろん一般人の拳が俺を捕らえられる筈もなく空を切る。しかもその拳は先ほど喚いていた男の顔面にクリーンヒットした。その後も躱すと襲ってきた奴らは壁を殴って悲鳴をあげたり、仲間を殴ったりで滅茶苦茶だった。
「おい!何してる!!あっなんだお前かぁ…お前これなんとかならないのか?」
騒ぎを聞きつけて体育科の先生が来たがそこで怒鳴るようなことはなかった。まぁ1ヶ月の間に同じようなことが何回もあるからな。しかも全てが逆恨み、怪我も勝手にしてるだけで俺がやったわけではない。完全な被害者だからだ。
「出来るならとっくにやってるんですけどね」
「ふぅ仕方ないか…。ほらお前ら!ちょっと来いや!!」
先生は倒れている生徒たちを連れて、教室を出て行った。
あっあいつ腕折れてるのに腕引っ張られてるし。なんというか……ごめんね?
「いやーしっかし相変わらずだねー。『まゆちゃん護衛隊』の戦闘員を撃退しちゃうなんてねー」
「は?なんだその集団?てか戦闘員いんの!?」
「まぁ俊はそれより強いんだから大丈夫なんじゃないか?」
「ちっ軽々しく言いやがって。めんどくさいなぁ…」
「まぁ他人事だしな!それにあわよくばまゆちゃんに近づくと不埒な輩は俺としても成敗されて欲しいしな!」
「………俺の味方はどこですか?…」
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「なぁ今日ラーメン食べて帰ろうぜ!」
「……………いやちょっと今日は用事があってな。じゃこれで」
「なんだよつれないな……」
現在は帰宅中。ただし涼とは別れ普段では曲がらないとこで曲がり出来るだけ人目のないところにいく。
「さて、何か用か?出来れば面倒なことは避けたいんだが?」
俺は後ろにいるであろう者に声をかける。
「………やはり本当でしたか。すみません試すようなことをしてしまい」
「謝罪はいらないから誰なのか教えてくれ」
「はい、私はこの街の工作部隊の頭をやっています」
「あぁ前に誠一が言ってたな」
「えぇ旦那様に私は派遣されてこの街に来たのですが、旦那様よりも強い高校生の男の世話をしろと言われても少し疑わしくて」
「まぁ普通はそうだな。で俺を見てみてどうだ?」
「はい、私なら100回戦って全て負けるでしょう」
「ちゃんと実力はわかるんだな。真夢はそれすら分からなかったからな」
「お嬢様も素質はあるのですが、いかんせん性格のほうが……」
「まぁその辺は俺がなんとかしたから大丈夫だ。今度会いに行ってみるといい」
「本当ですか?あのお嬢様がですか…そうですね。私もこの街を預かった身として一度お嬢様にご挨拶に参ります」
「それがいいな。で今日の用はそれだけか?」
「はい、今回はご挨拶を申し上げに来ただけですので。それでは今後とも宜しくお願いします。失礼します」
そう言うと男は……あっ名前聞くの忘れたー!…まぁ今度でいいか。ちなみにあの男は身体を透明にして去っていった。なんでわかるかって?そんなの俺が人外な勇者だからに決まってるじゃないか。